今季ターマック・ラウンドの幕開けとして7月4~6日に開催されたERCヨーロッパ・ラリー選手権第5戦『Rally di Roma Capitale(ラリー・デ・ローマ・キャピターレ)』は、同郷で2度の優勝経験を持つアンドレア・クルニョーラ(シトロエン・C3ラリー2)との手に汗握る争いを制したジャンドメニコ・バッソ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が、自身3度目のローマ制覇を達成することに。直近の投票で『ERC史上最高のドライバー』にも選出されているERC“2冠”の大ベテランが、2019年と2021年に続く同地通算3勝目を飾っている。
予選ステージから夜のスーパースペシャルステージ(SSS)と、入れ替わり立ち替わりで主役が交代した帝国首都の1戦は、ピレリタイヤを装着したアンドレア・メベリーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2)のQF最速で幕を開けると、そこへERCポイントリーダーのミコ・マルチェク(シュコダ・ファビアRSラリー2)が追随。さらに2023年ERC4チャンピオンのロベルト・ダプラ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が「汚れたコーナーでコースアウトした」と報告しながら3番手に続くなど、群雄割拠の状況となった。
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「まずはホームに帰れてうれしいよ」と地元戦で絶好のスタートを切ったメベリーニ。「厳しいラリーになるだろうが、どうなるか見てみよう」
さらに、お馴染みとなったコロッセオACIローマのSSSでは、イタリア在住のスロベニア人ドライバーであるボシュティアン・アヴベリ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が「全力でプッシュしたがイタリア選手権のパワーステージなので、これは重要な結果だ。スピードには満足している」とメベリーニを僅差の2番手に抑え、さらにMRFタイヤを装着したシモーネ・テンペスティーニ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が3番手に。
地元ラウンドで3連勝を目指すアンドレア・クルニョーラ(シュコダ・ファビアRSラリー2)は、ここで今大会に地質・水質学的不安定性に対する森林再生プロジェクトのスペシャルカラーリングで挑むシモーネ・カンペデッリ(シュコダ・ファビアRSラリー2)と4位タイの同タイムをマークした。
「明日はステージ一番乗りだから、今夜は他の選手たちより少し睡眠時間が短い。それが一番重要な課題だ。それ以外は順調さ。コロッセオが描かれたルーフはなんて美しいんだろうね、今夜は素晴らしい写真が撮れると思うよ」と、同じく記念ルーフカラーをまとって予選ステージを制していたメベリーニ。
迎えた本格ステージ初日は各ドライバーが自身のドライビングを見つめる展開となり、先頭を走っていたメベリーニはSS6最速のクルニョーラに対し14.1秒遅れて4番手に後退。「何が起こったのか分からない。タイヤがオーバーヒートしないようにしていたんだ」と語り、午後のループでも「僕が遅かったから、タイヤがオーバーヒートしたわけじゃないみたいだね」と、ポディウム圏内から脱落することに。
同じくSS2でバッソとベストタイムを分け合ったマルチェクは、シーズン最長となる34.57kmのSS3でベストタイムを記録したものの、続くSS4でオーバーシュート。「昨年はトップ10タイムを出すのが難しかったが、今はイタリア勢に匹敵するスピードだ。明日の可能性を見極めるが、無事にここまで来られたのは良いことだ。何もアクションがない日ではなかった」と、優勝戦線の背後に留まる。
さらにSS5で自身初のERCステージ最速タイムを記録し、最終ステージでもベストを叩いてマッズ・オストベルグ(シトロエン・C3ラリー2)をパスしたERC4王者ダプラも「残念ながらSS3でスピンした。左ジャンクションでハンドブレーキを使うという本当に愚かなミスを犯してしまったんだ」と悔やみ「もっとプッシュしようとしたが、やりすぎだったと思う。スピンがなければ8~9秒差で、もっと首位に近づけたはず」だと、WRC2サルディニア優勝者の実力を誇示する。
そして2番手バッソに対しわずか3.3秒差で地元開催の初日を首位で終えたクルニョーラも、最終ステージで調子を落としたことで自身のドライブに改善の余地があることを認めた。
「もしタイムを失ったとすれば、それは自分のドライビングが充分ではなかったからだ。その理由を理解し、明日に向けて自分自身の課題に取り組まなければならない。リードは非常に狭く、完璧なパフォーマンスを発揮しなければならないね」とクルニョーラ。
明けた最終日も午前からお互いにプレッシャーを掛け続ける精神戦が続き、バッソがSS8時点でギャップを2.7秒まで縮めると、続く30.59kmのSS9を制して0.2秒差でラリーリーダーの座を奪取。これに反応したクルニョーラもSS10終了時点で2.5秒差までリードを奪い返していく。
しかしここで無情のエンディングが訪れ、サービスからのリグループで2分遅れたクルニョーラが20秒加算のタイムペナルティを受け5番手に後退。そのまま最終パワーステージでも冷静さを保ち、背後のメベリーニを抑えたバッソが見事な勝利を飾り、同時に50歳以上を対象としたマスターERC部門での栄冠も獲得した。
「簡単な状況じゃなかったさ。ギャップを管理するのは大変で、後ろの血気盛んなドライバーたちは懸命に戦っていたんだからね」と語ったバッソ。
その一方、この2位ポディウムでスタンディングでもマルチェク(3位入賞)に次ぐ2番手に浮上したメベリーニは、感極まった様子で地元戦の奮闘を振り返った。
「最高だ。故マッテオ(・ドレット/ジュニアERCドライバー)のご家族には、全力を尽くすと約束した。これは彼のためだ。彼をあまりにも早く失ってしまったからね。感傷的なのは承知しているが、イタリア人とはこういうものさ」と続けたメベリーニ。
「イタリア人であることを本当にうれしく思っている。素晴らしい走りを見せ、優勝争いに迫るところまで来られたし、これは僕たちにとって素晴らしいことだ。これは僕たちを支えてくれたすべての人々への感謝で、本当に大切なことなんだよ」
引き続きターマック戦が予定されているFIAヨーロッパ・ラリー選手権の第6戦は、来月8月15~17日に『Barum Czech Rally Zlín(バルム・チェコ・ラリー・ズリン)』が待ち受ける。
[オートスポーツweb 2025年07月11日]
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