最近LEDランプの装着車が増えてきて、眩しいと感じることはないだろうか。
新車でヘッドライトのLED化が進み、輸入車では昼間のデイライトを点灯しているモデルが多いことも気になる理由といえる。
新型車のオートライト義務化から1年! オートライトのメリットとデメリットとは
車両後部の灯火類も新しい世代のモデルからLEDが採用されつつあるいっぽうで、ドライバーにとって有効な視認効果が得られるとはいえ、眩しすぎて目障りになってしまうのは困る。
また、霧が発生しているわけでもないのに、リアフォグランプを点灯しているクルマも多くみかける。
そこで、LEDランプの光り方などを含め、後部のライト類の保安基準はどうなっているのか確認してみた。
文/岩尾信哉
写真/ベストカーweb編集部 トヨタ BMW Adobe Stock
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車両後部のさまざま灯火類
レクサスLSのLEDリアコンビネーションランプ
ユニオンジャック柄にデザインされたMINIのテールランプ
いうまでもなく、自動車の安全性に関わる装備の保安基準は道路運送車両法に細部にわたって定められ、灯火類は車検時に整備状況を含めて細かく検査される。
自動車の灯火類とひとことで言っても、車体後部の保安部品だけでも、尾灯(テールランプ)、制動灯(ブレーキランプ)、補助制動灯(ハイマウントストップランプ)などがあり、車両全般を見れば、前部では前照灯(ヘッドランプ)、昼間走行灯(デイタイムランニングライト)、車両前後として車幅灯(ポジションランプ)、方向指示器(ターンランプ)などがあるのだから、保安基準もさまざまある。
道路運送車両法に定められた車両後部に装備義務がある灯火類については、保安基準と「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」(2020年5月29日施行)などにより、第37条と第262条(尾灯)、第39条と第263条(制動灯と補助制動灯)などによって基準が定義される。
基本となる道路運送車両法の保安基準の第62条に基づいた、尾灯の灯光の色、明るさ、個数、取り付け位置などについて抜粋していくと、尾灯は光を発する光源とこれを覆うカバー部などで構成され、車両後面に左右対称に1個ずつ装備される。尾灯と制動灯ともにどちらも赤色であることが規定され(車幅灯は白色)、「照射光線は他の交通を妨げないものであること」を基本としている。
リア回りの灯火類では、部品名としてはリアコンビネーションランプとひとくくりにできても、これらの機能の違いは明らかだ。主な装備といえる尾灯と制動灯を採っても、光源(電球)の出力などによって視認性に違いをもたせている。
●尾灯:夜間にその後方300mの距離から点灯を確認できる光源が5W以上30W以下で照明部の大きさが15cm2以上
●制動灯:昼間にその後方100mの距離から点灯を確認できる光源が15W以上60W以下で照明部の大きさが20cm2以上
さらに機能上のポイントといえるのが、「尾灯と兼用の制動灯は、同時に点灯したときの光度が尾灯のみを点灯したときの光度の5倍以上となる構造であること」だ。これがLEDランプであれば、その特徴といえる一定の方向に光が絞られて発せられる指向性の強さから、後続車両から見るとブレーキランプがより眩しく感じるのは当然に思える。
ここでLED (Light Emitting Diode:発光ダイオード)について少し捕捉しておくと、LEDランプ(正確には素子)は、個々のランプに点検が義務づけられ、照明部全体を示すものではなく、ランプ全体が多くのLEDで構成されている場合には、ひとつでも“玉切れ”していれば車検は通らないことになる。
規定の細かいハイマウントストップランプ
LEDのハイマウントストップランプを採用するプリウス
こちらも照射部をコンパクトに仕立てられることでLED化が進んでいるハイマウントストップランプ(補助制動灯)は、2006(平成18)年以降に製造された車両に義務づけられ、制動灯の第39条とともに第43条に定められている。当然ながら、尾灯と兼用でないことや、制動灯が作動する場合のみ点灯する構造であることが定められている。
照射範囲については、「水平面から上方10度の平面及び下方5度の平面」「(左右)10度の平面」とされ、照明部の下縁の高さが地上から85cm以上または後面ガラスの最下端の下方15cmより上方に、照明部の上縁を含む水平面以上となるように取り付けられていることと、かなり細かく規定されている。
補助制動灯の照明部の中心は、車両中心面(“面”の表現は漠然としていて、車両の中央あるいは中心の軸というべきだろう)上にあること。
ただし、自動車の構造上、その照明部の中心を車両の“中心面”に取り付けることができない場合は、 照明部の中心を車両後部の“中心面”から15cmの間に取り付けるか、中心面から両側に1個ずつ取り付けることができるなどとある。
デザインと安全性の二兎を追うLED化
アウディe-tron GTに採用されたLEDコンビネーションランプ。LEDが左や右に流れるように点灯する
さて、法律上の定義はさておいて、現実のLEDランプの眩しさについて、光の強さを定義する光度を目安として探ってみよう。
車両後部に灯火類を設置する方法としては、リアサイドボディの後端部(車両後部の後続車両から視認できる部分)とトランクリッドもしくはテールゲートに装備するわけだが、ボディ側のみに設置する場合とボディとリッド部分に組み合わせて設置する場合があるのは周知の通り。
リッド側に反射材を組み合わせている場合(後付け仕様も多く見られる)もあるが、アフターパーツとして機能よりもファッション性に重きが置かれていることも多い。
LEDをリアランプに使用するメリットとしては、光源にLEDを用いることで、従来の白熱電球タイプに比べて、省電力と長寿命を実現することだ。
なにより応答性の高さを利して、後続車からの認知度を高めて安全性向上に寄与する。見栄えについても、LEDの発光の仕方やランプ全体の構造を工夫することで、従来とは異なる目新しいデザインも見られるようになった。
最近ではアウディの上位車種では曲げ加工が可能な有機ELを採用して、立体的なデザインを成立させている例もあるなど、LEDランプがランプのデザインに広がりをもたらしている。
出典:小糸製作所
LED化のデメリットとは?
LED化されたカムリのリアコンビネーションランプ
それではリアランプのLED化のメリットに対して、デメリットはないのだろうか。前表のように、光度のイメージが電力消費を示すワット数ではイメージできないので、昼間走行灯(デイタイムランニングライト)の基準をからめて考えてみると、DRLの保安基準では光度は400カンデラ以上から1440カンデラ以下とされている。
ということは、LEDのブレーキランプが、日差しで効果が弱まっている昼間でも眩しく感じることがあるデイライトに近い光度で光っている場合があることになる。
先に触れたとおり、LEDランプを眩しく感じる要因になる指向性の高さは、現実には「慣れればOK」というレベルを超えているように思える。
特に夜間に先行車両がブレーキを頻繁に作動させるような場合には、LEDのブレーキランプが白熱球よりも素早く反応することは追突など事故防止に有効なのはわかるとはいえ、多くのLEDヘッドランプと同様のレベルでの明るさが煩わしく感じられるケースもあるはずだ。
たとえば、大型のリアコンビネーションランプでは、ブレーキランプを周囲の上部に線状に配置したり、横方向に長いデザインを施すなど、面積を抑えつつ視認性を高めるなどの工夫はなされているとはいえ、高い機能と裏腹な部分があって難しい。
多くの高級ブランドのモデルが、LEDヘッドランプに眩惑を抑えるために配光を自動的に変更する機能を採用する例はあれど、見栄えという商品性を考慮しても、LED化されたリアランプにもデザインや機能に関して、実際の路上で利用するにはまだまだ工夫の余地がありそうだ。
LEDランプのデザイン処理の手法は様々だ。最近では多くのLEDランプを装着したうえで、ボディとゲート部分の継ぎ目に電球を追加して、マットな感覚を生み出しているモデルも出てきている。
霧でもないのにリアフォグを点けるな!
トヨタC-HRのリアフォグランプ(下)は寒冷地仕様とセットでメーカーオプション( kazu8@Adobe Stock)
最後に最近やたら、霧や雨で前で見えにくいわけでもないのに首都高速道路などでよく見かけるリアフォグランプを点灯しているクルマ。
リアフォグランプという名前の通り、この灯火器は濃霧(フォグ)の時に使用することで、後続車に自車の存在をアピールするためのものだ。
欧州では濃霧が発生する地域も多く、追突事故を防ぐために1980年代後半あたりから搭載されるようになってきた。
夜間に視界が良いにもかかわらず、リアフォグランプを点灯させているドライバーのなかには、「リアフォグについての規定はないので、法律上は違反行為とならない」と思っている人もいるのかもしれない。
確かに道路交通法第52条の車両等の灯火では「2:車両等が夜間(政令等で定める場合は夜間以外も含む)他の車両と行き違う場合または他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない」とされている。
これはハイビームで周囲のクルマに迷惑をかけないよう規定されているものだ。後続車に対する配慮は含まれていない。だが、道交法で定められているその他の条項には、晴天時のリアフォグランプの使用が抵触するものがあるのだ。
道交法に限らず法律には本則だけでなく、様々な細かい規則を定めるための附則というものがある。道交法第76条の「禁止行為」では道路上で行なうことを禁止する様々な危険な行為、迷惑行為を定めている。
この本則には抵触しないものの、各都道府県の道路交通法施行細則または道路交通法施行規則には、「みだりに車両等の運転者の目をげん惑するような光を道路に投射すること。」という条項がある。
これは後続車の運転者に対しても適用することができるので、後続ドライバーの目を幻惑するリアフォグランプを必要性のない状態で点灯していれば、この法律に抵触する。
実際にはハイビームのままで走行しているドライバー同様、リアフォグランプを点灯したまま走行していて、交通取締りに遭ったという話は聞かない。
それは違反しても軽微な場合、警察官が取り締まることがほとんどないからだ。しかし、シートベルトや、ながら運転を取り締まっている状況もあるのだから、ハイビームやリアフォグランプも取り締まって(せめて注意は)ほしいものである。
インプレッサのリアフォグランプ
それにもし追突事故が起こって、追突した後続車のドライブレコーダーに、前走車のリアフォグランプが点灯していることが記録されていたら、それが事故を誘発した要因の1つとして、前走車のドライバーの責任が重くなることは確実だ。
ただし、ドラレコを装備しているからといって、リアフォグランプを点灯させたクルマの後ろを追従して走行を続けるのは危険だ。
対処法としては、車間距離を思い切り長くとること。リアフォグランプはレンズの仕様により、特定の距離にいるドライバーに強く存在をアピールするようになっているので、極端に近付いたり離れたりすれば、眩しさからは開放される。
日本国内で販売されている国産車のなかで、リアフォグランプが装備されているのは、SUVやスポーティなクルマに多い傾向がある。
どちらも山や峠道など濃霧が発生しやすい地域を走行する機会が多いことを想定しているのだろう。
SUVの多いスバルのほか、マツダ車は4WDのみに採用し、スズキは上級グレードだけに標準装備。またライズやロッキーの上級グレードに標準装備されるが、ヤリスクロスやハリアー、RAV4はメーカーオプションとなっている。
またレクサスLXは標準装備となるが、UX、NX、RXは寒冷地仕様のメーカーオプション(2万6400円~)としてリアフォグランプが設定されているなど、SUVでもメーカーによって採用基準が異なっている。
このように日本で販売される国産車にもリアフォグランプ搭載車が増えているのは、安全性を高めるためと世界基準で生産していることが影響しているといえそうだ。今後はますます搭載車は増えることだろう。
リアフォグランプをみだりに使用せず、必要な時にはしっかりと点灯させて後続車と自分の安全を高めるために利用するよう心がけよう。
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