240ZGの雰囲気を405馬力のRZ34で再現し、街乗りできるコンプリートに仕立てた1台
本物の240ZGは所有していても普段使いは難しい。ならば現代のRZ34でそのイメージをまとった1台を作ればいい。そんな発想から生まれたのが、三重県のショップ「クルウチ」が手がける500ZGである。初代Zに惚れ込んだ代表が、往年の名車のエッセンスを現行モデルへ落とし込んだ。取材を通してその狙いと作り込みに迫った。
電動パワステとクーラー完備で夏場も快適。旧車専門店が手がけた日産「フェアレディZ」
三重県クルウチの500ZGは初代「240ZG」を現行RZ34で再現したコンプリートカー
クルウチの500ZGは、日産「フェアレディZ(RZ34型)」をベースに、初代Zの最上級スポーツモデル240ZGへのオマージュとして作り上げた1台である。手がけたのは、三重県のショップ「クルウチ」の代表を務める久留内 良彦さんだ。「スポーツカー好きを応援したい」というコンセプトのもと、さまざまなイベントへ積極的に参加し、奇想天外なマシンを次々と製作してきた。自社敷地内に私設博物館をオープンさせるなど、いま業界でもっとも勢いのあるショップのひとつに数えられる。
久留内さんはフェアレディZの熱狂的なフリークである。最初の愛車がZで、ドラッグレースも長年Zで戦い続けてきた。そのZ愛が結実したのが500ZGだ。
ベースとなるRZ34は、初代S30をオマージュしたロングノーズが特徴の7代目にあたる。 新開発の3L V6ツインターボエンジンは、最高出力298kW(405馬力)、最大トルク475N・m(48.4kgf・m)を発生する。 この現代のパワーユニットに、往年のデザインをまとわせたのが500ZGの発想である。
500ZGのノーズは300mm延長。240ZGのエッセンスを取り入れた作り込み
500ZGの見どころは、フロントノーズを前方へ300mm延長したロングノーズにある。初代240ZGと見比べながら何度もデザインを重ね、伸びやかなスタイルを構築した。単純にトレースするとバランスを崩し、似ても似つかない姿になる。そのためエッセンスとして取り入れ、ひと目見て「あのクルマ」と思い浮かぶ雰囲気にまとめ上げた。チンスポイラーの形状は、往年のワークス仕様をリスペクトしたものである。
参考にした240ZGは、初代Zの最上級グレードにあたる。240ZGは、190mm延長されたエアロダイナノーズ(通称・Gノーズ)を採用により240Zより190mm長い。、4輪にFRP製のオーバーフェンダーを装着していた。 500ZGのリアオーバーフェンダーは、この240ZGを踏襲しつつ、1号機から見直して市販に近い形へ変更した。フロントにはZ34型NISMO用を採用し、あえて小ぶりにすることでFR(後輪駆動)らしさを表現している。
リアには240ZG風のテールガーニッシュを備える。純正パネルの上にかぶせるタイプで、余計な加工なしにイメージチェンジできる。上面は純正テール、下面はエアブラシで描かれる凝った仕様だ。マフラーは5ZIGENのSP500をベースに、テールエンド内へ赤井製作所謹製のZの文字の装飾をプラスした。より目立ちたいカスタム派のオーナーには魅力的な一本である。
コンプリート化に向けて製作された2号機は、ノスタルジックな雰囲気に仕立てるためカラーにバーガンディーを選択した。ホイールもあえて18インチにインチダウンしている。
「普段乗りできるZG」を目指した理由をクルウチ代表・久留内さんが語る
500ZGが目指したのは、日常で気軽に乗れる現代版のZGである。オーナーであり製作者でもある久留内さんは、本物の240ZGを所有しながらも、その普段使いの難しさを痛感してきた。
「本物の240ZGも所有していますが、正直普段乗りは厳しい。だったら、そのイメージを取り入れた現代版のZGをRZ34で作ればいいと考えた」
旧車ブームの影響もあってか、この思いに共感するファンは想像以上に多い。現在はコンプリート販売に向けて最終調整を進めている段階だ。用意されるのは3つのパッケージである。Gノーズパッケージ1(100万円~)はフロントバンパー、前後オーバーフェンダー、ローダウンで構成する。パッケージ2(200万円~)はここにホイール、車高調整式サスペンション、5ZIGENマフラーを加える。パッケージ3(300万円~)はさらにリアウイングとリアテールを追加した最上位仕様だ。足まわりはパッケージ1がローダウンスプリング、パッケージ2以降が車高調となるものの、ユーザーの好みに合わせて選択できる。
クルウチはドラッグレース参戦とZ博物館でチューニング業界の未来も見据える
クルウチの活動は、車両販売やチューニング、メンテナンスにとどまらない。久留内さんは18歳のころ、趣味としてドラッグレースを始めた。現在はその舞台をパーツ開発の場として活用している。2024年からはイカヅチイエローと、500ZG仕様のセイランブルーの2台体制で、それぞれ仕様を変えながらトライ&エラーを繰り返す。参戦するもうひとつの理由が、スポーツカーとドラッグレースの活性化だ。チューニング業界の未来まで見据えている。
500ZGの名にふさわしいよう、チューニングメニューの充実もテーマに掲げる。純正タービンベースのハイフロータービンをドラッグ仕様の1号機へ搭載し、実戦投入を予定している。市場の活性化も見込み、壊れないチューンドエンジンへと熟成を重ねているところだ。
クルウチは私設博物館も運営している。200台を収蔵するミュージアム(一部は販売車両)の入り口には、歴代のフェアレディZを展示する。ここにも久留内さんのZ好きがにじむ。見学希望はショップへの問い合わせが必要で、見ごたえは十分だ。
初代Zに人生を捧げてきた久留内さんにとって、500ZGは往年の名車への敬意と、現代のスポーツカー文化を次世代へつなぐ意志を形にした答えである。本物のZGを所有しながら、なお街乗りできるZGを追い求める姿には、クルマと真正面から向き合う一途さがにじんでいる。歴史へのまなざしと未来への視線を1台に重ねたその挑戦から、これからも目が離せない。
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みんなのコメント
この500Zは本物のGノーズですね。
ライトの下のラインが左右に繋がり、その下にグリルがくるのがGノーズですよね。
ニスモもGノーズですね。