5月14日、ドイツのニュルブルクリンクで、『2026 ADACラベノール・ニュルブルクリンク24時間レース』が開幕。走行初日となったこの日は、13時15分から2時間と、20時から3時間30分、2回の予選セッションが行われた。
今回のニュル24時間には日本勢が多数エントリーしているが、総合優勝を争う最高峰SP9クラスに蒲生尚弥と福住仁嶺というふたりの日本人ドライバーを送り込むKCMG(47号車メルセデスAMG GT3エボ)も注目チームのひとつ。ともにニュル24時間で優勝経験のあるデビッド・ピタード、イェッセ・クローンというふたりの実力派ドライバーと組んでの出場であり、チームはNLS(ニュルブルクリンク耐久シリーズ)にも参戦しながら準備を重ねてきた。
2026年/第54回ニュルブルクリンク24時間レース TV放送/タイムスケジュール/最新エントリーリスト
蒲生はニュルでの豊富な経験を持つも、SP9からの出走は初。そして昨年ニュルのライセンスを取得した福住もニュル24時間デビューを迎えるというフレッシュさもありながら、いきなり『勝てる体制』の一部となって結果が期待される立場でもある。走行初日、最初のセッションを終えたふたりに、現在の心境や決勝に向けた思いを聞いた。
■土砂降りの雹と晴天が混在したニュル初日
ニュルブルクリンク24時間には2013年から参戦してきた蒲生は、4月の予選レースからチームに合流。自身初めてSP9クラス(GT3車両)での参戦となるが、「予選レースまでの時点で、デビッドとジェシーが仕上げてくれていて、NLSでもポールを獲っていますし、クルマとしては調子はいいですね」と語る。
その予選レースまでの実績が考慮された47号車は、トップクオリファイ3(SP9、SP-Xなど上位クラスにより争われるノックアウト式予選の最終ステージ)への進出が主催者から発表された5台の車両のうちの1台となっている。
過去はトヨタGAZOO Racingからの参戦だった蒲生は「そこでのメインは車両開発だったので、とにかく完走することが目標でした。今年のSP9はもう、本当に世界のGT3マニュファクチャラーとトップチーム・ドライバーが集まるなかで競争するので、なかなかいままでになかった環境で、ニュルでレースをさせてもらっていますね」とSP9初出場の緊張感はありながらも、どこか充実した表情を見せる。
一方、ニュル24時間レースへのデビューを飾る福住は、まだこのサーキットでの走行経験が不足しているという認識だ。その表情も若干硬い。
「(3月に)NLS第2戦を走らせてもらったときが、パーミット(ニュルのライセンス)取得以来のこのサーキットでの走行となりました」と福住。
「まだまだ経験が浅い中で、SP9クラスでいきなりのレースという厳しい環境でしたが、ある程度雰囲気とかクルマには慣れました。ただ、自分の場合はどうしても他カテゴリーをたくさんやっているので、リセットされてしまう部分があります」
「そこをなるべく短い時間でアジャストできるようにと考えながら走っています。4月の予選レースも土曜日のレースが(大事故により)キャンセルとなり、決勝は僕のミスでリタイアになってしまったりしたのですが、かなり経験を得ることはできたのかなと思います。ただ、まだまだですね。まずはクルマに徐々に慣れていくことを中心にやっています」
この日、予選1回目の終盤では、グランプリコース周辺は土砂降りの雹に見舞われたが、北コースの奥は太陽が照らすという、まさに“ニュル・ウェザー”な状態に。同様にぐずついた予報が、決勝日まで続いている。
この天候には「やばいな、って思います」と福住も困惑の様子。
「これがいきなりレースで来るかと思うと、タイヤ選択も非常に難しい。でも、どんなに(コースの一部で)雨が降っていても、ドライタイヤでいかなきゃいけない状況も出てくるだろうし。そうなると水にも乗りやすいでしょうし、一瞬で終わっちゃう可能性もあって……まぁ『やべぇことやってるな』と思います」
優勝経験を持つピタードとクローンについて福住は「どんなコンディションにおいても、『プッシュはしつつも少しマージンを見ている。でも速い』みたいなところが非常に優れていると思います」と語り、「僕も早くそういう次元に追いつかないといけない」と表情を引き締める。
初のニュルブルクリンク24時間でのターゲットを福住に問うと「完走は絶対マスト」と言う。
「今回のような難しいコンディションだといろいろなリスクがありますし、どんなに気をつけても何かが起こってしまう可能性はあると思うんですけど、しっかりと走らないと何も意味がないので、リスクはあまり負わないようにしながらも、ある程度はプッシュはしたい。あまり目の前ばかりを見ずに、(24時間という)長いスパンでレースを見ていきたいですね」
予選最終ステージ入りが決定している強豪チームからの出走ということもあり、福住は「非常にプレッシャーはある」と語る。過酷なコース、そしてプレッシャーと隣り合わせの中で、果たしてどんなデビュー戦が待っているのだろうか。
[オートスポーツweb 2026年05月15日]
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