この記事をまとめると
■スポーツカーには直4や直6、V8、V12などさまざまなエンジンが採用されている
レーシングドライバーでも操れない! 運転が難しすぎる市販車3選
■もっとも愛されているスポーツカーのエンジンを考えてみた
■生産台数から考えると世界一の愛されスポーツカーエンジンはOHVのアメリカンV8だ
さまざまなタイプのエンジンを採用するスポーツカー
スポーツカーのエンジンといわれて真っ先に思い浮かぶのはどんなエンジンでしょう。直列6気筒ターボ付き? はたまたツインカムのV12? あるいはなんの変哲もないOHVの4気筒をうっとりしながら思い出す方だっているかもしれません。なかなか優劣はつけがたいものかと思いますが、世界でもっとも愛されているエンジンとはどんなものか、ちょっと探ってみましょう。
現代におけるスポーツカーのエンジンといえば、高回転域でのアドバンテージを狙ったDOHCがメインストリーム。まれにSOHCでツインカムに劣らない吸排気効率を誇るエンジンもありますが、クルマ好きの心を捉えて離さないのは「ダブル・オーバー・ヘッド・カムシャフト」という呪文のような言葉にほかなりません。やっぱり、シングルよりもダブルのほうが好まれそうです。
また、ツインカムエンジンの給気効率をブーストアップさせるためのターボやスーパーチャージャーを追加したエンジンもあり、ラーメンでいうところの「全部載せ」に等しい魅力を備えているように思います。ウェイストゲートが奏でる緊張感あふれる高音ほど、クルマ好きをメロメロにするものもないでしょう。
では、主流から外れたところにいるエンジン、たとえばなんの変哲もない直4で、DOHCどころかOHVだったりするタイプは不人気ということでしょうか。これは、古い英国車、しかも庶民の手が出るスポーツカーでは一般的なタイプですから、「OHVの小排気量エンジンを限界までまわしてこそスポーツカー乗りなのだ」なんてユーザーも少なくないかと。
ヒストリックカーレースなどで、小さいミニが並み居るスポーツカーを蹴散らし、悲鳴に近いエキゾーストノートを鳴らしているのがこういうエンジン。なるほど、男らしい魅力には事欠きません。
世界一の愛されスポーツカーエンジンはV8 OHV?
むろん、このほかにもエンジンごとにその魅力を発揮しているクルマやシチュエーションは星の数ほどあるはず。世界でもっとも愛されているエンジンを選び出すのは「ちょっと無理!」かと思いきや「スポーツカーに搭載されていて、生産台数が世界で一番多いエンジン」というソリューションがありそうです。これなら主観を除き、ともかくは数字から導き出せるかもしれません。
そこで、今回は2シーターのピュアスポーツカーに的を絞ってみましょう。たしかに、クーペ/セダン系スポーツカーもあるっちゃあるうえに、BMW M5みたいな素晴らしいエンジンも存在しています。が、シンプルに世界最愛を求めるためには、涙を呑んで今回は見送りとします。
すると、ダントツで生産台数が多いのはシボレーのコルベット。なにしろ1953年から製造が開始されていますから、C1からC8(2022年まで)をトータルすると171万6240台という数に上ります。
もちろん、初期には直6搭載モデルも存在しましたが誤差の範疇と考えても差し支えないでしょう。それ以外は、ほとんどすべてがV8、しかもOHVというスポーツカーエンジンの流行からは大いに外れたもの! ですが、厳然と世界で一番生産されている「スポーツカーのエンジン」であることは間違いありません。
もっとも、アメリカでは複雑な機構をエンジン上部に構えるDOHCやSOHCよりも、重心高が低くなるOHVが好まれていることも見逃せません。「ずいぶん古臭え」と思うのもごもっともですが、掘っ立て小屋でヨボヨボの爺さんがでっかいレンチ持って出てくるような工場も少なくないアメリカでは、「古くても確実なもの」が通用しやすいということも事実。
実際、このロジックでいくと、スポーツカーのエンジンどころか、すべてのクルマに搭載されているなかでの一番人気もアメリカ製OHVに持っていかれることもやぶさかではありませんね。
もっとも多く生産されているエンジンがもっとも愛されているかは難しいところですが、少なくとも「愛されるチャンス」はコルベットのV8エンジンがダントツ。これに納得できないとしたら、ご自分のエンジンをより深く愛することで対抗してみてはいかがでしょう。たとえば、いったんクルマから降ろして、洗浄槽に一緒に入るとか、全バラして一から自分で組みなおすとか、愛情表現はいくらでもありますぞ(笑)。
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