日本の自動車マーケットは縮小傾向だから、という理由もあるのかもしれないが、それ以外にもさまざまな理由により、「日本でもぜひ発売してほしいのに、北米でしか売られていない!」というスバル車がある。
それは、フォレスターよりふた回り大きいサイズの3列シートSUV「スバルアセント」と、2019年11月に限定209台のみが北米で発売されたSTIのコンプリートカー「S209」だ。
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これらのモデルはいくら猛烈に欲しいと思っても、例えば近所の「東京スバル〇〇店」とかでは絶対に買えないわけだが、世の名には「並行輸入」「直輸入」というのを得意としているショップもある。
では、実際にアセントとS209は買えるのか、全国の並行輸入車業者を調べてみた。
結果から先に言うと、ありました! アセントはカタログモデルだから、買えるだろうなとは思っていたが、S209を発見!
さっそく、中古車事情に詳しいライター、伊達軍曹が徹底レポート!
文/伊達軍曹
写真/伊達軍曹
取材協力/ROCCKY California Styling
【画像ギャラリー】日本で売っていないスバルアセントとS209のSTIコンプリートカーを写真でチェック!
フォレスターの兄貴分、アセントとは?
日本未発売のアセント。ボディサイズは全長4998×全幅1930×全高1819mm、ホイールベースは2890mm
こちらがフォレスター。ボディサイズは全長4625×全幅1815×全高1715mm、ホイールベースは2670mm。2列シートのみで3列シートはない
では今、日本で「買おうと思えば買えるスバルアセントやS209」の、価格を含む各種状況はどうなっているのか? 販売店に直撃しつつ調査してみた。
だがその前に、スバルアセントおよびS209という車自体についての簡単な説明もしておこう。まずはアセントから。
スバルアセントは、2017年11月に米国ロサンゼルスで発表された北米市場向けの3列シートSUV。
全長4998×全幅1930×全高1819mm、ホイールベース2890mmで、フォレスターよりも全長が373mm長く、全幅が115mmワイド、全高が104mm高い。スバルのラインナップでは最大サイズだが、北米基準では「ミッドサイズ(中型)SUV」ということになる。
そこはフォードエクスプローラーやトヨタハイランダー、フォルクスワーゲンアトラスなどの強豪がひしめく激戦区だ。
乗車定員は7人または8人で、7人乗り仕様の2列目シートは独立型のキャプテンシート、8人乗り仕様はベンチシートとなる。
スバル車としては最上級モデルだけあって、スマートフォンとの連携が可能なインフォテインメントシステムのほか、キャビンビューミラーやパノラミックサンルーフ、サンシェード、前席左右および後席の独立温度調整機能付きフルオートエアコン、ベンチレーションシートなどの各種装備は充実しており、インテリアの質感もかなり高い。
骨格は新世代プラットフォーム「スバルグローバルプラットフォーム」で、高剛性ボディと相まって、振動や騒音を抑えた快適な移動空間が実現されているという。
搭載されるエンジンは新開発された2.4Lの水平対向4気筒直噴ターボ「FA24 DIT」で、最高出力264psと最大トルク38.3kgmを発生。
組み合わせられるトランスミッションは「スポーツリニアトロニック」と名付けられたCVTで、最高5000ポンド(2268kg)のトーイング性能により、キャンピングカーやボートのけん引も可能となっている。
駆動方式はもちろん全車四輪駆動で、アクティブ・トルク・スプリットAWD(ACT-4)+X-MODEという組み合わせ。旋回性能を高めるアクティブトルクベクタリングも装着されている。
最低地上高はフォレスターと同じく220mmを確保しており、アプローチアングルは17.6°、ディーパーチャーアングルは21.8°とのことだ。
埼玉県のROKKEYで販売されているスバルアセント
ROKKEYにて販売中の2020年式スバルアセントPremier。未登録の並行輸入新車で、車両価格は628万円(税込み)。ボディカラーはクリスタルブラックシリカ
北米仕様ゆえ当然ながらステアリング位置は左。インテリアの造形は「7代目レガシィのそれをさらにゴージャスにした」といった印象(Premier)
そんなスバルアセントの直輸入車を取り扱っている販売店のひとつが埼玉県さいたま市の老舗、『インポートカーディーラー ROKKEY』。
同社では今、並行輸入新車の2020年式スバルアセント数台が売りに出されていて、カナダ仕様の最上級グレードである「Premiuer(プレミア)」の車両価格が628万円(税込み)で、同じくカナダ仕様の上から2番目のグレードである「Limited(リミテッド)」の車両価格が588万円(税込み)。
当然ながらクルマというのは車両本体価格だけでは買えないもので、そのほかにかかる諸費用も含めた総額が「乗り出し価格」となるわけだが、ROKKEYに問い合わせたところによれば、「Premierの乗り出し価格が670万円前後で、Limtedは620万円前後」とのこと。
これには、北米仕様のクルマを日本の公道で走れるようにするための各種手直し費用なども含まれているため、とにかくこの総額さえ用意できるなら明日からでもサクッと、スバルアセントに日本で乗ることできるのだ(実際は登録に時間がかかるため、“明日からでも”というのは言葉のアヤだが)。
Premierの場合、2列目は独立式のキャプテンシートに。乗車定員は7名
Premierの3列目シートはこのような感じ。成人男性でもまずまず普通に座れるサイズ感だ
気になるのは「ところで日本のスバルディーラーで点検や整備をしてくれるのか?」ということだが、それについてはROKKEYいわく、
「拠点次第で、受け付けてくれるところと、そうでないところがあるはず。どこも受け付けてくれないということはないと思うが、仮にそうだったとしても、弊社(ROKKEY)で部品の手配も整備もすべて行えるため、どうかご安心いただきたい」とのことだった。
現状、3列目に大人がまともに座れる3列シートSUVで、それと同時に大人の審美眼に耐えるモデルといえばマツダのCX-8ぐらいしかないわけだが、この「逆輸入のスバル アセント」は、そういったSUVを求めている人にとっての有力な“アナザーチョイス”となるだろう。ぜひご注目いただきたい。
こちらは同じくROKKEYが販売している2020年式スバルアセントのLimited。車両価格588万円(税込み)の未登録並行輸入新車で、ボディカラーはクリスタルホワイトパール
レザーインテリアであるため、上から2番目のグレードであるLimitedであっても高級感、上質感は十分以上と言えそうだ
Limitedの2列目シートはベンチタイプで、乗車定員は8名
インポートカーディーラー ROKKEYのホームページはこちら!
209台北米限定のSTIコンプリートカー、S209はいくら?
フロントアンダースポイラー、クローム加飾付きバンパーベゼル、バンパーサイドカナード、そして片側21mmずつ拡大したワイドフェンダー、そしてエンジンルームの熱を逃がすフロントフェンダー上のエアダクトを装備するS209
もう一方のスバル STI S209は、2019年11月、北米市場のみで209台が限定販売されたSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)のコンプリートカー。
スバルWRX STIをベースにSTIがエンジンや足回りを専用開発し、内外装にも専用装備を追加。
米国向けのSTIチューンドモデルとしてはWRX STIタイプRAとBRZ tSに次ぐ第3弾であり、STIコンプリートカーの最高峰「Sシリーズ」としては米国向けの初作品だった。価格はWRX STI標準仕様に比べて約300万円高い6万3995ドル(約693万円)。
EJ25型2.5Lフラット4ターボは、S208などに搭載されるEJ20型2Lターボ、329ps/44.0kgmを上回るSシリーズ最強となる345.7ps/45.6kgmを発生する
搭載されるエンジンはHKS製のターボチャージャーを備えたEJ25型2.5L水平対向4ターボ。高効率なエアインテークシステムや専用開発の大径ターボチャージャー、大口径テールパイプを備えた専用設計低背圧マフラー、専用のECUなどにより、歴代STIモデルトップの345.7ps、最大トルクが45.6kgmを発生。
さらにインタークーラーウオータースプレーを装備することで熱による性能低下を抑制しながら、専用設計の鍛造ピストンや鍛造コンロッドにより、量産エンジンとしての信頼性も確保されている。
足回りには、歴代STIモデルで最大幅となるダンロップ製265/35R19ハイグリップタイヤを履いたBBS製19インチ鍛造ホイールや専用開発のビルシュタイン製ダンパー、専用コイルスプリング、強化ブッシュを採用。
さらにストラットタワーバーやドロースティフナーといったSTI独自のフレキシブルパーツに加え、軽量かつ車体剛性を高めるカーボンルーフも装着。
そのほかオーバーフェンダーを持つ専用ワイドボディには、フロントアンダースポイラーやフロントバンパーサイドカナード、ドライカーボン製大型リアウイングなど、ダウンフォースを高めるさまざまなエアロパーツが装着されている。
で、こちらのコンプリートカーはそもそも北米専売車で、さらには209台限定であり、しかもそのうち9台は、北米スバルが「We keep 9 units(うち9台はお売りせず、弊社でキープします)」と公言していたそうなので、実質的には全世界で200台しか販売されていない。
S209のインパネ。専用パーツ以外のマルチファンクションディスプレイやルミネセントメーターなどは日本仕様とほぼ変わらず
日本にあったS209はあまり売る気がない?
こちらが滋賀県の『California Styling』が見事引き当てた、209台のうちの1台となるスバル STI S209。走行30kmの未登録車で価格は「ASK」
ということで、そんなSTI S209を日本で買うのはほぼ不可能にも思えるわけだが、実はそのうちの1台、具体的にはシリアルナンバー「149/209」が、日本国内で販売されている(2020年8月上旬現在)。
149台目のスバル STI S209を販売しているのは、滋賀県大津市のプロショップ『California Styling』。
こちらのショップは、アメリカで育ち、ロサンゼルスにて20年にわたりオートディーラーの実績を積んだ代表のB.J.氏が、独自の厳選したレアなアメリカ車を集めているお店だ。
シリアルナンバーは「142/209」
トランスミッションは6MT
スバル車を扱うことはあまりないのだが、「おもしろそうだから」ということで、米国で行われたS209を仕入れるための抽選に参加。すると、なぜか見事にシリアルナンバー149が当たってしまったのだという。
そしてアメリカから輸送された走行30kmのS209は今、滋賀県にあるCalifornia Stylingの店内に置かれており、その価格は「ASK(価格応談)」と表示されている。
気になる想定価格をB.J.氏に尋ねると、「残念ながらお教えできません」とのこと。
日本に輸入された新車のS209というと「だいたい1200万円ぐらいかな?」というイメージもあるわけだが、それをぶつけてみると「いや、もっともっと高いプライスを想定しているんですよ」と言う。
これは何もCaliforniaStyling代表のB.J.氏が暴利をむさぼろうとしているわけではぜんぜんなく、そもそも「焦って売る気がないから」なのだ。
基本的には手元にずっと置いておき、時おりショーなどにも出展し、そして「それでもどうしても欲しい!!!」という人がもしも現われたなら、売ることもあるかもしれない……とのニュアンスなのだそうだ。
ということで、スバル STI S209の販売車両は今、日本国内に「あるといえば1台だけあるし、実質的にはないともいえるし」みたいな状況であることが明らかになった。
しかしCaliforniaStylingのB.J.氏も「まったく売る気はない(永遠に自社に置いておくつもり)」というわけでもなさそうなので、本当の本気でS209を手に入れたいと考えている熱き富豪系スバリストは電話等でアポを取ったうえで、滋賀県大津市にある『CaliforniaStyling』の門を叩いてみる価値はあるはずだ。
……健闘を祈ります!
California Stylingのホームページはこちら!
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もしくは911の新車買うでしょ。
輸入車専門店や町工場で修理と聞いた
修理費がこわくて買えない