「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「スズキ パレット」だ。
スズキ パレット(2009年:マイナーチェンジ)
高い全高&低いフロア高で室内は驚くほど広く、しかも両側スライドドアで使い勝手も高い、ハイト系軽ワゴンのスズキ パレット。今回、走りの楽しさと環境への適合を考慮したマイナーチェンジが行われた。
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パレット初となる改良のポイントは、新パワートレーンの採用にある。簡単に言ってしまうと、昨年(編集部註:2008年)のパレット発売後に登場した、ワゴンRやアルト ラパンと同タイプのものが搭載された。このエンジン変更だけでも、ググッと力強くなった感じは味わえるのだが、今回、世界初として副変速機構付きのCVTが採用されたため、より大きく変化したといえる。
これは従来のCVTのセカンダリープーリーの先に、遊星ギアが入っている副変速機構を組み合わせたもので、これによりプーリーの径を小さくしても、ギア比の幅を大きくすることが可能になる。メリットとしては、プーリー自体を小型軽量化できるにもかかわらず、発進時にはトルクを増幅し力強さを出しつつ、一定走行時にはより燃費に振るという、幅広いギア比を生かした走行が可能になるというわけだ。
おかげで、従来型ではパワー的に物足りないと言われていたNA(自然吸気)モデルでも、発進時からずいぶんと俊敏さを感じられるようになった。冷却性能が上げられ、低速トルクが増したエンジンにローギアが追加されたような効果が、しっかり体感できる。
だが、その変化幅がより大きいのはターボモデルだ。最高出力は60psから64psへとパワー自体が向上しているおかげでわかりやすいというのもあるが、それ以上にもうペダルの踏み応えからして違う。上質感はまるで別物で、出力も向上したぶん軽の枠を超えたゆとりまで感じられてしまうことは間違いない。
これに今回、新グレードとして登場した、クールなSWのスタイリングを組み合わせれば、もう5ナンバー枠ミニバンさながらの気分が味わえる。
さらに停止時に一定条件下で自動的にNレンジに入る、アイドルニュートラルが盛り込まれ、アイドリングストップほどとはいかないまでも実用燃費が向上していたり、カーナビまでは不必要というユーザーにはうれしい、バックモニター付きCDプレーヤーを用意するなど、今度のパレットには環境にも人にも、より優しい色合いが作り出されたようだ。
■パレット SW TS 主要諸元
●全長×全幅×全高:3395×1475×1735mm
●ホイールベース:2400mm
●車両重量:960kg
●エンジン種類:直3 DOHCターボ
●排気量:658cc
●最高出力:47kW<64ps>/6000rpm
●最大トルク:95Nm<9.7kgm>/3000rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:横置きFF
●10・15モード燃費:23.0km/L
●タイヤ:165/55R14
●当時の車両価格<税込み>:155万9250円
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みんなのコメント
なぜかチャップリン風のイメージキャラクターだったのが印象的。