瑞々しい想像力を持って、革新的なものづくりを展開する日本の若い作り手たちが増えている。未来を拓く1990年代以降生まれの次世代から、今回は工芸で活躍する若手にフィーチャー。
中井波花/制作の過程で起こる「現象」に美しさを探求する陶芸家中井波花は、手捻りで極限まで薄く伸ばした磁土をリボンのように巻いて焼成した、オブジェのような作品シリーズで知られる陶芸家だ。北海道に生まれ、多治見市陶磁器意匠研究所および金沢卯辰山工芸工房でその技術を深め、現在は金沢を拠点に活動している。オーストラリアやデンマークに留学し、そこで陶芸を学んだ経験も、従来の陶芸の枠にはまらない作品づくりに影響を与えているようだ。一貫して関心を寄せるのは、制作の過程で起こる「現象」。例えば、焼成によって起こる歪みやヒビ、色の変化。表面に見える色彩は、絵付けをしているのではなく、磁土にコバルトなどの鉱物を混ぜ焼成することで現れ出たもの。その作品は陶芸である前にアートであり、素材と火によるパフォーマンスの記録であるともいう。
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田中里姫/薄いガラスから立ち上る儚くも強い日常の風景ガラス作家、田中里姫の作品の多くは、熱したガラスに息を吹き込んで球体にする「吹きガラス」をベースにしている。1mm以下の厚みにムラなく均一に仕上げるその技が創作を下支えしていることは、まず特筆に値することだろう。代表作のひとつである《心象のかさね》は、そうしてできたガラスの半球を3層に重ねて再造形したもの。レイヤーになったガラスが織りなす、揺らぐような色彩と有機的なフォルムが美しい。その着想は、ふと夕方に見上げた空の様子など日常風景から得ていることも多いようだ。心象を素材とかたちに託し、見る者の心に浮かび上がらせる。金沢21世紀美術館などにも作品がコレクションされ、次世代の作り手として期待を集める田中。この6月には、東京の蔵前にあるギャラリー水犀で個展を開催予定だ。
野田怜眞/漆の伝統工芸をユニークなモチーフで現代アートにもともと立体制作に関心があった野田怜眞が「乾漆」に惹かれたのは、東京藝術大学で漆芸を専攻していた学生時代。古来仏像制作にも使われてきたように、麻布に塗り合わせ、硬化させることで造形もできる、その技法に可能性を感じたのだという。代表的なモチーフは、「昆虫」と「バナナ」。昆虫の中でも特に甲虫類は、幼虫から蛹に、そして体を硬化させ成虫に変化していく。そのプロセスに、一定の湿度と温度のもとに乾燥させ表面を硬化させていく「乾漆」と通じるものを見たようだ。もう一つのバナナは、野田にとって自然の持つエネルギーの象徴。また、アンディ・ウォーホルが描いたモチーフであり、マウリツィオ・カテランがバナナを壁にテープで貼り付けて作品としたように、アート的なエッセンスも仄めかす。工芸とアートを繋ごうとする野田らしいモチーフでもある。写真の《Vanana[放]X》は、逆さにすると鉄砲型に見えるのも面白い。日本において武具においても工芸技法が施され、権威を示す象徴になってきたその歴史を暗示させる作品でもある。
文・松本雅延 編集・橋田真木(GQ)
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