ルーティンのある人はEVオーナーに向いている
EV(電気自動車)に対しては賛否両論だ。エンジン車では実現不可能なレベルでの静粛性やスムースネスはEVの価値といえるし、大出力モーターによる刺激的な走りを誇るハイパフォーマンスなEVも少なくない。
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さらに、ガソリン価格の上昇傾向が強まる昨今は、家庭や職場で充電することでランニングコストを抑えられるという経済的メリットに注目して、EVへの乗り換えを検討している人も少なくないだろう。
その一方で、EV否定派は「充電がどうにも不安」という声があるのも事実。急速充電を利用したとしても、現状の技術レベルにおいてはガソリンや軽油を給油するのに比べれば何倍もの時間を要するし、急速充電インフラ自体も完璧に整備されているとはいいがたい。
しかし、充電の手間や時間だけを理由にEVを拒絶してしまうのはもったいないケースもあると感じている。初代リーフでEV生活をはじめ、いまはフィアット500eを所有してEVのあるカーライフを送っている筆者の経験をもとに、EVに向いたライフスタイル、その反対にまったくEVに向いていないライフスタイルを紹介したいと思う。
EVに向いたライフスタイルのキーワードは「ルーティン」だ。
クルマの用途は人それぞれだろうが、たとえば通勤・通学や近場の買い物で乗ることがほとんど、といったライフスタイルであれば、マイカーで走るルートはある程度固定されているはずだ。
平日は、朝起きて職場に行き、帰路で買い物に立ち寄る……といったルーティン的にクルマを利用しているのであれば、ストレスなく生活を送るのに必要な航続距離もわかりやすい。戸建てに住んでいて、普通充電の設備を用意できるのであれば、なおさらだ。
日々の走行範囲をカバーできる性能をもつEVを選べば、日々の生活に「帰宅して充電器につなぐ」といったルーティンを加えるだけで、翌朝までにバッテリーは満足いくレベルに充電されているだろう。
これはまさに、寝る前にスマホを充電するような感覚だ。充電がルーティン化すれば、EVにシフトしてもまったく問題ない。むしろ、たまにガソリンスタンドに立ち寄って給油するというルーティン外の行為が不要になるので、むしろライフスタイルを快適にするといえる。
週末にしかマイカーを使わないような人でも、毎週同じようなエリアのゴルフ場に行くだとか、決まった海岸でサーフィンを楽しんでいるといったライフスタイルであれば、自分に必要な航続距離は判断できる。
現在のEVであれば、満充電で500km以上を走行できるモデルも少なくない。ニーズに見合った性能をもつEVを選べば、「週末は日帰りレジャーを楽しんでいる」というユーザーであってもストレスを感じることなくEVシフトは可能だろう。
変化が大きく突発的対応が多い人はEVオーナーに不向き
EVに向いていないライフスタイルは、上記の逆で突発的な対応が多い人だ。
たとえば、突然遠くの客先を訪れることが多いような仕事をしていると、自分のライフスタイルに必要な航続距離を判断するのが難しい。仕事の途中では充電ステーションに立ち寄る時間が取れないというケースもあるだろう。こうした生活を送っている人は、EVに乗り換えるとストレスを感じるシーンが多くなってしまうのは仕方がない。
具体的には、毎日のように取材で東奔西走するモータージャーナリストのような職業はEVに向いていない典型といえる。自動車メディアがEVに否定的なムードなのは、彼らのライフスタイルが関係している面もあると思う。ただし、こうしたライフスタイルが多数派かといえば、そうではないだろう。
変化の多いライフスタイルでなければ、EVを拒絶してしまうのはもったいない。
また、車中泊を活用して気ままなドライブ旅行を楽しむという人もEVは向いていない。時間に縛られていなければ、高速道路のSA/PAや道の駅など、EVを充電できるスポットは多いため、EVでのロングドライブは可能だ。しかし、軽バンでの車中泊ライフを楽しんできた筆者だけの感覚かもしれないが、気ままなドライブに「EVの充電」という”計画”を組み込むことを嫌う人は少なくなさそうだ。
重要なファクターとして、EV向きかどうかを左右する資質は「計画性」といえる。
どんなにバッテリーが大きなEVでも、十分に充電されていなければ遠出することはできない。「明日はドライブを楽しむぞ」と思ったら、必要なだけ事前に充電しておく(前日に充電器につないでおく)という計画性が、EVに合ったライフスタイルには必要だ。
前半で、EVを自宅の普通充電につなぐことを”寝る前にスマホを充電するような感覚”と記したが、スマホの充電を忘れてしまうことが多く、出先でモバイルバッテリーをレンタルすることが多かったりするような人は、EVでも同様の失敗をしてしまう可能性が高そうだ。
うっかり充電を忘れただけで満足に走れなくなるEVより、ガソリンスタンドを見つければどうにかできるエンジン車のほうが安心できるという主張は、十分に理解できる。
もっとも、ガソリンスタンドがどんどん減っているのも事実。地域によってはガソリンスタンドというインフラが足りなくなり、EVへ乗り換えることを余儀なくされるケースも出てくることだろう。
そうした未来にストレスを感じることなく、EVの快適なカーライフを享受するためには、まずは日常のスマホ充電から『計画性』を習慣づけてみるのはいかがだろうか。その一歩が、EVのある豊かなライフスタイルへつながるはずだ。
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