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「これは、名車ゴルフIIの再来か!」──新型フォルクスワーゲン ポロTSI R-Line試乗記

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「これは、名車ゴルフIIの再来か!」──新型フォルクスワーゲン ポロTSI R-Line試乗記

ビッグマイナーチェンジを受けたフォルクスワーゲンの新しい「ポロ」。今尾直樹がリポートする。

完成度の高いフェイスリフト

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フォルクスワーゲン・ポロがマイナーチェンジを受け、6月23日に発表になった。現行ポロは本国で2017年に登場した第6世代で、その先代の面影を残しつつ、「ゴルフ」譲りのプラットフォームの採用によって、このクラスの新たな基準となる高品質感を実現した、といってよいだろう。

その6代目ポロ、外観上の変更はLEDのヘッドライトとテールライト、それに前後バンパーにとどまり、パッと見の印象は大きくは変わらない。それだけ完成度の高いフェイスリフトだともいえる。

よ~く見較べてみると、フロントのデイ・タイム・ライニング・ライトが波型の1本線からカーブの2本線となり、バンパーの冷却口がグレードにより異なるものの、より立体的になっている。そのぶん、全長は10~25mm伸びている。

リアはほぼ四角形だった左右テールライトの上部がそれぞれボディ中央に向かって横方に伸び、写真を見ていただければ一目瞭然ですけれど、人差し指を伸ばしたみたいな形になって水平基調が強調されている。

これらの違いを把握すれば、ポロのマイナーチェンジ(MC)前と後の違いは一目瞭然。ピタリと当てれば、当たるも八卦、当たらぬも八卦の八卦見以上の尊敬が得られる……かもしれない。ボディ色に新色が加わっていることにも要注目だ。

内装ではデジタル・コクピットが標準となり、全車、液晶デジタル・メーターになった。インフォテインメントとエアコンの操作はタッチスクリーン式に変更されている。機械式メーターの時代は終わりを告げつつある。

機械面では、同一車線内全車速運転支援システムやLEDマトリックス・ヘッドライト・システムの搭載もあるけれど、いちばん大きなポイントはエンジンの変更だ。R-Lineに搭載されていた1.5リッター直4ターボが落とされ、すべて1.0リッター直3ターボ、それも社内で「EA211evo」と呼ばれている新世代ユニットに切り替えられた。

EA211evoは、従来の3気筒DOHCエンジンのボア×ストローク=74.5×76.4mm、排気量999ccはそのままに、可変バルブ・タイミング機構を利用してミラー・サイクルとしたことと、ミラー・サイクルの弱点であるレスポンス面を向上させるべく、可変ジオメトリー・ターボチャージャーを新たに搭載したことを特徴とする。早い話、現行ゴルフの最新の1リッターeTSIエンジンからマイルド・ハイブリッド機構を取り外した高効率ユニットなのだ。

グレード展開も見直され、ゴルフ同様、トレンドライン、コンフォートラインを廃止し、アクティブ、アクティブベーシック、スタイルに改められた。スポーティなルックスのR-Lineはそのままで、『GQ』ではそのR-Lineに試乗したので、その印象を簡潔に述べたい。

1980年代のゴルフIIを思い出す乗り味

これはヨイです。ゴルフより機構面もシンプル、つまり電動化されていない分、昔ながらのピュア内燃機関の自動車のよさがあって、私なんぞは1980年代のゴルフIIを思い出してしまった。じっさいには100mmほど長くて、70mmほど幅広く、35mm高いわけだけれど、まずもって、そのコンパクトネスがゴルフIIの正統を名乗るにふさわしい。

おまけに、いや、こっちを先に書くべきだったかも、だけれど、剛性感の高さがインプレッシヴで、乗り込んで走り出すなり、お、お、お、これぞゴルフIIの再来!とありがたく思った。MQBなるゴルフのプラットフォームを流用している、ということは1クラス上のモノを1クラス下に使っているのだから、まことに贅沢な話である。これだけでも第6世代のポロには価値がある。

その高剛性ボディに中低速トルクを増した1.0リッター直3ターボ・ユニットの組み合わせである。数値で検証すると、新世代1.0リッターは最高出力95ps/5000~5500rpm、 最大トルク175Nm /1600~3500rpm。MC前の1.0リッターと最高出力と最大トルクの数値はピッタリおなじながら、最大トルクの発生回転数が400rpm下がっている。より低い回転域から1.6リッター自然吸気エンジン以上のトルクを生み出す。

旧世代は、どちらかというとオン/オフ型で、ガバチョと踏むとギュウウウウンッと加速した。トルクの出方が、瓶詰めケチャップでたとえると、「う、つまっている」と思って、力いっぱい振ったらドバッと出た、みたいなことになりがちだった。それはそれで爽快感にもなっていたわけだけれど、新世代ではケチャップ、つまりトルクの出し入れがよりスムーズになっている。ドライブ・モードを山道でひとたびスポーツに切り替えると、ノーマル・モードには戻しがたいレスポンスが得られる。

おまけに新しいR-Lineの乗り心地はマイナーチェンジ(MC)前より、確実に快適になっている。215/45R17という超扁平タイヤを履いているのはおなじだ。ところが、MC前のR-Lineはサスペンションのセッティングがカタログの数値には表れていなかったけれど、若干ローダウンするほど締め上げてあった。

新型のR-Lineはそうではない。タイヤの当たり自体は硬めではあるものの、サスペンションにストローク感があって、低速でも我慢を強いられない。R-Lineだから硬い。硬いはR-Line。そのぶん、カッコいい。「路面がよくて高速になったら、こっちのものだ」とか、自分にいい聞かせる必要が新型のR-Lineではなくなっている。

95psで車重1190kgだから、ホットハッチと呼べるほどの動力性能ではない。現代のハッチバックとしてはけっして重いわけではないけれど、絶対的には重い。おまけに100psを超えていないパワーだから、アクセル・ペダルを床まで踏みつけることができる。性能をめいっぱい使い切る喜びが得られる。高性能車があふれかえっているこんにち、クルマではなくて、私がコントロールしている感が抱くことができて、筆者的には大いにうれしい。すテアリング・フィールも良好で、山道では適度にロールして気持ちよい。

なによりドイツ製品ならではの高品質感がヒシヒシとある。繰り返しになりますが、筆者をしてゴルフIIもかくや、と思わせたボディの剛性感は、第6世代のポロの最大の美点だ。現行ゴルフより20cmほど全長が短い分、取り回しがよくて、とはいえ、小さすぎないボディ・サイズは使い勝手がよさそうである。

ポロがドイツのベーシック・モデルとして誕生したのは1975年。以来、およそ半世紀で、累計2050万台以上が生産されているという。日本市場では累計およそ30万台。現在、女性の比率がいちばん多いフォルクスワーゲンがポロだそうで、主にセカンド・カーとして売れているという。

世界中で愛されているベーシック・カーのポロは、いまも電動化を拒否している。現時点では、電動化よりも、よりコンパクトなことに大きな理がある、とメーカー自身も判断した、ということだろう。

文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)

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