この記事をまとめると
■ランドローバーが「フリーランダー」をブランドとして復活させる
ガチ金持ちは6輪車を選ぶ時代! 世界の悪路を爆走する「6輪SUV」が常識外すぎて笑う
■かつての「フリーランダー」はコンパクトなSUVとしてブランドの発展に貢献した
■初代・2代目「フリーランダー」を振り返る
スタイリッシュでコンパクトな本格派4WD
「フリーランダー」といえば、かつてランドローバーの末っ子としてラインアップされ、ブランドの躍進に大きく貢献したコンパクトSUVを思い出す人が多いことだろう。残念ながら現在のランドローバーのラインアップには存在しない「フリーランダー」であるが、ジャガー・ランドローバーは、そんな「フリーランダー」を復活させるらしい。
そしてそれがいよいよ現実のものとなりそうだ。ジャガー・ランドローバーは、中国の奇瑞汽車(チェリー)との合弁会社チェリー・ジャガー・ランドローバー(CJLR)を設立し、「フリーランダー」を独立したブランドとして展開するという。そして、その第一弾のコンセプトカーも公開されている。
どうやらフリーランダーの第一弾は、チェリーのEVプラットフォームを流用したミドルサイズSUVとなるようで、かつてのフリーランダーの面影が随所に見受けられる。かつての「フリーランダー」を知る人にとっては懐かしさを覚えるに違いない。
ところで、ランドローバー「フリーランダー」とは、どのようなモデルだったのだろうか。あらためて振り返ってみたい。
初代「フリーランダー」が欧州でデビューしたのは1997年のこと。1990年代中盤といえば、トヨタRAV4やホンダCR-Vといった日本のコンパクトSUVが世界を席巻し始めていたころ。これに目をつけたランドローバーが、満を持して投入したのが初代「フリーランダー」だ。
ランドローバーにとって、初代モデルは初めて尽くしの連続だった。モノコック構造のユニボディや横置きエンジン、前輪駆動ベースの4WD、四輪独立懸架サスペンションなどはブランド初。それまでのランドローバーは、強固なラダーフレームにリジッドアクスル、そして副変速機を備えた本格的なオフローダーのみを作っていたが。そんな同社が、乗用車に近い構造を採用したことは、古くからのファンにとっては驚きだったに違いない。なかには「軟弱になった」と思った人もいたかもしれない。
しかし、その実力は本物。初代「フリーランダー」は、副変速機をもたない代わりに、市販車として世界初となる「ヒルディセントコントロール(HDC)」を搭載。電子制御によって急斜面を一定の低速で安全に下りることができるこの技術は、のちに世界中のSUVが模倣するスタンダードとなっている。
パワートレインは、欧州ではディーゼルエンジンと5速MTの組み合わせがメインであったが、日本仕様に搭載されたのは、ローバー75にも使われていた2.5リッターV6ガソリンで、トランスミッションは5速ATの組み合わせとなっていた。
2代目フリーランダーはプレミアム路線
その走りはオン・オフ両面で印象的だった。横置きエンジンベースのプラットフォームによって実現した軽快なハンドリングはコンパクトSUVらしいものである一方で、独自の4WDシステムによりオフロードでも抜群の走破性を発揮した。
ボディバリエーションも個性的だった。スタンダードな5ドアに加え、3ドアのハードトップとソフトトップ(ソフトバック)をラインアップ。都会的なスタイルながらも遊び心のあるデザインは、若い層や女性ユーザーを惹きつけ、欧州では数年にわたってベストセラー4WD車のひとつに数えられた。
日本でも295万円からという価格が設定され、「手が届くランドローバー」としてブランドの敷居を一気に下げた功績は計り知れない。
そんな「フリーランダー」は、2006年に2代目へと進化を遂げる。日本や欧州では「フリーランダー2」、北米では「LR2」と呼ばれたこのモデルは、初代のカジュアルな路線から一転、上級モデルであるレンジローバーに準ずる「プレミアム性」を前面に打ち出したモデルにキャラ変した。
日本仕様のパワートレインとして選ばれたのは、ボルボの3.2リッター直6で、それを横置き。このコンパクトなボディに直6を積むという贅沢なパッケージングは、滑らかな回転フィールと余裕のパワーをもたらし、高速巡航時の静粛性は先代とは比較にならないほどに向上していた。
そして、2代目の最大の武器となったのが「テレインレスポンス」の採用だ。 これは、ダイヤルひとつで路面状況に合わせた最適な駆動制御を選択できるシステムで、誰でも簡単に熟練者のようなオフロード走行ができることを実現した。これによって「フリーランダー2」は相変わらずホンモノのランドローバーであることを証明している。
後期型では、パワートレインを2リッター直4ターボへとダウンサイジング。効率性と軽快なハンドリングに磨きがかるとともに、インテリアの質感も大幅に高まり、メリディアン社製オーディオシステムを採用するなど、現在のプレミアムSUVに通じる装備の充実化が図られている。
こうしてブランドの発展に大きく貢献した「フリーランダー」であるが、2014年に惜しまれつつも生産を終了。その後継として登場したのは「フリーランダー3」ではなく、ディスカバリースポーツであり、「フリーランダー」の歴史はいったん幕を下ろすこととなった。
このように、改めて「フリーランダー」を振り返ると、いかに先見性に富んでいたモデルであったかがよくわかる。そんな「フリーランダー」が、新ブランドとして展開されるという。ラインアップされるモデルもまた、ランドローバーの新たな魅力を提案してくれることだろう。まだ見ぬ「フリーランダー」の新モデルの日本導入にも期待したい。
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