木の振動版などを使用するスピーカーの真意とは?
1992年から毎年5月に開催されている「人とくるまのテクノロジー展」。横浜と名古屋で開催されている自動車技術専門の展示会です。そのなかでも今回はクルマとは無縁なスピーカーが展示されていました。会場に足を運んだモータージャーナリストの中村孝仁さんにレポートをしていただきます。
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1本の木をくり抜いたような雰囲気を醸し出す筐体
じつはこのレポートはクルマとは関係ない。今回の人とくるまのテクノロジー展でもひっそりとした展示。しかも帰宅してから配置図面で探しても出展社名に記載がなかったヤマト建設が展示していたのは、紀州ウッドスピーカー(ミッドレンジ・ユニット)と木でできたエンクロージャー(筐体)で構成された3ウェイスピーカーである。
じつに純朴な感じのオーディオシステムが置かれ、そのスピーカーの筐体はまるで1本の木をくり抜いたような雰囲気を醸し出していた。思わず見入っていると
「オーディオに興味ありますか?」
と横から聞かれて、思わず
「はい」
と答えると
「では説明させていただきます」
と、別なスタッフにバトンタッチされて、名刺を渡されつつ説明が始まった。
話を聞くと木の振動版を使ったウッドスピーカーを作っているそうで、まるで人とくるまのテクノロジー展には似つかわしくない出展である。が、どこかのブースを間借りして展示しているとのことで、それで配置図面に出展者名が出ていないのも納得である。ではなぜこのウッドスピーカーを作ることになったのだろうか。
オーディオに興味のある方ならわかると思うが、スピーカーの振動板の基本的な材料は紙である。このコーン紙を振動させて音を出す。最近はその紙に代えて木を使う、いわゆるウッドコーンなるものも登場している(というか昔から)。かく言う我が家のオーディオもウッドコーンを使っているのだが、紙にしてもこのウッドコーンにしても、振動させるために周囲にゴムまたはウレタンが使われ、コーンをフローティング状態にしている。この紀州ウッドスピーカーの場合、振動板はねじで固定されている。
CO2吸収量の減った木を切って製作
帰宅してから名刺を眺めてみると何と説明してくれた方は出展社、ヤマト建設の社長さんだった。そこで今度は会場では聞けなかったあれやこれやを調べてみた。そもそものきっかけは、長野県出身の早出正さんという方が、和歌山県に移住。趣味がオーディオ鑑賞であったことから、紀州産のヒノキやスギを振動板にしたスピーカー作りに取り組んでいたそうである。
しかし、木を薄く削るのが難しかったことから、つてを頼ってヤマト建設に行き着き、共同でスピーカー作りを始めたとのこと。早出さんはこの開発でスピーカー装置の特許を取得している。一方のヤマト建設はヒノキを使ったエンクロージャー(筐体)の意匠登録していて、まさにウィンウィンの関係でこのスピーカーができあがっている。
ちなみに木の振動板が奏でるのはミッドレンジの音域で、ウーファーやツイーターなどは既存のスピーカーを使っているとのこと(展示されたサンプルはパイオニア製だった)。そしてここからが大事になるのだが、ヤマト建設は和歌山県田辺市の龍神村森林組合に属している。ここは昔から林業が盛んで、昭和40年代頃から質の良さが注目されるようになった「龍神材」ブランドを守り、龍神村の林業を支えてきたのだ。
木はCO2を吸収してくれる。しかし大きくなった木はその吸収量が減るそうだ。そんなCO2吸収量の減った木を切って、新しい若い木と入れ替える。その切った木を使ってこのスピーカーを作ることで、まさにCO2の削減に効果を発揮する。元々長いスパンで見ると、木を育てて伐って、使って植えるを繰り返すという循環型の業種であるから、今さらSDGsなど、言われなくてもやっているということである。
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