1978年ポルシェ911SC
ポルシェ911は、1978年モデルで大きく変貌を遂げる。しかし、初代911のクラシックなシルエットは依然として継承していた。
【画像】クラシック・ポルシェ・アーカイブ #31 1978年ポルシェ911SC編 全2枚
モデル名はこれまでの911や911Sから、911SCへ改められた。SCはスーパーカレラを意味する。1963年に登場したポルシェ356シリーズの最後を飾る高性能モデルである356SC以来の起用だった。
これまで901系だったモデル・コードナンバーも、911ターボと同じ930に変わっている。1978年モデルのラインナップは、ベースグレードとなる911SCと911ターボ3.3の2モデルのみに絞られた。
あらたにSCのグレード名が与えられた911は、排気量が前年までの2.7リッターから3リッターに拡大されたのがニュースといえる。911カレラ3.0に搭載されていた3.0リッター自然吸気水平対向6気筒エンジンを180hpにディチューンして搭載された。
911SCの年次によるエンジン変化を記すと、1980年モデルでは改良型となる188hpを発揮するエンジンを採用する。点火系の見直し、カムシャフト・タイミングの変更、新型タイミングチェーン・テンショナー・アイドラー・アームが採用された。
圧縮比は8.5:1から8.6:1へと高め、放熱性を向上させるためにフロントフェンダー内のオイルクーラーにも改良が加えられている。最大トルクの数値に変更はない。このエンジンは米国・日本仕様には導入されなかった。
ボディにも手が加えられ、全幅が拡大
1981年モデルの911 SCから最高出力を204hpに向上させた新型エンジンを搭載する。圧縮比を8.6:1から9.8:1に引き上げ、改良型ボッシュ製Kジェトロニックの採用により燃費も向上させていた。最高出力は204hp/5900rpmとカレラ3.0を超えた。このエンジンは排気ガス規制が緩いヨーロッパ向けで、米国と日本には導入されなかった。
1981年モデルの米国向け911 SCは、最高出力180hpを維持しつつ、三元触媒とラムダセンサーが新たに装備された。パワーダウンを防ぐため、圧縮比は9.3:1に引き上げられ、厳しい53年規制が発効された日本向けも同様の仕様とされた。
一方で911SCは、ボディにも手が加えらた。リアフェンダーが911カレラ3.0と同じ形状に変更され、全幅は1977年モデルに対し40mm拡大された1650mmとなった。
1978年モデルの911 SCのウインドウフレームとドアハンドルは、従来の911と同様にクロームメッキで仕上げられていた。1979年モデル以降は、以前のカレラ・モデルと同じアノダイズド・ブラック仕上げに変えられている。
シャシーナンバーがVINナンバーに
1980年モデルより、インテリアでは小径ステアリングホイールの採用に加え、ターボ・モデルのセンターコンソールが全モデルに装着された。
このほか、この年からそれまで911で始まる10桁のシャシーナンバー体系が廃止され、新たに国際標準化機構(ISO)によって定められたWP0で始まる17桁の車両識別番号(Vehicle Identification Number)に変えられた。このVINナンバーは現在も使用されている。
1981年モデルから、フロントフェンダー後方には長方形のサイドマーカーランプが新たに装備された。サスペンションでは、より太いアンチロールバーが備わる。また防錆対策がより徹底し、車体の腐食に対する長期保証を7年に延長している。
1982年モデルでの最も大きな変更点は、低回転域での暖房能力を向上させた新しいヒーターシステムの採用がある。また、ターボ仕様だったリアスポイラーは、よりスリムな形状のものに変更された。
1983年モデルは、3.2リッターの『カレラ3.2』が登場する前の最後となる911 SCで、1982年8月に生産が開始された。厳格化する騒音規制に対応したエグゾースト・サイレンサーが採用された。このほかリアシートには、オプションで3点式シートベルトが装着できるようになった。
●空冷水平対向6気筒 2993cc ●180-204hp ●225km/h
(当連載は今回より日曜日の午前9時11分公開となりました。次回は8月9日予定です)
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