この記事をまとめると
■4WDにはフルタイムとパートタイムが存在する
なんちゃってヨンクだらけの今こそ乗りたい「悪路御用達」の男前国産SUV4選
■悪路系のクロカンSUVにパートタイムが採用されるケースが多い
■それぞれのメリット・デメリットについて解説する
日常使用において4WDを必要とするケースは少ない
パートタイムとフルタイム、4WDには2つの方式があることはよく知られている。この両者は、概ねパートタイム方式がヘビーデューティなクロカン4WD、フルタイム方式がSUVや乗用車型4WDで採用される傾向にある。では、どうして2つの方式が存在するのか、その理由を考えてみたい。
もともと4WDは、第2次世界大戦中のウイリス社のジープがその発端で、通常は2WD駆動(FR方式)でなんら問題ないが、低μ路や不整地では4つのタイヤを駆動する4輪駆動でないと走破できないことから、機械的な切り替え機構(トランスファー)を使い、前輪にも駆動力を伝える方式としたものがパートタイム方式である。この方式は、前後に最大の駆動力を伝達できる反面、コーナリング中に生ずる前後輪の回転差を吸収できず、ギクシャクとしたコーナリングブレーキ現象を発生させてしまう特徴がある。
一方、フルタイム方式は、常時4輪駆動で走ることを前提とした方式で、パートタイム式が持っていた不具合、前後輪の回転差を吸収するセンターデフを装備。4つのタイヤを駆動して走るスタビリティの高さに着目し、パートタイム式が4WDで走る場合に生じるギクシャク感を払拭した方式である。乗用車用としてフルタイム4WDの優位性を謳ったのはアウディで、降雨の中、アウトバーンを一糸乱れず直進するCMは、フルタイム4WDの全天候性を強調したもので今も記憶に新鮮である。
ドライバーが意識しなくても、車両そのものが持つスタビリティ(安定性)が高く、安全性に優れた駆動方式であることをアウディは提案。日本のスバルもまったく同様の考えを持ち、1980年代からフルタイム4WDを自社の標準駆動方式として拡充を図っていた。最大の課題はセンターデフの処理だったが、通常のデフ機構をセンターデフとして採用すると、前後輪の接地状態によっては駆動力がまったく伝わらない、0輪駆動の状態に陥る可能性があった。
もちろん、それを見越して前後デフやセンターデフに制御装置(LSD)を設ける対応手法も採られ、通常の2輪駆動方式と変わらぬ操縦感覚を確保しながら、4WD方式が持つ高い走破性、安定性を最大限活かす車両作りが試みられてきた。
こうした意味では、安定性が高い全天候型の駆動方式として、乗用車やSUVの多くに採用されるフルタイム4WD方式は、必要に応じて駆動方式を切り替えるパートタイム式と比べてはるかに実用性は優れたが、では、走行環境によって駆動方式を切り替えなければならないパートタイム式は、4WD車の駆動方式として劣っているのかという疑問に対しては、まったくそうではない、と言うことができる。
日常の走行モードを想い描いてほしいのだが、FF車やFR車では走行困難なケースがどれほどあるだろうか? 泥濘路、深い積雪路など、たしかに4WDでなれば走行困難な路面状態も想定できるが、日常生活で遭遇する道路環境は、2WD方式でも問題なく走ることができる。むしろ、車両重量が軽く、前後輪のいずれかを駆動する2WD方式は、ハンドリングの自由度が高く、操縦性の点では優れる場合が多い。
パートタイム4WD方式は、通常は2WDの軽快(というより重苦しくない)なハンドリングで移動し、非常時のみ4WD化することで、その高い走破力によって低μ路やラフロードを走破できる特徴がある。そして、パートタイム式4WDは、前後間にデフを介さず、エンジン動力を直接前後に配分するため(ゆえに直結式と呼ばれる)、駆動ロスがなく最大の駆動力(その大半が前後50対50の駆動力配分)を発揮することができる。
フルタイム4WDのなかにもさまざまな方式がある
フルタイム式とパートタイム式、いずれが優れた駆動方式であるかというより、車両の使用環境がどうであるかに左右される問題だと考えてよい。通常の操縦性、操縦感覚を持ちながら、4WD方式が持つ高い駆動力、それが生み出すスタビリティの高さを活かして走るフルタイム式は、まさに安全性の高い生活4駆という言い方ができ、非常時に圧倒的に高い駆動力を活かして低μ路やラフロードを走破できるパートタイム式は、本格的な悪路走破車、つまりクロカン4WDに最適な駆動方式と言うことができる。
なお、常時4WDで走るフルタイム4WD方式は、2WD方式と比べて燃費や騒音の点で不利になるが、燃費対策、騒音対策を施すことで、実用車の視点から2WDと較べて目立つほどの違和感はまったく感じられない。
ちなみに、基本的にはフルタイム方式ながら、2WDと同等のハンドリング特性やパートタイム4WD方式の前後直結による高い駆動力特性の実現を図り、技術の粋を投入したフルタイム4WD方式も実現されてきた。
スカイラインGT-RがR32の時代から採用してきたアテーサE-TSの方式は、通常はFR方式(前後駆動力配分0対100)で走りながら、後輪駆動力がロス(スリップ)した分を自動的に前輪に伝達。最大前後50対50の駆動力配分とする方式で、舗装路面での絶対スピードを意図したGT-Rらしいハンドリングの自由度と駆動力コントロールを図る4WD方式だった。
三菱がグループAラリーカー(WRC用車)で開発し、ランサー・エボリューションVII以降で市販化したアクティブセンターデフ方式は、常時前後直結状態で走り、旋回初期にセンターデフの拘束を解除、AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)機構との併用により、旋回性能の向上と回頭性を確保する方式として考案された。前後駆動力配分は50対50で固定。ラリーカーとして、伝達ロスがない最強の駆動力配分である。
今後、自動車のEV化が加速し、1輪あたり1個のモーターを有する車両が開発されれば、電動方式、電子制御方式のメリットを生かし、4輪独立の駆動力配分が可能となることで最強の4WDシステムが実現しそうな気配だが、現状の内燃機関による4WD方式も、使用用途に応じてユーティリティの高い方式が実用化されている。4WD方式の選択は、自分の使用環境に応じたものを選ぶ時代である。
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