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「完全に壊れた」トヨタのリヤ/今季全レース3位以上を継続/イースターの奇跡etc.【第2戦イモラ決勝後Topics】

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「完全に壊れた」トヨタのリヤ/今季全レース3位以上を継続/イースターの奇跡etc.【第2戦イモラ決勝後Topics】

 4月18日から20日まで3日間にわたって、イタリアのイモラ・サーキットで開催されたWEC世界耐久選手権第2戦『イモラ6時間レース』は、地元イタリアが生んだフェラーリ499Pが日曜の決勝で歴史的な勝利を飾って幕を閉じた。

 ここでは、見ごたえある数多くのバトルが展開された6時間レース後のコメントなど、決勝にまつわる各種トピックをお届けする。

伏兵現る。ライバルを驚かせたアルピーヌとBMW、イモラでの今季初表彰台に導いた戦略の妙

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 ジェームス・カラド、アントニオ・ジョビナッツィ、アレッサンドロ・ピエール・グイディは、1973年のモンツァ1000kmでブライアン・レッドマンとジャッキー・イクスが『フェラーリ312PB』を駆りワン・ツー・フィニッシュを飾って以来初めて、フェラーリに“ホーム”でのスポーツカー世界選手権優勝をもたらした。

 彼らがドライブした51号車フェラーリ499P(フェラーリAFコルセ)は、決勝のスタートでミディアムコンパウンドタイヤを装着し、同一セットで1周4.909kmのイモラ・サーキットで111周にわたってレースをリードした。このイタリアのチームはレース前半にトリプルスティントを選択したのだ。

 トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパ(TGR-E)のテクニカルディレクターであるデイビッド・フルーリーは、セバスチャン・ブエミ(8号車トヨタGR010ハイブリッド)とアントニオ・フォコ(50号車フェラーリ499P)の間で発生したアクシデントについて、独自の「見解」を述べた。このアクシデントでは、両ドライバーが残り38分でコース上でポジション争いを繰り広げるなか、ターン2の進入時に衝突し、直後にフェラーリの左リヤタイヤがパンクしている。

 フォコはアクシデントの責任を問われ、ドライブスルーに相当する45秒のタイムペナルティを科されたが、50号車フェラーリの15位という結果はペナルティの前後で変わらなかった。

 フルーリーははSportscar365に対し次のように語った。「フォコは彼自身のレースで少しプレッシャーを感じていた。前日の予選ではすべてのアタックラップでトラックリミットをオーバーし、ターン2へのブレーキングでぶつかる前にも我々のクルマに3回接触した。彼は相当なプレッシャーを受けていたと思う。それが今回の結果につながったのだと考えている。8号車のリヤの写真を見せることができるが、完全に壊れている」


■ソフトタイヤ装着はトヨタとキャデラックのみ

 決勝のスタート時にソフトタイヤを履いたのは、トヨタとキャデラック・ハーツ・チーム・JOTAの各2台だけだった。4台のプロトタイプはソフトタイヤ2本を左側に装着し、右側にはミディアムタイヤを採用した。

 このタイヤ選択についてフルーリーは、「フリープラクティスで徹底的にテストを行い、なぜそうするのかを理解していた」と説明した。「もし、ふたたび同じレースを始めることになったとしても、この戦略を変えることはないだろう」

 イモラでは、ハイパーカークラスから出走した全18台のマシンが完走し、現行のWECシリーズにおいて最多の完走数を記録したトップクラス・プロトタイプカーとなった。

 BMW MチームWRTの20号車BMW MハイブリッドV8は、終盤の燃料スティント戦略を駆使して総合2位を獲得したが、姉妹車である15号車はパフォーマンスの低下に見舞われ6位に後退した。BMW Mモータースポーツ・ディレクターのアンドレアス・ルースは、ダウンフォースが低下した可能性が高いと示唆している。

 ルースは記者団に対し、「分析する必要がある。ドリス(・ファントール)はフロントのダウンフォースが不足し、アンダーステア​​になっていると言っていた。しかし、その段階では何​​もできない。だから、生き残り、残されたものを最大限に活用することのほうが重要だった」と語った。

 ライアン・ハードウィックは、WECレースで優勝を果たした最新のアメリカ人ドライバーとなった。アトランタ在住の彼は、LMGT3クラスで優勝した92号車ポルシェ911 GT3 R(マンタイ・ファースト・フォーム)のクルーとして、リヒャルト・リエツとリカルド・ペーラとともに表彰台の頂点に立った。イモラはハードウィックにとって、2017年のランボルギーニ・スーパートロフェオで初めてレースに出場したヨーロッパのサーキットだった。

 ハードウィックは次のように語った。「僕はバイクビジネスに携わっている。人生のほとんどをバレンティーノ・ロッシのファンとして過ごしてきた。彼のマシン(46号車BMW M4 GT3エボ)とここで戦えたことは、本当に特別なことだった。そして、彼らは今回のレースで非常に速かった」


■踏んだり蹴ったりの31号車BMW

 9度のモーターサイクル選手権チャンピオンであるロッシは、LMGT3クラスでのトップ争いの最中、レース開始4時間目にサイモン・マンの21号車フェラーリ296 GT3をクラッシュさせた責任を負った。このアクシデントによりチームWRTの46号車にはストップ・アンド・ゴー・ペナルティが科せられた。

 ロッシはレース後、「ポディウムに立てたのは良い結果だが、優勝できた可能性もあったため複雑な気持ちだ」と語った。「チームは素晴らしい仕事をし、マシンはとても速くタイヤマネジメントも良好だった。だから、落ち込んでいる。残念ながらオーバーテイクの際にミスを犯し、前を走っていたフェラーリに接触してししまった。その後のペナルティにより勝利を逃す結果となった。申し訳なく思っている」

 一方のマンは同じくレース後、ロッシがターン19でオーバーテイクを仕掛けてくるとは思っていなかったと語った。「リバッツァのふたつめでバレンティーノがインに飛び込んできた。あそこでオーバーテイクするのは珍しいので予想していなかったが、彼が鼻先を突っ込んできて、僕のクルマの後ろにぶつかった。僕にできることはあまりなかった。2台分のスペースはなかったんだ」

 ペナルティを受けたにもかかわらず、ロッシは『グッドイヤー・ウイングフット・アワード』を受賞した。この賞は、2025年から新たに導入された投票方式の一環として、ソーシャルメディアでのファン投票によって毎戦1名のLMGT3ドライバーが選ばれる。

 チームWRTの姉妹車をヤッサー・シャヒン、ティムール・ボグスラフスキーとともにドライブしたアウグスト・ファーフスは、クラス12位に終わった31号車BMWのレースを「すべてがうまくいかないレースのひとつ」と評した。彼らは、シャヒンのイアン・ジェームス(27号車アストンマーティン)との接触によるストップ・アンド・ゴーと、ファーフスによるタンブレロでの安全再合流違反によるドライブスルーのふたつのペナルティを受けた。さらに、終盤のドライバー交代時には、ファーフスが誤ってリヤウイングのエンドプレートを剥がしてしまう珍しいシーンがあり、その後ブラック&オレンジフラッグ(通称オレンジボール)が提示された。

 ハイパーカーとLMGT3の両方で2位を獲得したチームWRTは、今年これまでに参戦したすべてのレースで少なくとも1台が表彰台に上がるという記録を継続している。これには、ミシュラン・ドバイ24時間レースとミシュラン・アブダビ6時間レース、マグアイアーズ ・バサースト12時間レース、そしてポール・リカールで開催されたGTワールドチャレンジ・ヨーロッパ・エンデュランス・カップ開幕戦での総合優勝が含まる。


■スピンから立ち直り、ランキング首位をキープ

 ベン・キーティングは、ダニエル・ジュンカデラ、ジョニー・エドガーとともに開幕戦を制した後、36kgのサクセスバラストを積んだ33号車シボレー・コルベットZ06 GT3.Rでポイントを獲得できたことは「イースターの奇跡」だったと語った。

 今季TFスポーツからシリーズに復帰しているキーティングは、レース序盤の85号車ポルシェ911 GT3 R(アイアン・デイムス)とのアクシデントを乗り越え、クラス7位入賞を果たした。「残念ながら、私のスティント中に他車に衝突され、スピンさせられてしまった」と彼は述べた。「しかし、ある意味、結果にはとても満足している。すぐにコースに戻って正しい方向に進むことができ、ポジションは3つしか落とさなかったため、それほど大きなロスにはならなかった」

 キーティングとTFスポーツは、LMGT3クラスで引き続きランキング首位を守っている。2位のアーノルド・ロバン/フィン・ゲルシッツ組(78号車レクサスRC F GT3)との差は11ポイントだ。ランキング2位のコンビは“スーパーサブ”のエステバン・マッソンとチームを組み、日曜日のレースでクラス3位を獲得した。

 アストンマーティンTHORチームの公式国籍は、先週末のレースのエントリーリストに反映されているように、イギリスからアメリカに変更された。イアン・ジェームス率いるハート・オブ・レーシング・チームは、2台のアストンマーティン・ヴァルキリーに引き続きアメリカ国旗を掲げて走行している。

 週末3日間の観客数は6万5500人で、昨年の7万3600人から減少した。観客数の減少は、レースがイタリアの宗教的祝日であるイースターと重なったことが原因のひとつであると考えられている。

 WECの次戦は5月8~10日に行われる『スパ・フランコルシャン6時間レース』だ。この第3戦は6月のル・マン24時間レース前の最終ラウンドとなる。

[オートスポーツweb 2025年04月22日]

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