GT-Rの2022年モデルが発表されたが、なんとも懐かしい、R33GT-RやR34GT-Rに設定されていたミッドナイトパープルと、R34GT-R MスペックニュルとVスペックIIニュルに設定されたミレニアムジェイドのボディカラーが復活した。
クルマ好きのみなさんにとって、「このクルマといえば、このボディカラーでしょ!」というものがそれぞれあると思う。
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そのボディカラーは必ずしもCFやカタログなどに使われるイメージカラーではないかもしれない。
例えば担当者なら、S30Zなら240ZGのグランプリマル―ン、S130ZならTバールーフのマンハッタンカラー、初代ソアラやGX71系マークII三兄弟はスーパーホワイト、AE86はパンダ(白黒)など、人によって思い出すものはそれぞれ違うかもしれない。
ということで、GT-R 2022年モデルの「ミッドナイトパープル」と「ミレニアムジェイド」のボディカラー復刻を記念して、「懐かしのボディカラー」について振り返ってみたいと思う。
文/伊達軍曹
写真/トヨタ、日産、ホンダ、スバル、マツダ、三菱
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■GT-R 2022年モデルに懐かしのミレニアムジェイドとミッドナイトパープルのボディカラーが復活!
復活したミレニアムジェイドのボディカラー。写真はGT-RプレミアムエディションT-spec
R34GT-Rに設定された1000台の最終限定車、MスペックニュルとVスペックIIニュル専用のミレニアムシェイド
2021年9月14日に日産GT-Rの 2022年モデルが発表されたわけだが、同時に発表された特別仕様車「プレミアムエディション T-spec」と「トラックエディション エンジニアード by NISMO T-spec」に、かなり懐かしいボディカラーが設定された。
R33、R34といった歴代スカイラインGT-Rに採用されていた「ミッドナイトパープル」と、R34スカイラインGT-R最後の限定車である「Mスペック ニュル/VスペックII ニュル」に設定された「ミレニアムジェイド」が復刻したのだ。
この2色があるというだけで、GT-Rの2022年モデルを「欲しい!」と思った人も少なくないだろう。それほどクルマのボディカラーというのは、特にそのモデルの「イメージカラー」というのは、クルマ好きの心に深く刻まれるものだ。
2022年モデルのGT-RプレミアムエディションT-spec。ミッドナイトパープル
R33GT-Rミッドナイトパープル
R34GT-RミッドナイトパープルII。Vスペックと合わせて300台販売。この後ミッドナイトパープルIIIも発売
■5代目ファミリア/真っ赤なファミリアが一大ブームに
当時、真っ赤なファミリアに乗ってルーフにロングボードを乗っけてサーファー気取りの”陸(おか)サーファー”がたくさんいた
さて、ここからはあまりにも懐かしくて、おじさん世代にとって涙がちょちょ切れそうなボディカラーを振り返ってみたい。
1980年6月に登場した5代目ファミリアは社会現象になるほどの一大ブームを巻き起こした。当時の若者なら誰もが欲しがった「真っ赤なファミリア」である。
特に人気の高かったのが、真っ赤なボディカラーのXG。ルーフキャリアにサーフボードを載せたスタイルが大流行し、”陸(おか)サーファー”という流行語も生み出した。
ルーフにサーフボードを載せ、ダッシュボードにミニチュアのヤシの木を生やし、原宿あたりにナンパに行くという、”陸(おか)サーファー”ブームも作った。つまりモテるファッションアイテムになったのである。
この5代目ファミリアが、マツダを倒産の危機から救う大ヒットとなった。デビューからずっと販売台数を伸ばし続け、約3年後の1983年2月まで33ヵ月連続で前年同月比の月間販売台数増を更新し続けるという、驚くべき売れ方をみせた。
当時はカローラが国内販売の絶対王者だったが、ファミリアは8回も月間販売台数1位となる。カローラを、マツダ車が上回ったというのはまさに驚天動地だった。
XGのインテリアはスポーティで若者の心を捉えた。第1回日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した。当時の価格は1500XGが103万8000円
もっと古い世代では、映画『幸せの黄色いハンカチ』に登場した赤い4代目ファミリアのほうが印象に残っているかもしれない
■1982年の新車販売台数 ファミリアvsカローラ
・1982年1月:ファミリア/1万524台、カローラ/1万763台
・1982年2月:ファミリア/1万4088台、カローラ/1万5237台
・1983年3月:ファミリア/2万1063台、カローラ/2万7251台
・1982年4月:ファミリア/2万759台、カローラ/1万6453台
・1982年5月:ファミリア/1万5731台、カローラ/1万5693台
・1982年6月:ファミリア/1万8556台、カローラ/1万7289台
・1982年7月:ファミリア/1万7538台、カローラ/1万9455台
・1982年8月:ファミリア/1万2381台、カローラ/9398台
・1982年9月:ファミリア/1万5603台、カローラ/1万5794台
・1982年10月:ファミリア/1万7220台、カローラ/1万4449台
・1982年11月:ファミリア/1万2874台、カローラ/1万7357台
・1982年12月:ファミリア/1万5634台、カローラ/1万8291台
・1982年累計販売台数:ファミリア/19万1971台、カローラ/19万7430台
■FFジェミニ/セイシェルブルー
「街の遊撃手」というキャッチコピーで1985年5月に登場した、いすゞFFジェミニ
1973年に勃発した第四次中東戦争をきっかけとする「第1次オイルショック」により、それまで右肩上がりだった日本の景気は急減速し、当時幼稚園児だった筆者の家の経済状況も、ちょっとシャレにならない状況となった。
だがそれでも街には「オレンジ色の三菱ギャランGTO」や「黄色のダルマセリカ」などが走り回っており、少なくとも「道路上の活気」のようなものは十分にあったような記憶がある。
だが1979年1月のイラン革命に端を発する第2次オイルショックが起きると、人々の自家用車のチョイスもいよいよ保守的かつ渋い感じとなり、シルバーや白などの地味な、あるいは差し障りのない色のクルマが増えていった。
そんななか、1985年5月に颯爽と登場したのが「セイシェルブルー」の2代目いすゞジェミニだった。
GMのオペルカデットなどとボディを共有する初代に代わって1985年にリリースされた2代目ジェミニは、いすゞとしては久々の純オリジナルモデル。端正なデザインは工業デザイン界の巨匠、ジョルジェット・ジウジアーロによるものだ。
そのジウジアーロ先生によるデザインも素晴らしかったFFジェミニであり、「街の遊撃手」というキャッチフレーズとともにパリの街を縦横無尽に疾走するテレビCMも、もちろん素晴らしかった。
しかし初期のイメージカラーであった「セイシェルブルー」が人々に与えた影響というかインパクトも、その後のFFジェミニをヒット作に育て上げた一因であるはずだ。
なにせ当時、こんな色味の日本車は(記憶によれば)存在しなかったどころか、おそらく誰も想像すらしていなかったはずだから、とにかくインパクト大だったのだ。
ちなみにこの色の名称はセイシェルブルーだが、普通に見ればターコイズブルーである。
だがターコイズとは呼ばずにあえてセイシェルブルーとしたのは、1983年の松田聖子のヒット曲『セイシェルの夕陽』によって、海外リゾート地といえばホノルルぐらいしか知らなかった当時の日本人が、東アフリカ沖にある「セーシェル諸島」という楽園の存在を知ったから――なのかもしれない。
■R30型スカイラインRSターボ/レッドブラックツートンカラー
スカイラインRSターボインタークーラーターボCは当時若者の憧れでも中古車市場でも高騰した
長谷見昌弘選手操るスカイラインスーパーシルエットKDR30のカラーリングがスカイラインターボRSターボの赤黒ツートンにつながる
R30型のスカイラインRSで初めて採用されたレッドブラックツートンのボディカラー。このほかにもガンメタリックブラックツートンも存在したが、頭の中に強烈な印象が残っているのはこのレッドブラックツートンの方だろうか。
これほど大胆に色分けしているのもツインカム&DOHC、ターボが全盛だった時代がなせる技。クラウンやソアラ、レパードなどツートンカラーとすることで上質感を狙った高級車とは違い、スポーティなイメージを前面に押し出している。
■ミラターボTR-XX/レッドブラックツートンカラー
1985年8月に登場した2代目ミラターボTR-XX。搭載されたエンジンは52ps/7.1kgmを発生する550cc、直3SOHCインタークーラー付きターボ
レッドブラックツートンのボディカラーといえば、ミラTR-XXを外すわけにはいくまい。1985年8月に発売した2代目ミラに設定されたTR-XXは、スポイラー一体式の大型樹脂製フロントパンパーやサイドスカート、エアロタイプのアルミホイールを装備。やはりなんといってもレッドブラックツートンのボディカラーのインパクトは凄かった。
1987年8月にAT車が追加され、同年10月に電子燃料噴射装置のEFIを採用したターボ車を追加し、1988年10月にEFIターボ車の最高出力が64psへとアップした。
この64馬力自主規制の引き金を引いたのは、1987年2月に発売されたアルトワークスである。550ccながら64psのDOHCターボエンジンを搭載していた。この時代の軽ターボ戦争が懐かしい。
■AE86/白黒パンダカラー
AE86といえば白黒のパンダカラー。もちろんツートンカラー以外の単色も用意された
スプリンタートレノGTアペックス。こちらはレッドブラックツートン
もはや多くは語らないが、1983年に登場したAE86型カローラレビン/スプリンタートレノのボディカラーも記憶に刻まれるボディカラーだろう。白黒ツートンのボディカラーはパンダカラーと呼ばれて人気が高い。
このツートンカラーの正式名称は以下の通り。前期型が、ホワイト/ブラック(ハイテックツートン)、レッド/ブラック(ハイフラッシュツートン)、シルバーメタリック/ブラック(ハイメタルツートン)。
後期型はブラックメタリック/ミディアムグレーメタリック(ハイソニックトーニング)、ホワイト/ブラック(ハイテックツートン)、レッド/ブラック(ハイフラッシュツートン)となっている。
■R32GT-R/ガングレーメタリック
R32GT-Rといえばガングレーメタリック
「印象的なテーマカラーの当たり年」といえば1989年しかあるまい。この年には、今なお語り草のステキすぎるテーマカラー3色がデビューした。
ひとつは、1989年5月に登場したR32型日産 スカイラインGT-Rの、言わずと知れた「ガングレーメタリック」だ。
いわゆるガンメタというのは世界に何十種類、何百種種類と存在し、それに塗装されたクルマというのもおそらくは何百車種もあるはずだが、R32GT-Rのガングレーメタリックこそが世界最強のガンメタ……と断言はできずとも、「世界最強クラスのガンメタ!」と言うことはできる。
この艶っぽくも深い色味自体と、R32型スカイラインGT-Rというクルマのパフォーマンスおよび神話性とのマリアージュによって誕生した、「世界最高レベルにグッとくるガンメタ」なのである。
■Z32型フェアレディZ/イエローパール
Z32型フェアレディZのイエローパール。鮮やかなイエローというより淡い柔らかなイエローで上品さも漂わせていた
新型ZのリアテールのモチーフにもなったZ32型フェアレディZのテール回り
もうひとつは、同年7月にデビューしたZ32型日産フェアレディZに採用された「イエローパール」だ。
Z32は、その造形自体がそもそもインプレッシブで素晴らしかったわけだが(もちろん最高出力280psのVG30DETT型V6ツインターボも素晴らしかったわけだが)、もしもこのイエローパールというボディカラーが適用されていなかったら、Z32というクルマは、人々の心にここまで刺さらなかった可能性もある。
「いや、カラーにかかわらずZ32は名車だよ!」という意見もあるだろう。確かにそうかもしれない。
だが、イエローパールという純正色のなんともいえない「S30を思い出させる郷愁感と、それと同時にあるビビッドな未来感」という絶妙さこそが、名車Z32を「さらなる名車」として、人々の心に深く突き刺さることに貢献したと思えてならないのだ。
■NA型ユーノスロードスターVスペシャル/ネオグリーン
NA型初代ロードスターVスペシャルのネオグリーン
そして同じく1989年9月には、日本の名車を語るうえでは絶対に外すことのできないマツダ(当時ユーノス)ロードスターが誕生し、1989年9月にユーノスロードスターがデビューした際の純正色は「クリスタルホワイト」と「クラッシックレッド」「マリナーブルー」「シルバーストーンメタリック」の4色だった。
まぁこの4色も悪くない色味だが(特にマリナーブルーは素晴らしい)、もしも「ネオグリーン」が登場しなければ、NAこと初代マツダロードスターのその後のイメージは、現在のそれとは少々違うものになったのかもしれない。
そんなネオグリーンが初めて人々の前に現れたのは、上記4色が発売された3ヵ月後、1989年10月の第28回東京モーターショーでのことだった。
参考出品車として展示された「ロードスター Vスペシャル」は、英国車のブリティッシュ・レーシング・グリーンを思わせるネオグリーンなるボディカラーとタンカラーの本革シート、そして各種のウッドパーツを備えた上級仕様。
そのシブさとカッコよさに来場者は熱狂した。そして翌1990年8月、ネオグリーンのVスペシャルは「ユーノスチャンネル創業1周年記念車」として正式発売されるに至ったのだ。
というかネオグリーン、こういったウンチクは抜きにしても素晴らしすぎる色味である。筆者が以前購入したのは「シャストホワイト」のNAだったが、本当は心の底から「ネオグリーン」が欲しいと思っていた(……そのときはネオグリーンのいいタマがなかったんですよね)。
■初代エクストレイル/サンドカーキ、アッシュカーキ
初代エクストレイルのサンドカーキ
初代エクストレイルのアッシュカーキ
個人的な話はさておき、まさに今最高潮を迎えている「アースカラー(カーキ色)ブーム」の端緒となったのは、2000年11月に登場した初代日産エクストレイルに用意された2種類のカーキ色、「サンドカーキ」と「アッシュカーキ」だった。
T30こと初代エクストレイルのテーマカラーはカーキ系ではなく赤、具体的には「バーニングレッド」で、あれはあれでナイスな色だ。
しかしエクストレイルという車の「たたずまいの良さ」を広く知らしめ、そして後の世にまで続くブームの発端となったのは、2種類のカーキ色だったのだ。
しかしながら現在、初代エクストレイルの中古車のうちサンドカーキとアッシュカーキの数はきわめて希少。世界的なカーキ色ブームの立役者のひとつである割には、なんとも残念である。
■スバルXV/クールグレーカーキ
スバルXVのクールグレーカーキ。レヴォーグやBRZ STI SPORTS限定車、S208などにも採用された
だがそんな初代エクストレイルの衣鉢を継いで(?)2012年10月に登場したのがスバルインプレッサXVの「デザートカーキ」であり、その発展型というか発展色として2017年5月に発売されたのが、現行型スバルXVのテーマカラー「クールグレーカーキ」だ。
XVは、守旧派でコテコテのスバリストではない一般ユーザーにもスバル車の門戸を広げた立役者として知られているが、そのなかでも真の功労者は、先代インプレッサXVの時代に登場した「デザートカーキ」のおしゃれ感だ。
もしもあの色がなかったら、今なお「コテコテの青い人だけがスバル車に乗っている」という、悲惨な未来が訪れていたのかもしれない。ありがとう、デザートカーキ! そしてこれからもよろしく、クールグレーカーキ!
■新型Z/イカヅチイエロー
新型Zのイメージカラーはセイラン(青藍)ブルーとこのイカヅチ(雷)イエロー
そして今年8月21日に北米で発表された新型日産 フェアレディZの限定車「Proto Spec」には、Z32のイエローパールを彷彿とさせる「イカヅチイエロー」なるテーマカラーが採用された。
英語でも「Ikazuchi Yellow」となるこの色もかなりステキなわけだが、いずれにせよ、リセールうんぬんを過剰に気にして白と黒のクルマばかりを買いたがる人の数がなるべく減り、「ステキなテーマカラー」を買う人の数が増え、その結果としてニッポンの道路風景がカラフルになることを――筆者は下町の片隅から祈っているのだ。
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天井で分けたツートンよりいいと思うけど…。