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筑波サーキットを走る&サンブレフェスタにエントリー!手作りの6輪F1タイレルP34を追え!Vol.13

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筑波サーキットを走る&サンブレフェスタにエントリー!手作りの6輪F1タイレルP34を追え!Vol.13

運営元:旧車王
著者 :松村 透

知って乗って感じて歴史を繋ぐ旧車の世界:齊藤優太

2019年から取材を続けている、「カスタムビルド&レストア WATAHIKI」代表・綿引雄司氏がハンドメイドで完成させた「6輪F1タイレルP34」。

アルミの板が綿引マジックで少しずつフォーミュラカーへと形作られ、やがて6輪F1タイレルP34となった。

はじめのうちは信じられなかったけれど、本当にハンドメイドなのだ。

プラモデルでいうなら「フルスクラッチ」だ。

いつしか6輪F1タイレルP34には命が吹き込まれるようになった。

排気量1.3リッターの隼のエンジンが搭載され、その動力はチェーンを介して後輪に伝達される。

そして後方からは隼エンジンのエキゾーストノートがうなりを上げる。

トランスミッション、サスペンション、ブレーキ、フューエルライン・・・。

マシンとしての命が吹き込まれた6輪F1タイレルP34は、ついに実走行が可能になった。

ここまでで充分だろう。

しかし綿引氏はこれに留まらず、サーキットで走れるように6輪F1タイレルP34をセットアップし、シェイクダウンにも立ち会うことができた。

その後、福島県にあるエビスサーキットでスポーツ走行を行い、国産スポーツ勢を抑えてトップタイムをたたき出してしまった。

そしてついにレースデビュー・・・。

筑波サーキットを舞台にバトルを繰り広げるフォーミュラカーが、かつて1枚のアルミの板であったことを誰が想像できるだろうか。

■ハンドメイドの6輪F1タイレルP34が、筑波サーキット2000を走る!2025年6月1日、筑波サーキット2000で開催されたアイドラーズFS-CUP第2戦に綿引氏の6輪F1タイレルP34がエントリーすると聞き、応援を兼ねて現地へ。

FS-CUPにエントリーした他のマシンたちが並べられた一角に6輪F1タイレルP34の姿をを見つけたとき、不覚にも「ホントにレースに出るんだ・・・」と思ってしまった。

ハンドメイドで6輪F1タイレルP34を造り上げるだけでも「タダゴト」ではないのに、実際に走行できるだけでなく、いまやサーキットでバトルできるマシンへと進化したのだ。

FS-CUPの当日のスケジュールは

・受付:05:00~08:20
・ブリーフィング:08:30-09:00
・車輌/装備検査:09:05-
・フリー走行&予選:10:35-10:55
・決勝(10周):14:00-14:15

・・・と、息つくヒマもないほど忙しい・・・というほどではないが、のんびりもしていられない。

●今回のレースに備えて、6輪F1タイレルP34に以下の変更が加えられた。◯バックスターター&ギア取り付け
◯それに伴いチェーンテンショナー位置を変更
◯フロント前後のベルクランクアームの中心軸にベアリングを組み込み
◯フロントのサスペンションを減衰力調整機構付きグロム用サスペンションに変更
◯エンジンストップスイッチ取り付け
◯バックミラーをセブリングミラーから砲弾型タイプに変更
◯リアランプはダミーだったものを、内側の反射板にライトホルダーを作り点灯可能な仕様に変更
◯集合管マフラーに変更
◯フロントカウルフレームを強化、前回のレースでは曲がってしまったので、鉄に変更ではなくアルミのまま補強で対応
◯フロントカウルリップスポイラーの吊り下げロッドを追加
◯ヘルメットはハンスデバイス装着がレギュレーションで決まっていることに伴い、アライGP6Sへ変更。ニューカラーのロニーレプリカに変更実はFS-CUPの参戦は今回が2度目になる。前回は惜しくもリタイア (フロントカウルが風圧に負けて路面に擦ってしまったのだ)となってしまったが、今回はフレームを強化するなど、対策も万全だ。

■予選&決勝FS-CUPエントリーしたマシンは20台。10:35にフリー走行がスタート。

途中、赤旗中断はあったものの、無事に予選を終了。

ベストラップは1分8秒477、決勝は16番グリッドからのスタートとなった。

綿引氏によると、予選のピットイン時にセルモーターでエンジンが始動せず、押し掛けしたことが違反行為とみなされてしまったのだという。

そのため、ベストラップのタイムが適用されず、次に速いタイムだった1分10秒003が適用された。

昼食をはさみ、午後から決勝・・・だったのだが、6輪F1タイレルP34のセルモーターとバッテリーが不調で、レース直前まで他チームのサポートもあって充電をすることに。

決勝は1週のローリングスタートをはさんでレーススタート!

6輪F1タイレルP34は順調にラップタイムを重ねて・・・かと思いきや、エンジンが不調だった模様で、排気音がおかしいかなと思う周もあった。

それでも無事に完走し、ベストラップは1分8秒342、14位という結果に終わった。最終コーナー入口付近のトップスピードは159km/hをマーク。ちなみに前回参戦したときのトップスピードは163km/h、ラップタイムは1分8秒993だったことを考慮すると、他のコーナーでタイムを縮めていることが分かる。

予選時よりも速いタイムが出ただけでなく、プロのコンストラクターが製作したフォーミュラーマシン(スーパーセブンもいたが)と互角のバトルを繰り広げたことになる。

エンジンの不調という課題は残ったものの、次なるステップへとつながる一戦だったことは確かだ。

なお、当日の模様は「CBR WATAHIKI」YouTubeチャンネルに公開されている。鮮明かつ迫力あるオンボードカメラによる映像も必見だ。

●2025 FSカップ第2戦筑波自作タイレルでどこまで行けるか!
https://youtu.be/Enk_Yj1QhgM?si=aYqd1r1KK9wO8LPa●Fsカップ筑波6月1日決勝オンボード  ハンドメイドタイレル
https://youtu.be/6cA92O5U7fc?si=hYmMN0QYLq1dFYE5■道の駅おおたで開催されたサンブレフェスタ2025にエントリーアイドラーズFS-CUPから3週間後の6月22日には、道の駅おおた(群馬県太田市)で開催された「サンブレフェスタ2025」にエントリー。

昨年はあいにくの雨だったが、今年は晴れ。真夏並みの暑さとなったが、雨よりはいい。

サンブレフェスタではおなじみとなった場所に「6輪F1タイレルP34」が展示されると、綿引氏のYouTubeチャンネルを観ているファンはもちろんのこと、偶然道の駅おおたを訪れたギャラリーも足を止めていた。

サインボードがなかったので、初見の人はオリジナルの6輪F1タイレルP34だと思ったに違いない。

ここでサンブレフェスタにおける毎年恒例。これまでのサンブレフェスタに展示されたときの6輪F1タイレルP34と見比べてみよう。

●2021年仕様●2022年仕様

●2023年仕様

●2024年仕様

●2025年仕様

まさにハンドメイドタイレルの進化の過程そのものだ。いまにして思えば、2022年仕様のアルミ地むき出しの状態の展示が、多くのファンにとってスッピンのハンドメイドタイレルが見られる貴重な機会であったことが分かる。

ハンドメイドタイレルの進化はこれで終わりではない。まだ先がある。今後も進化の過程を可能な限り追い続けたいと思う。

余談だが、TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO(東京都港区)オープン1周年記念として6輪F1タイレルP34が展示されている(7月7日まで)。

筆者も実車を観てきたのだが、ぜひオリジナルのタイレルと、綿引氏が造り上げたハンドメイドタイレルを並べて展示する光景を観てみたい。

■「道の駅おおた」について・所在地:〒370-0421 群馬県太田市粕川町701-1
https://goo.gl/maps/E3vus5Vmbpjn8mz68
・電話:0276-56-9350
・FAX:0276-56-9351
・駐車場;普通車:126台、大型車:40台、身体障害専用:4台
・URL:http://michinoeki-ota.com

●道の駅 おおた <公式> Facebookページ
https://www.facebook.com/michinoeki.ota/

●道の駅おおた広報「おっくん」 Facebookページ
https://www.facebook.com/ekicho.ota/

●道の駅 おおた <公式> Twitter
https://twitter.com/michinoekiota

■手作りの6輪F1タイレルP34とは?茨城県水戸市にある「カスタムビルド&レストア WATAHIKI(以下、CBR WATAHIKI)」代表の綿引雄司氏が、仕事の合間を縫って手作りで製作してきた、6輪が特徴的なF1マシン「タイレルP34」。

その完成度の高さから、ネット上ではタイレルP34のコンプリートマシンを綿引氏が所有していると誤解されることもしばしばだ。

また「タイレルP34のレプリカ」と評されることもあるが、綿引氏独自の解釈で製作された箇所も少なからずあることは事実だ。

そのため、忠実なレプリカというわけではない。

つまり、この「レプリカ」という表現がこのマシンに当てはまるかどうかは人それぞれの解釈に委ねたい。

製作者である綿引氏によると、このF1マシンが存在することは、タイレルのルーツでもあるケン・ティレル氏のご子息、ボブ・ティレル氏も把握しているという。

しかも、ボブ・ティレル氏は好意的に受け止めてくれているとのことだ。

ぜひ、イベント会場などで実車を観て、細部の作り込み、フィニッシュワーク美しさをその目で確認してみてほしい。

■巴自動車商会/カスタムビルド&レストア WATAHIKI 店舗情報住所:〒310-0912 茨城県水戸市見川3-528-2
TEL:TEL/FAX 029-243-0133
URL:http://cbr-watahiki.com
お問い合わせ:http://www.cbr-watahiki.com/mail.html

●綿引氏のYouTubeチャンネル"cbrwatahiki"※「アルミのイオタ」および「タイレル P34」の製作風景も紹介されています
https://www.youtube.com/@cbrwatahiki
※YouTubeで動画を配信している「ぺーさんxyz」さんがイオタの製作過程を詳細にまとめた動画。手作業で造られていったことが分かる構成となっています。

●板金職人の技炸裂!アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【前編】
https://www.youtube.com/watch?v=hvAf5PfcSJg&t=8s●アルミ板叩き出しでランボルギーニ・イオタを製作するまで【後編】
https://www.youtube.com/watch?v=WidFHqbp4QA[ライター・カメラ/松村 透]

文:旧車王 松村 透
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