意外と普通!? 白バイメンテナンスの基本は、点検と掃除
■1.白バイ隊員の日常メンテナンス
いつも綺麗な状態を保っているように見える白バイ。どんなメンテナンス行っているのか、気になる方もいらっしゃるかと思います。私も白バイ隊員時代に、ライダーさんからたびたび白バイのメンテナンス内容について聞かれました。そこで今回は、白バイ隊員が日頃行っているメンテナンスなどについて紹介したいと思います。
【画像8点】白バイ専用モデルCB1300Pの写真から、メンテナンスのツボをじっくりチェック!
実は白バイ隊員のメンテナンスは特別なことはしておらず、皆さんが自分のバイクで行っているメンテナンス内容とほぼ変わりません。そして毎日行う整備箇所、月に一回行う程度の整備箇所があります。
例えばタイヤの状態やパッド残量の確認は毎日欠かさずに行い、チェーンの緩みなど、気づいた点があった場合は月に一回程度メンテナンスを行うといった感じでした。
■2.白バイ隊員はどこまで整備するの?
毎日のように行っていたメンテナンスとしては、ブレーキキャリパー部に溜まってしまったブレーキパッドのカスをエアブロアーを使って飛ばしたり、車体全体に付着したホコリなどは、濡らしたセームなどで拭き上げたりしていました。
特に白バイの業務では急発進や強いブレーキによる減速、停止などの運転操作も多くなるため、ブレーキやチェーン部の清掃、点検は念入りに行っていました。そしてネジの緩みの有無の確認や消耗品の点検もしますが、車両の清掃など基本的には簡単なメンテナンスしか行っていません。強いて言うなら毎日そうした作業をしているので、いつも綺麗な状態を保っているのかもしれません。
もちろん、メンテナンスだけでは対応出来ない車両の不具合や部品交換、法定点検、車検などはプロである整備士さんに依頼していました。県警の規模により異なりますが、大きな県警では立派な整備工場があり、整備士さんもいるので、修理や車検など警察施設内ですべてが完結してしまいます。しかし、規模の小さな県警はディーラーや町のバイク屋さんへ外注することがほとんどです。
■3.例外は競技大会を目指す隊員
白バイ隊員には、全国白バイ安全運転競技大会(以下白バイ大会と略します)を目指す隊員と取り締まり部隊で活動する隊員に分かれます。白バイ大会を目指す隊員は、訓練で使用するバイクの整備をほとんど自らの手で行わなくてはなりません。
クラッチ交換やフォークシール交換、タイヤ交換、重整備になるとエンジン載せ替えやフレーム溶接など、何でも出来なくてはいけません。大会へ向けた訓練を行っている隊員は毎日、朝早くから訓練をして訓練終了後は夜中まで整備を行います。そしてどんなメカ音痴な隊員であっても、徐々に整備スキルが上がっていきます。
■4.拭き上げも洗車も立派なメンテナンス
拭き上げや洗車はメンテナンスではないとお叱りを受けちゃいそうですが、拭き上げや洗車も白バイ隊員の中では立派なメンテナンスの一つとなっていました。部品の緩みや欠落、ブレーキパッド等の消耗箇所の発見、傷んでいる部品を見つける時は、大体、拭き上げや洗車作業中だったりするからです。
皆さんも拭き上げや洗車をしている最中に、見慣れない傷や凹みに気づいたという経験があると思います。バイクに乗っている時は、意外と車両の異常や不具合に気付けないものなのです。
1台ずつ割り当てられる自分の白バイだから、整備不良の言い逃れはできない
■5.厳しいチェックの目
白バイ隊員には一人一台、担当車両(白バイ)が割り当てられております。また、警察では車両担当のことを略して車担(しゃたん)と言っています。パトカーなどの四輪車も白バイ同様に車担がいます。
四輪車の場合は車担以外の人が車を運転することも多々ありますが、白バイに関しては、自分の管理する車両に急な故障や車検などによる入庫や特別な事情がない限り、基本的に自分の担当車両しか運転しません。
つまり、自分以外の人間が乗らないということは、車両の整備状態等について細かくチェックされる上、整備不良等があった際などは言い逃れが出来ません。自分専用の白バイ一台を任されているため責任重大なのです。
■6.とはいえ性格が出てしまう、各自の整備
ただし、白バイ隊員も人間なので車両の手入れ状態については、性格が出ます。大雑把なメンテナンスで済ます人もいれば、異常なくらい几帳面にメンテナンスしている人など様々でした。
私が新人隊員の時は、バイクの点検、整備に厳しい上司や先輩隊員のチェックにはいつもビクビクしていました。自分では完璧にメンテナンスしたつもりでも、汚れている箇所などがあったら厳しく指摘を受けてしまうからです。
■7.イベント前は特に入念に!
マラソン大会の先導やイベント会場での白バイの展示等、イベントを控えている時はいつも以上に車両を綺麗にします。ただ洗車をして綺麗にするだけではなく、マフラーやバンパーなどメッキ加工が施されている箇所は徹底的に磨いておりました。
またCB1300で一番目立つ箇所であるエキパイは、研磨剤等を使って磨くことが恒例行事となっていました。隊員それぞれこだわりの研磨剤等のケミカルを使用して、時間を掛けてピカピカに磨いていきます。手でひたすら磨く人もいれば、電動工具やエアーツールを使用して磨いている人もいました。
しかし、階級が上がったベテラン隊員ともなると、逆に全く磨かないという人もいました。私は一度、ベテラン隊員に対しバイクを磨かない理由を聞いたことがあるのですが、「ピカピカに磨くと良くないことが起きる」「ジンクスがあるから磨かない」というのが理由らしいです(ただ単に面倒なだけ?)。
いずれにしてもバイクを一所懸命磨く人も磨かない人も、それぞれメンテナンスにこだわりを持っているという感じでした。
■8.意外と光るCB1300のチェーンカバー
ところで、CB1300のチェーンカバーはアルミ地の鈍い輝きとなっております。実はこのカバー、研磨剤を使用して磨くとメッキのように光るのです。
当時私はバイクを誰よりも綺麗にするという変なこだわりを持っていたので、チェーンカバーもエキパイ同様にピカピカに磨いておりました。普通は光っていない部分を光らせることに喜びを覚えていました。
■9.目を付けられると注意される
自分が担当している車両が汚れていたりメンテナンス不足だったりすると、当然上司や先輩隊員から注意されてしまいます。私も新隊員時代に、年下の先輩隊員に車両の汚れについて注意されたことがあります。
しかし、注意された私の車両よりも明らかに先輩隊員の車両の方が汚れていたのですが、体育会系の職場である以上、口答えなど許される訳もありませんので悔しいながらも素直に謝った記憶があります。
この日から、誰よりも自分の車担のバイクを綺麗にしようと心に決めました。
■10.綺麗にし過ぎても注意される!?
私は先輩隊員に注意されてからというもの、毎日のようにバイクを磨くようになりました。
誰よりも白バイを綺麗にして一切の文句を言われないように心掛けていました。しかし、今度はバイクを綺麗にし過ぎているがゆえに「バイクを綺麗にする暇があるなら他の仕事しろ」と注意されてしまうのでした。
基本的にバイクを綺麗にする時間は、勤務時間外や休日など、自分の時間を利用して行っているので文句を言われる筋合いはないのですが……(もちろん給料は発生しません)。汚なくても注意されるし、綺麗にしてても注意されるという難しさに当時は困惑していました。
ここまで白バイ時代に経験したメンテナンス等について紹介しましたが、車両の整備やメンテナンスについては相当厳しく叩き込まれました。もちろん二輪車という特性上、ちょっとした不備で命に関わることがあるからです。
当時は理不尽と感じながらも、ジンクスがあったり人それぞれのこだわりがあったりと、バイクのメンテナンスや整備の重要性などを教えてもらえたことに、今では感謝しています。そして当時の経験が、現在のバイクライフに活きていることは間違いありません。
文●睦良田 俊彦
【著者プロフィール】
睦良田 俊彦(むらた・としひこ)1986年北海道生まれ
趣味:クルマ、バイク
歯科技工士を経て警察官となり、約15年間勤務(白バイ隊員歴約10年)。
警察学校卒業後は約3年半の交番勤務を経て交通部門へ。白バイ警察官として第一線で交通取締りをメインに活動し、ライダーのための安全講習、交通安全啓発イベント、マラソン大会先導、大統領車列先導など、様々な経験を重ねてきた。
県警主催白バイ大会での優勝経験もあり、白バイ新隊員の育成などにも携わった後、巡査部長の階級で依願退職。現在は退職後の夢でもあったライディングレッスンなど、ライダーのためになる活動が出来る場を作るべくYouTuber「臨時駐車場チャンネル」として活動。バイクイベント等に積極的に参加し、出身の北海道で開催のライディングレッスンで講師も務めている。
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