エアバッグ登場十数年 急速に普及
text:Kumiko Kato(加藤久美子)
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editor:Taro Ueno(上野太朗)
1980年代終わりころからメルセデス・ベンツをはじめ、一部の高級車で装備されるようになったエアバッグ。
当初の予想を超えて急速に普及が進み、90年代後半からは大衆車を含めた乗用車(運転席/助手席)にまで標準装備されるようになった。
現在は軽トラを含む軽自動車にも運転席/助手席エアバッグが多くの車両に備えられている。
今ではすっかり当たり前になったエアバッグだが、古いものでは30年以上経過したエアバッグ付き車両もある。
エアバッグは事故の衝撃で開くことがない限り自動車製造時の状態で装備されるわけだが、20年も30年も経過したエアバッグは衝突時にちゃんと開いてくれるのか? 有効期限や耐用年数などは存在するのだろうか?
ドア開口部に使用期限があるものも
筆者のクルマ(1997年型アルファ・ロメオ・スパイダー916型)には、エアバッグの有効期限が記されたラベルが、運転席のドア開口部に貼られている。
「エアバッグの交換時期」を知らせるそのラベルには英語やイタリア語で「製造から10年経過したららエアバッグ(ガスジェネレーター)を取り換えてください」と記されている。
1997年5月製造だからラベルには「2007」と「5」のところに穴が開いていて「2007年5月までの交換」が指示されている。
2006年頃ディーラーに「エアバッグ交換するんですか? ラベル貼ってありますけど」と尋ねた際には、「それはもう今はなくなりました。気にしなくていいですよ」といわれた記憶がある。
エアバッグは10~15年で交換すべし?
調べてみたところ、1990年代~2000年初頭に製造された欧州車には同様のラベルが貼ってあるものが多くあったが2010年前後以降に製造されたクルマでは姿を消していた。
アメリカ車に関しても「2000年初頭から交換不要との認識。エアバッグユニットの寿命はクルマと同じかそれ以上に長い」というテスト結果が出ている。
また、メルセデス・ベンツが2002年9月4日に発行したサービスインフォメーションには
「1992年1月までに製造された『107、123、124、126、129、140、163、168、170、201、202、203、208、210、211、215、220、230、461、463』合計20車種のエアバッグ付きモデルについては、15年経過したらオーナーのコスト負担で交換する必要があります」
「ディーラーは顧客にエアバッグ交換の必要があることを知らせる必要がある」
「1992年2月以降製造の車両についてはエアバッグ交換の必要はない」
などと記されている。
メルセデス・ベンツオーナーが中心となって運営される海外のオーナー・フォーラムでは、実際に交換した人の話も出ていた。
「運転席側と助手席側それぞれ1740ドル+工賃でサイド・インパクト・エアバッグがある場合は各々314ドル+工賃。あまりにも高額で驚いた」
工賃別でなんと日本円で合計50万円以上。かなりの出費になる。
あまりにも高額になることから、「交換せずに売却した」オーナーもいたようだ。
日本ではどのような対応だった?
メルセデス・ベンツ日本製品広報課に2002年9月4日に発行されたドキュメントを送って尋ねたところ、
「ドキュメントは現在無効となっており、同時にエアバッグの有効期限も無効となっております。エアバッグは販売店にて有償で交換させていただいております。当時の対応、個別の費用に関しては回答いたしかねます」との回答だった。
それではフィアットやアルファ・ロメオなどのイタリア/アメリカ車を広く扱うFCAではどのような対応だったのか。
「エアバッグ取り換えラベルについては本国においては2013年、日本においては2014年に関わるディーラー向けのサービスニュースを発行して廃止についてお知らせをしています」
「導入当初はその必要性(10~15年でエアバッグを交換)が想定されていましたが、その後メーカーによる調査検証の結果、定期交換の必要がない事が確認されたため、取り換えラベルの貼付を廃止しました」
FCAのディーラーでエアバッグ交換の作業は要望があれば対応可能だが、現在までに実際には対応した実績はゼロとのことだった。
日本車はどうだろうか? そもそも、エアバッグ交換についての指示がこれまでメーカーから出されたことはあったのだろうか?
耐用年数 過去には国会質問も
日本車で初めてエアバッグが運転席にオプション設定されたのは1987年、初代ホンダレジェンドである。
運転席の全車標準装備は1992年に発売されたホンダ・ドマーニ以降だ。
日本の自動車メーカーを会員とする一般社団法人日本自動車工業会に聞いてみたところ
「自工会としては取り決めをしたことはないと思われます」との回答だった。
日本初のエアバッグを自社開発したホンダも同様の回答で、「30年経過したエアバッグも正常に作動することが社内で確認できている」とのこと。
なお、記憶に新しいと思うが日本においてはタカタ製エアバッグの大規模リコール(改修措置)がおこなわれてきた経緯がある。(2000~2010年前後に製造された日本車が中心だが欧州車にも対象車種多数)
2018年5月より「改修措置を受けないクルマは車検を通さない」と定められている。
このタカタ製エアバッグの不具合問題に絡めて、第193回国会(平成29年6月)において本村賢太郎議員より「エアバッグに使われる火薬の寿命」に関する質問がおこなわれている。
詳細は割愛するが、エアバッグ(ガス発生器)の有効期限に関して短くまとめた内容は以下。
質問
自動車用エアバッグガス発生器は昭和61年度より火薬類取締法の適用除外となっている。
タカタ製エアバッグ不具合は同ガス発生器の経年劣化が原因とされている。
火薬類取締法の適用除外とすることは適切と言えないのではないか。
答弁
タカタ製以外のエアバッグガス発生器については、経年劣化を原因とする不具合は報告されていない。
政府としては現時点においてガス発生器を法の適用除外とすることは不適切とは考えていない。
「自動車用エアバッグガス発生器に対し有効期限を設定する」必要性について、国際的な動向も踏まえつつ、慎重に判断してまいりたいと考えている。
政府としては「不要」
要するにタカタ製以外では経年劣化を原因とした不具合は報告されていないので、政府としてエアバッグの有効期限は不要としている、というわけだ。
2015年12月以降 警告灯が点灯→NG
ちなみに、ここまで普及が進んでいるものの、エアバッグは道路運送車両法で定められた保安基準には該当しない。
つまり、エアバッグがもともと搭載されていないクルマはもちろん、ハンドルを交換するなどしてエアバッグレスとなっても車検には問題ない。
ただし、2015年12月以降、エアバッグを含む警告灯が点灯している状態で車検はパスしない措置が取られるようになっている。
エアバッグ付きの純正ハンドルから、社外品でエアバッグがないハンドルに交換した場合などはエアバッグの警告灯が点灯したままになる。
この場合は警告灯を消すなどの措置をおこなえば問題ないということになる。
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みんなのコメント
基本的に分解不可だから劣化具合もわからんし、極端な話中身空っぽでも事故るまで一般の人にはわからないよね。
勝手に開くのは勘弁だが