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「近鉄電車の中で国本は泣いたそうです」WedsSport BANDOHの7年ぶり勝利に坂東正敬監督「すべてが完璧だった」

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「近鉄電車の中で国本は泣いたそうです」WedsSport BANDOHの7年ぶり勝利に坂東正敬監督「すべてが完璧だった」

 6月4日に三重県の鈴鹿サーキットで開催された2023スーパーGT第3戦『SUZUKA GT 450km RACE』の決勝。レースは59周目に日立Astemoシケイン進入で発生したアクシデントの影響で赤旗終了となり、GT500クラスは18時時点で優勝扱いだったNiterra MOTUL Zに対してペナルティが科され、WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/阪口晴南組)が暫定ながら優勝という結果となった。

 TGR TEAM WedsSport BANDOHとしては、2016年第7戦タイ以来、7年ぶりとなる優勝。改訂された暫定リザルトを待ちながら、夜遅くまでサーキットに残っていた坂東正敬監督が喜びの声を語った。

スーパーGT第3戦鈴鹿の暫定決勝結果が改訂。優勝はWedsSport ADVAN GR Supraに

「今回のレースは後ろに36号車(au TOM’S GR Supra)がいましたけど、作戦、タイヤ、ドライバー、ピットのすべてがここ何年かでも完璧な状態だったと思います」

 間口一番にそう語った坂東監督。今回の鈴鹿戦では予選3番手タイムながら、トップのリアライズコーポレーション ADVAN Zのタイム抹消により2番グリッドからWedsSport ADVAN GR Supraは決勝レースに臨み、ベテランの国本雄資がスタートを担当。後半2スティントは若手の阪口晴南がダブルスティントを走りきり、前戦覇者のau TOM’S GR Supraとのバトルを繰り広げながら順位を守り続け、Niterra MOTUL Zへのペナルティにより、7年ぶりの勝利を手に入れた。

 7年ぶりとなるひさびさの優勝となったが、最初の暫定リザルトではピットストップ義務2回を果たしていないNiterra MOTUL Zが優勝で、その後10チームによる抗議によって、リザルトが覆ってのWedsSport ADVAN GR Supraの優勝。坂東監督は最初の暫定結果に戸惑いを感じていたことを素直に明かした。

「レース結果が出る前に監督が全員呼ばれて、『この段階でレースを終了します』『松田(次生)選手は無事です』というアナウンスがありました。ただ、僕からすると“2回ピットイン義務”という部分が、義務を消化しないままの車両が存在してのレース終了だと、違反になるかどうかが分からなかった。どちらにしろ出た裁定に関して受け入れるつもりでしたけど、裁定が分からないと僕らとしては納得できないので、審査委員会に聞きに行きました」

 結局その抗議は受け入れられ、20時40分付けで改定された暫定結果では、Niterra MOTUL Zに対して決勝結果に『ピットイン+給油相当時間を60秒』というペナルティが科され4位に降格。当初2位だったWedsSport ADVAN GR Supraが繰り上がるかたちで優勝となった。

「僕たちは今日は2位でしたけど、今回は強いレースを見せることができたと思っています。見てくれているファンの人たちに『19号車が勝つかもしれない』と思わせることができて希望を見せることができましたし、横浜ゴムがチャレンジしているところも見せることができたのではないのでしょうか」

 坂東監督は“横浜ゴムのチャレンジ”という言葉を使用して、チームを長年支える横浜ゴムを称賛し、「今季は横浜ゴムの新しいタイヤを投入し、そのタイヤのアウトラップが他社のタイヤと比べると速い」と、今季からの新構造タイヤによるアウトラップの速さが勝因だと続ける。

 残念ながらWedsSport ADVAN GR Supraが暫定優勝と改定されたときには、ドライバーのふたりはすでにサーキットを離れていたが、電話で優勝したことを伝えると「国本は近鉄電車のなかで泣いたそうです」と坂東監督。国本に関しては「マシンを降りてからは晴南を見守るように『勝てるかもしれない!』とソワソワしている感じでした(笑)。でも、僕にとってもそうですけど、国本にとっても勝利が必要でした。やはり勝利をしないと発言に説得力がありません」と明かし、パートナーである阪口が秘めている想いも語った。

「晴南は『このチームでGT500初優勝を飾りたい』ということを強く言っていて、昨年ポールポジションを3回獲得したとき、僕が『立川(祐路)を抜けるのはお前しかいない』と言ったんですけど、晴南が『でも、ポールポジションよりも僕はこのチームで勝ちたいんです』ということを言ってくれました。ですので、レースが終わった後にはなりますけど『優勝』という言葉を伝えられて良かったです」

 WedsSport BANDOHにとって今回の優勝は2016年第7戦タイでGT500初優勝を飾ったとき以来の勝利となる。2位表彰台やポールポジションという結果は残していたが、“優勝”となると7年遠ざかっていた爆走坂東組。チームを率いる坂東監督は、改めて以下のように優勝の喜びを語った。

「2016年の優勝からだいぶ経ちましたけど、そこで勝ったときに土屋春雄さんから『レースって勝つとやめられなくなるんだよ!』ということを言われました。それから長い時間が経ち、改革をしないと厳しいと感じて、エンジニアを変えたりしました」

「やはりこうして結果が出ることによって、スタッフひとりひとりのモチベーションも変わってくると思います。そういった部分では、やっとこれから強いチームとヨコハマタイヤを見せることができると思います。僕は『GT500でヨコハマタイヤを装着したい!』という人を増やしたいです。そういった部分では、今回の優勝で横浜ゴムさんのモチベーションが上昇すれば、さらに開発スピードが進むのではないかなと思います」

 同じヨコハマタイヤを履くリアライズコーポレーション ADVAN Zを含め、GT500では「たかが2台ですけどね」と坂東監督はコメントしたが、この開幕3戦、そして今回のレースを見ても、ウォームアップ性能の高さと、耐久性の高さが備わり、ヨコハマタイヤの進化が著しいことは間違いない。しかも、タイヤに厳しい鈴鹿で勝てたことは、今後得意とする富士やSUGOでも上位を狙えることになる。前日の予選で幻のポールとなった24号車リアライズコーポレーションADVAN Zとともに、2023年はGT500タイヤ戦争の勢力図が変化を迎える年なのかもしれない。

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みんなのコメント

12件
  • 今回横浜ゴム健闘したが、最終ラップまでのレースだったらタイヤが持たなかっただろうな。
  • まだまだ確定してないけど…
    NDDP RACINGの控訴は当然。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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