かつて日本で販売されていた日産のクロカンSUV「テラノ」。日本のRV(レクリエーション・ビークル)ブームを代表する本格的なSUVであり、スタイリッシュな都市型SUVの先駆けとして高い人気を集めたモデルですが、そのルーツとなったピックアップトラック「ナバラ」がいま、新たな時代を迎えています。
北米では「フロンティア」の名で展開されてきましたが、2025年11月には豪州で三菱の「トライトン」をベースとする新型ナバラが登場、さらに同年12月には中国で新型の「フロンティア」を冠するピックアップトラックが発表となるなど、地域ごとに異なる展開が進んでいるのです。
【画像ギャラリー】もともとは同じ系統だったのに新型では別物に 豪州で販売されている新型「ナバラ」と、中国で販売されている「フロンティアプロ」/「フロンティアプロPHEV」(20枚)
文:吉川賢一/写真:NISSAN
世界で活躍する日産のピックアップ「ナバラ」
日産「ナバラ」は、同社が海外市場で販売している中型の本格派ピックアップトラックです。「ダットサントラック(ダットラ)」の系譜を受け継ぐモデルであり、主にタイなどの東南アジア、オーストラリア、欧州などで人気の高いモデルです。
日本ではあまりなじみがないモデルですが、かつて日本でも販売されていた本格クロカン「テラノ」は、ナバラから派生したSUVでした。
このナバラは、北米では「フロンティア」の名で展開されており、車名は異なるものの、同じ系統に属するモデル。ただ、冒頭で触れたように、2025年に豪州と中国で発表となったナバラ/フロンティアは、かたや三菱の「トライトン」のOEMモデルであり、かたや中国で開発された新世代ピックアップと、まったくの別物となっています。
豪州では三菱「トライトン」がベースに それでもナバラらしさは失わない
2025年11月に豪州で発表となった、三菱の「トライトン」をベースとする新型「ナバラ」は、日産と三菱のアライアンスを生かしたOEMモデルです。ただ、フロントまわりにはC字型ヘッドランプと大型メッシュグリルを採用し、ボンネット先端には、D21型ダットサン・ハードボディトラックを思わせる3連スリットを配置するなど専用の意匠が与えられており、ナバラとしての系譜をしっかりと受け継いでいます。
リアにもC字型テールランプや大型リアバンパーを採用し、ブラックのスポーツバーを装着。スタイリッシュさと武骨さを兼ね備えたデザインとなっています。
上級仕様のPRO-4Xでは、17インチブラックホイールやTOYO製オールテレーンタイヤ、ラバレッドのアクセントなどを採用し、オフロード色を強めています。中身はトライトンと共通する部分が多いものの、見た目の印象はかなり日産らしく仕立てられています。
パワートレインはトライトン同様の2.4Lディーゼルターボエンジンで、最高出力150kW(約204PS)、最大トルク470Nmを発生。6速ATと組み合わせ、仕事からレジャー、トーイングまで幅広い用途に対応する仕様です。
中国では「フロンティアプロ」へ PHEVも加わった新世代ピックアップ
中国の「フロンティアプロ」は、日産と鄭州日産が共同開発し、2025年4月の上海モーターショーで世界初公開、同年12月に中国で発売された新型ピックアップトラックです。2.0L直列4気筒ガソリンターボまたは2.3L直列4気筒ディーゼルターボに8速ATを組み合わせ、ディーゼル仕様では最高出力140kW(約190PS)、最大トルク500Nmを発揮します。
同時にプラグインハイブリッドの「フロンティアプロPHEV」も発表となりました。1.5Lターボエンジンとモーターを組み合わせ、システム最高出力320kW(約435PS)、最大トルク800Nmを発揮します。中国仕様ではCLTCモードで131kmのEV走行が可能とされており、高性能と電動化を両立した次世代ピックアップとして位置付けられています。
北米では従来型を熟成 商品力を高めた2027年モデル
もともとフロンティアとして展開されていた北米では、2026年6月15日に2027年モデルのフロンティアが登場しています。
2025年モデルで刷新された武骨で力強いデザインはそのままに、新グレード(パッケージ)「Sport Edition」の追加をはじめ、Qi2規格のワイヤレス急速充電や新色「アルパインメタリック」の設定など、商品力を強化する年次改良が行われています。
パワートレインは3.8L V型6気筒ガソリンエンジンを継続搭載し、最高出力310hp(約314PS)、最大トルク281lb-ft(約381Nm)を発揮。9速ATとの組み合わせにより、力強い走りと高速巡航性能を両立しています。
地域ごとに姿を変えるナバラ テラノ復活への期待も
さらに2026年6月に開催されたフィリピン国際モーターショーでは、中国からの輸出戦略車として「ナバラプロPHEV」が発表となりました。外観は中国の「フロンティアプロPHEV」にそっくりであることから、おそらく、これまで「ナバラ」として展開されてきた中東やアジアでは、このフロンティアプロ/フロンティアプロPHEVが「ナバラ」の名を冠して販売されるのでしょう。
豪州がトライトンベースとなったのは、おそらくタイ生産車のトライトンを使うのがもっとも合理的だったのだと考えられます。豪州で販売されるピックアップトラックの多くはタイで生産されており、物流も販売網も確立されています。世界有数のピックアップ市場である豪州に競争力ある商品をいち早く投入するためには、トライトンベースとするのがもっとも効率的。ルノー・日産・三菱のアライアンスでは、ASEAN・オセアニアでは三菱がリーダー役を務めるとされていることも関係しているかもしれません。
一方、中国で開発されたフロンティアプロは、グローバル市場を視野に開発されたモデルとされていることから、先進装備と中国のサプライチェーンを武器に、今後東南アジアや中東などの左ハンドルの国を中心に、輸出されていくものと思われます。
◆ ◆ ◆
さらに中国では、フロンティアプロPHEVのSUV版を思わせる「テラノPHEV」のコンセプトカーも発表されています。ピックアップトラックのフロンティアプロが日本へ導入される可能性は高くありませんが、SUV版のテラノが登場すれば、日本市場へもやってくる可能性はあります。
かつて日本で人気を集めたテラノの名が、PHEVを備えた本格SUVとして再び浮上していることは、日本のファンにとっても興味深い動きです。新たな時代を迎えた日産のピックアップ&SUV戦略から、今後も目が離せません。
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みんなのコメント
たとえテラノが復活したとしても日本じゃ売れない