ダイハツとスズキがメーカーの垣根を超えてタッグを結成したという。協同で究極の軽自動車でも出すのかと思ったら、その舞台はなんと農業!?!
※本稿は2022年12月のものです
文・写真/池之平昌信
初出/ベストカー2023年1月10日号
ダイハツとスズキが農業で協業!!? メーカーとしての未来にも深い関わりあり
■メーカーの垣根を超えた強力タッグ!!
スズキが開発したモバイルムーバー(左)と、ダイハツが開発した農薬散布ドローンシステム(右)
異例の協業! と驚愕し、やって来たのは兵庫県丹波篠山(たんばささやま)市。
古民家で優しく出迎えてくださったのはダイハツ・農業活性化グループの田村明久課長だ。
「後継者問題など、日本の農業はとても苦しい状態です。それは軽トラ販売状況にも直結しており、なんとかしなくてはいけません。
そこで農業自体を知ろうということで、田畑を借りて四季を通して農作業を学ぶ、ということから始めました。
自動車メーカーとしてはまったく知らないことだらけで、衝撃の連続でした」
ダイハツ農薬散布ドローンシステム。人力だと2時間ほどかかる農薬散布が2分で可能。テスト的に有償でのサービスも開始した。軽トラに積載、運用までをワンオペできるよう改良・開発中。一機あたりの価格は350万円!
それにしても、なぜココで? そして協業はどういった経緯で?
「古民家再生など、地域再生事業関係の方の紹介です。ダイハツ本社(大阪)からも遠くないですしね。稲、黒豆、お茶の3か所の畑と古民家などをお借りして始めました。
で、お茶と言えば(スズキの本社がある)静岡でしょう! ということで。
CJPT(脱炭素、輸送業界の課題解決などを目的に設立された合弁会社。いすゞ・スズキ・ダイハツ・トヨタが出資している)の存在もやりやすかった要因ですね」
スズキ モバイルムーバー。電動車椅子ベースの肥料散布マシン(試作車)。人に比べ作業時間を4割ほど減らすことに成功。モーターを二基載せることで大トルクを発揮。狭い道もグイグイ走る!
スズキのモビリティサービス部所属の稲垣和崇さん(32歳)は語る。
「60cmほどしかない茶畑のスキマを通りつつ肥料散布ができるように当社のモーターチェアをベースに大改造しました!」
おふたりに共通していたのは農家の皆さんに寄り添って問題解決をしようとする気持ちだ。
軽自動車が主役の中山間地域農業を支える2社の素晴らしい取り組みに胸が熱くなった一日だった。
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