フランスのサルト・サーキットで開催中のWEC世界耐久選手権ル・マン24時間レース。レースウイークには、ポルシェ・スプリント・チャレンジやフォード・マスタング・チャレンジなど、いくつかのサポート(併催)レースも行われているが、そのうちのひとつ『ロード・トゥ・ル・マン』に、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)の育成プログラム『TGR-DC』に所属する中村仁が参戦している。
現在19歳の中村は今季R-ace GPからフォーミュラ・リージョナル中東選手権(FRMEC)、フォーミュラ・リージョナル欧州選手権(FRECA)に参戦しているが、11日に突如発表されたとおり、同チームの86号車デュケインD09でロード・トゥ・ル・マンのLMP3クラスに参戦することになった。
トヨタGR育成の中村仁、ル・マン24時間併催のロード・トゥ・ル・マン参戦が決定。LMP3でサルト・サーキットに挑む
ELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)をサポートする『ミシュラン・ル・マン・カップ』をベースとするロード・トゥ・ル・マンは、LMP3とGT3の混走。ル・マンでのフリープラクティスは11日に始まり、12日に予選とレース1、14日のWECの24時間レース決勝日朝にレース2が行われるスケジュールだ。中村はエドガー・ピエールとともに1時間の決勝を2度、戦う。
12日午後、予選を終えたばかりの中村に話を聞いた。
「先週の木曜日、FRECAでザントフォールトにいたのですが、(中嶋)一貴さんから、『ル・マンでLMP3に乗らないか、という連絡がR-ace GPのオーナーからあった』という連絡を受けまして。僕にとっては、『イエス』か『はい』しかないような状況で、『もちろん乗りたいです』と返信させてもらいました」
2年前の100周年大会にも来場していた中村は、そもそもザントフォールトからル・マン入りし、TGRのWECチームに帯同して現場を見学する予定でいたという。「もともと、装備品も絶対持って来ようと思っていた」と、レーシングドライバーとして万一に備える周到さを見せつつも、初めてのサルト・サーキットを初めてのマシンで走ることになるとは、「正直、まったく想像していませんでした」と明かす。
「サーキットはグランツーリスモとかでいっぱい走っていたので頭に入っていますけど、LMP3カーは初めてだし、ミシュランタイヤも初めてだし、R-ace GPとはいえスタッフの方は(FRECAと)違う方たちなので、若干の不安というか、『できるかなぁ』という感じはありましたが、『とにかく楽しもう』という気持ちでここへ来ました」
その言葉どおり、初走行のインプレッションを聞くと、「まずは楽しいです」とひとこと。ただし、普段中村が操るフォーミュラカーと、昨年スーパーGTで経験したGT車両の中間とも言うべき特徴を持つLMPカーには、少なからぬ戸惑いもあったようだ。
「いままでに味わったことがない感触というか、GTカーとフォーミュラカーの中間という感じなのですが、そこをコントロールするなかで限界が見つけにくい。『どこまで行っていいのかな?』というのを探っている状況です」
走行初日は最終フォードシケインでコースオフする場面もあったというが、「僕の理想が高すぎたというか、もちろんいいクルマなのですが、ちょっとそこに期待を寄せすぎてミスをしてしまったかな」と中村。ただ、順応は高いスピードで進んでいるようで、走行2日目を迎えだいぶなじんできている様子だ。
改めて今週末の目標を問うと、「とにかく楽しむこと」と中村は繰り返した。そのうえで、フォーミュラカーに限らない、さまざまなマシンでの経験を積むことで、将来の選択肢を増やす機会ともしたい構えだ。
「まずは楽しむことがひとつの目標です。そして、最終的にはこのコースとLMPカーへの理解度を深めることですね。将来、どういうチャンスをいただけるのか分からないなかで、今回こういった機会をいただけたことは本当に大きいと思います。一瞬一瞬を大事にしながら、感謝しながら、今週末を過ごしたいなと思っています」
[オートスポーツweb 2025年06月13日]
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