ハイパフォーマンス・セダンが欲しいひとに勧めたいのが、ボルボ「S60 T8ポールスターエンジニアード」だ。スウェーデンうまれのプラグ・イン・ハイブリッド・モデルで、一見エレガントなクーペライクのボディに、モータースポーツのテクノロジーを搭載する。
S60はボルボの手がけるアッパーミドルクラスのセダンだ。2018年にステーションワゴン版の「V60」が日本でも販売開始され、2019年11月にセダン版のS60が追加販売された。
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【主要諸元】全長×全幅×全高:4760mm×1850mm×1435mm、ホイールベース:2870mm、車両重量:2030kg、乗車定員:5名、エンジン:1968cc直列4気筒DOHCターボ(333ps/6000rpm、430Nm/4500rpm)+モーター(フロント22kW/160Nm、リア28kW/240Nm)、トランスミッション:8AT、駆動方式:4WD、タイヤサイズ:235/40R19、価格:919万円(OP含まず)。昨今、かつてセダンを買っていたひとたちの多くはSUVへ流れ、とりわけ上級モデル市場では、「セダンは機能性の高い(4ドアの)クーペと、とらえられている」と、ボルボは述べる。
新型S60は、流麗なルーフラインでキャビンをやや小ぶりに見せるいっぽう、フェンダーを力強く張り出させて、ドライバーズ・カーであることを強調する。かつてクーペを好んだ層にもアピールするスタイリングだ。
ボディは全長×全幅×全高:4760mm×1850mm×1435mm。フロントグリルやリアバンパーは専用デザイン。19インチの鍛造アルミホイールやゴールドカラーのブレーキキャリパーは専用デザイン。今回乗ったS60 T8ポールスターエンジニアードは、S60の頂点に位置するモデルだ。日本未導入の「R-Design」仕様がベースで、グリルをはじめ、前後バンパー、テールカッター、サイドウィンドウフレーム、ドアマウントのミラーカバーなどが、ブラックで統一されている。
くわえて、ゴールドのブレーキ・キャリパーが見える。これはブレンボ社がポールスター社と専用開発したもの。ポールスター社は、ボルボ傘下でBEV(バッテリー駆動のEV)開発を手がけるいっぽう、ボルボブランドの電動車のチューンも担当する。
フロントグリルやトランクリッドは、ポールスターの専用エンブレム付き。従来ポールスター社は、ボルボ車をもとにしたレーシング・マシンで名を馳せていただけに、“ポールスターが(一部の)エンジニアリングを担当した”と聞くだけで、高い関心を抱くファンも少なくないようだ。
おとなっぽいハイパフォーマンス・セダン試乗すると、とても気持がいいクルマだった。ポールスター社がチューニングを施したエンジンは最大トルク430Nmを発揮する。おなじプラグ・イン・ハイブリッド仕様の「T6 ツインエンジンAWD」と基本的におなじエンジンであるが、T6の最大トルクは350Nmである。エンジンにくわえ、モーターの最大トルク240Nmが上乗せされる。したがって、相当速い。
静止状態から100km/hまでに要する時間は4.3秒。搭載するガソリン・エンジンは1968cc直列4気筒DOHCターボ(333ps/6000rpm、430Nm/4500rpm)。速いことは速いが、カリカリのスポーツチューンではなく、T6の長所をさらに伸ばしたような印象だ。T6に乗っていないひとはわからないと思うので、もう少し詳しく書こう。
T8ポールスターエンジニアードは、50kmぐらいまでは力強いEV走行が可能な設定で、スムーズな加減速、やたらクイックではないが正確なステアリング、ボディのロールを適度に許しつつカーブではライントレース性の高いハンドリングを持つ。
さらに、高い静粛性、しっとりした乗り心地、居心地のいい内装も魅力だ。ブラックに統一されたインテリアは、レザー張りのバケットシートが備わり、グリップの太いステアリング・ホイールは握り心地も良好。専用カラー(ゴールド)のセイフティベルトが”ただものではない”雰囲気を出している。そして、さきに触れたとおり、エレガントさとスポーティさを両立させたスタイリングも魅力である。
インテリアの各所にアルミニウムパネルを使う。フロアマットなども専用デザイン。フロントシートは電動調整式。シートベルトは専用カラー(ゴールド)。リアシートはセンターアームレスト付き。リアシートのバックレストは40:60の分割可倒式。「Bowers & Wilkinsプレミアムサウンド・オーディオシステム」(15スピーカー)は33万円のオプション。T8ポールスターエンジニアードは、前述のとおりブレンボ社と共同開発したフロント6ピストンのブレーキをはじめ、22段階(マニュアル)調整式のオーリンズ社製「デュアルフローバルブ ショックアブソーバー」、強化スプリング、ストラットタワーバーに武装されている。それらが上手にチューンされてバランスよい仕上がりである。
メルセデスAMGやBMW Mが、クイックさを身上としているとすれば、ボルボ ポールスターは日常的な気持よさを主眼にしている。スポーツモデルとはいえ、ステアリングも超クイックでないし、コーナーに入ったとき車体は適度にロールする。
速いペースで飛ばせば、クルマもきちんと応えてくれる。いっぽう、長い距離を走っても、まったく疲れない快適性を備えている。おとなっぽいハイパフォーマンス・セダンといえばいいだろうか。
22段階(マニュアル)調整式のオーリンズ社製「デュアルフローバルブ ショックアブソーバー」は標準。ペダル類は専用のスポーツタイプ。メーターパネルはフルデジタル。ナビゲーションマップも表示出来る。モーターだけでも十分はやい!ギアシフターの近くにある円筒形のドライブモードセレクターで、「コンスタント AWD」「ピュア(エコモード)」「ハイブリッド(日常使用)」「インディビジュアル」そして「ポールスターエンジニアード」と5つのドライブモードが選べる。
駆動方式は4WD。ドライブモードはインフォテインメント用画面でも選べる。セレクターレバーは専用デザイン。スポーツドライブを楽しもうというときは、エンジンとモーターがフルに稼働し、ステアリングとブレーキ、シフトプログラムが(上の回転域を積極的に使う)スポーティなダイナミックモードになる「ポールスターエンジニアード」を選べばよい。
いっぽう、ふだん使いなら、エアコンがエコモードになり、125km/hまでならモーターを最優先する「ピュアモード」か、あるいは、走行状況に応じてエンジンを稼働させる「ハイブリッドモード」がいい。
ステアリング・ホイールはパドルシフト&ヒーター機能付き。チルトアップ機構付電動パノラマガラスサンルーフは標準。ラゲッジルーム容量は442リッター。モーターだけでも充分力強い。追い越し加速でもパワー不足を感じる場面はなかった。ちなみに、「コンスタントAWD」と「ポールスターエンジニアード」のドライブモードでは、175km/hまではモーターはつねに稼働する。それ以上の速度になると、モーターの最高許容回転速度を超えるため、噛み合いが外れ、エンジンのみで走行するという。
バッテリー残量が不安なら、エンジンの動力を使って走行中に充電する「チャージ」を起動させればいいし(燃費が少し悪化する)、バッテリー残量を保持したいときは「ホールド」を設定すればいい。
給電口はフロントサイド(左前輪タイア付近)にある。そもそも回転フィールのいいエンジンなので、「どうしてもEVモードを!」と、願う機会はそう多くないのでは? と、思う。まぁ、電動車であることを堪能できる機能(EVモード)があると思ってもらえばいいかもしれない。
日本でのプライスは919万円。30台限定である。きになる人は……と、記したいが、なんと、販売初日に売り切れてしまったという。今後、追加導入されるかどうかはわからない。ただし、2020年夏頃、V60のT8ポールスターエンジニアードが導入されるという。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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