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【改めて探るF1の魅力】今年で70周年 なぜ自動車メーカーは、フォーミュラ1に一生懸命になる? 後編

いまもルーツを反映

マクラーレンは1981年にマクラーレンMP4/1で初めて登場したカーボンファイバー製シャシーを市販モデルにも採用しており、1990年にフェラーリ640が初採用したステアリングホイールにパドルシフトを持つセミオートマティック・シーケンシャルギアボックスは、いまや一般的な存在だ。

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さらに、カーボンファイバー製ブレーキやアクティブサスペンション、そしてドライバーアシストシステムを採用するモデルは増え続けている。

そして、ターボエンジンやABS、四輪駆動システムといったF1以外から登場したテクノロジーであっても、F1を通じて市販モデル向けの改良が進められることとなった。

いまもこうした状況は続いている。

最近インタビューを行ったルノーF1チームのトップ、シリル・アビテブールにルノーがF1に関与する理由を問うと、「コネクティビティ、電動化、AI、燃費性能…」と、関連する新たなテクノロジーの名を上げて質問に答えてみせた。

こうした市販モデルとの関連性は個別の技術に留まらない。

コンセプトそのものがF1から産み出され、磨かれてきたモデルというものも存在するのであり、その最高の事例がモータースポーツにルーツを持つ自動車メーカーによって生み出されたものだ。

エンツォ・フェラーリとロータスの創始者、コーリン・チャップマンが自らのロードカー部門を創設したのは、レースの活動資金を捻出するためであり、こうしたメーカーが作り出すモデルはいまもそのルーツを反映し続けている。

ハイパフォーマンスモデルを創り出す動機に

しばしば引用されるチャップマンの「シンプルに、そして軽く」という哲学は、最速のレーシングマシンを創り出そうという情熱から生み出されたものだが、ロータスのロードモデルにも適用されている。

ロータス・エリーゼやエキシージ、そしてエヴォーラといったモデルはいまもこの哲学を体現しており、F1とは直接的な繋がりのないマツダMX-5(日本名:ロードスター)やアルピーヌA110などにもこうした精神を見ることが出来る。

そして、近年マクラーレン・オートモーティブが存在感を高めているのは、カーボンファイバー製モノコックといったF1技術を見事にロードゴーイングモデルに活用する能力があったからだ。

だが、こうした市販モデルにも採用されている革新的技術を抜きにしても、自動車メーカーにとってF1とは自らのブランドと最先端テクノロジーを開発する能力を誇示する格好の舞台であり続けている。

さらに、F1との関連性を訴求したいという思いが、自動車メーカーにとってハイパフォーマンスモデルを創り出す動機ともなっているのだ。

ルノー・メガーヌRSやホンダ・シビック・タイプRといったドライバーズカーは、例えF1がなくとも登場したかも知れないが、公道とサーキットの繋がりをより強めたいと考えているメーカーにとって、こうしたモデルは欠くことの出来ない存在と言えるだろう。

さらに、F1の宣伝効果も見逃すわけにはいかないのであり、それは自動車メーカーだけに留まらない。

イメージにも影響 実は何も変わっていない?

いま炭酸飲料メーカーが巨費を投じてふたつのF1チームを運営しているが、この宣伝効果は特に自動車メーカーにとっては重要であり、1980年代にグランプリを席捲したマクラーレン・ホンダのF1マシンによって、この日本メーカーは自らのブランドイメージを見事に変革している。

さらに歴史を遡れば、伝説的なコスワース製フォードDFVエンジンが10年に渡ってレースを支配したことで、ブルーオーバルは自らのスポーティなイメージを大きく向上させることに成功している。

より最近の例としては、メルセデスの活躍が始まったのは彼らが慎重に自らのブランドイメージをアクティブなものに作り替えようとし始めた頃からであり、ルイス・ハミルトンをブランド・アンバサダーに起用したこともその一環だろう。

新型コロナウイルスの影響から記念すべき70年目のF1シーズン開幕は延期を余儀なくされているが、このモータースポーツを変革しようという動きは続いており、テクノロジーとレース運営、そして予算に関する新ルールは、当初予定から1年遅れの2022年シーズンから導入されることになっている。

一方、F1に参戦する自動車メーカーとチームは、こうした新ルールの詳細に関する議論をいまも続けており、場合によってはこのモータースポーツから撤退するものが出て来るかも知れないが、いずれは新たな参戦者がその穴を埋めることになるだろう。

そして、一旦撤退したメーカーもその多くがふたたびF1へと戻って来るに違いなく、巨額の費用がかかるわりに市販モデルとの繋がりが限定的なF1は、これからも自動車メーカーを惹きつける存在であり続けるのだ。

これまでの70年間で自らを変革し続けてきたF1だが、1950年5月13日にシルバーストンでフラッグが振り下ろされて以来、実は何も変わっていないのかも知れない。

番外編2:F1ワールドタイトル70年の歴史 その1

1950年代

華々しくスタートしたF1だったが、1952年と1953年のシーズンはF1スペックのマシン不足からF2ルールで選手権は行われており、フェラーリとメルセデス・ベンツがニューマシンを投入したことで、ようやく前へと進んでいる。

4つの異なるチームから参戦し、5度のワールドタイトルを獲得したファン・マヌエル・ファンジオがこの時代を支配していた。

1958年にはスターリング・モスをわずか1ポイント差で上回ったマイク・ホーソーンが英国人初のワールドチャンピオンに輝いている。

1960年代

先進的な英国のプライべートチームがリアエンジンとV8エンジンへの転換を促し、さらに60年代後半になるとエアロダイナミクス・ウイングと民間スポンサーが登場している。

ジム・クラークの活躍によってロータスがグランプリを席巻し、2度のタイトル獲得に成功している。

さらに、グラハム・ヒルとジョン・サーティース、ジャッキー・スチュワートが英国に栄光をもたらした。

1970年代

商業化路線がさらに進んだことで、F1は金銭的な価値のあるスポーツへと姿を変え始めるとともに、バーニー・エクレストンの影響力が高まることとなった。

スチュワートがさらに2度タイトルを獲得するとともに、安全対策の向上についても主導的な役割を果たしている。

1976年シーズンのジェームス・ハントとニキ・ラウダの熾烈なチャンピオン争いは、ハリウッドで映画化されている。

1980年代

ターボエンジンの登場によって、F1マシンがこれまで考えられなかったようなパワーを手に入れた一方、エクレストンのTV戦略はF1にこれまで考えられなかったようなお金をもたらしている。

マクラーレンとウィリアムズ、ブラバムがトップチームであり、アラン・プロストとアイルトン・セナの歴史に残るチャンピオン争いは議論を呼ぶとともに、世界中の注目を集めることとなった。

番外編2:F1ワールドタイトル70年の歴史 その2

1990年代

1992年にウィリアムズのマシンでナイジェル・マンセルがタイトルを獲得したことで、アクティブサスペンションとドライバーアシスト技術は絶頂期を迎えているが、その後主催者側はこうした技術の採用を抑制する方向へと進んでおり、その動きは1994年のセナの死によって加速することとなった。

ミハエル・シューマッハーが通算7度のタイトルのうち最初の2回を獲得しているが、1996年のチャンピオン、デイモン・ヒルとのバトルは物議を醸している。

2000年代

シューマッハーとフェラーリがグランプリを席捲しており、史上初となる5年連続のタイトル獲得を成し遂げた一方で、メーカーの参入ラッシュによってコストが飛躍的に増大することとなった。

マラネロが失速すると、ルノーのフェルナンド・アロンソが輝きを放っており、2008年にはマクラーレンのルイス・ハミルトンが自身初のタイトルを獲得している。

撤退したホンダチームの後を受け誕生したブラウンGPのジェンソン・バトンが、ほとんど誰も予想していなかったタイトル獲得に成功している。

2010年代

この10年はふたつの時代に分けることが出来る。

天才的なF1デザイナー、エイドリアン・ニューウェイとセバスチャン・ベッテル、そしてレッドブルが2010年から2013年シーズンを支配していた。

その後、1.6Lハイブリッドターボの時代が始まると覇権はメルセデスへと移り、ハミルトンが5度のタイトルを獲得している。

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