実質8年目 まさかの大幅改良
マツダは10月5日、「ロードスター(ソフトトップ)」と「ロードスターRF(リトラクタブルハードトップ)」の大幅改良を発表し、全国販売店を通じて予約を開始した。発売は2024年1月中旬予定。
【画像】フルLED化で、NDロードスターが進化! 前後ライトをチェック【細部まで見る】 全41枚
これに先立ち、マツダはオンラインで商品説明会を実施した。
今回の大幅改良については、ロードースターオーナーにとって、またはいつかはロードスターオーナーになろうと夢見ている人にとって、気になることはいくつかあるはずだ。
例えば、「なぜこのタイミングでの大幅改良が必要だったか?」「大幅とは、具体的にどのような改良で、その意図は何か?」、さらには「これからロードスターはどう進化していくのか?」といった点であろう。
本稿では、これら疑問3点を、マツダ側の証言を下に順に紐解いてみたい。
第1は、大幅改良のタイミングだ。
話を初代ロードスター(NA)まで遡れば、その登場は1989年で1998年まで実質9年間にわたり製造販売された。次いで、2代目(NB)が1998年から2005年まで8年弱、そして3代目(NC)が2005年から2015年まで実質10年間と続いてきた。
一方、現行4代目(ND)は2015年登場となり、実質8年の月日が過ぎている。
つまり、歴代ロードスターの実績を見れば、そろそろフルモデルチェンジの時期とも考えられる……。
意外 ここに来て販売が倍増
歴代ロードスターの累計販売台数はグローバルで約119万台、日本では約22万台だ。
このうち、国内販売実績を世代別でみると、NAは11.8万台、NBが3.1万台、NCは1.9万台と台数は世代が進むにつれて落ちていた。
それが、「NAへの原点回帰」という発想で企画・設計されたNDは、2023年8月時点で5.6万台となり、NBとNCを抜き、NAの実績に追っている状況だ。
しかも、NDは歴代3世代と比べて、モデルライフでの販売台数の変化が大きく違う。
歴代3世代では、販売初年度と2年目に販売台数が伸びて、その後の販売台数は右肩下がりになっている。これは「一般的なスポーツカーの販売動向」(マツダ国内営業本部関係者)という市場傾向だ。
ところが、NDは初年度(8418台)、2年目(6155台)、3年目(7020台)となったあと、4年目から6年目まで販売台数は5000台前後で横這いとなり、7年目で若干伸びた。さらに8年目で、前年比2倍近い急激な販売増を記録している(9567台)。
背景には、コロナ禍によってライフスタイルが変化し、スポーツカーなどへの関心が“広い世代”で高まったこと、また軽量な特別仕様車「990S」や「ブラウントップ」など商品改良が奏功したことが考えられると、マツダは分析している。
つまり、NDはまだまだ、商品改良によって販売台数は維持、またはさらに伸びる可能性があると考えられるのだ。
初のMRCC搭載 なぜできた?
さらに、ND主査の齋藤茂樹氏をはじめとするND開発陣に「もっと魅力的なロードスターを造り、より多くの人にしあわせを届けたい」という熱い思いがある。
NA登場時、マツダが掲げたロードスターの商品価値とは「だれもが、しあわせになる。」である。
齋藤主査は、環境対策面や安全対策面、走りのレベルアップ、エクステリアやインテリアのクオリティアップなど「企画の時点では最高の製品を目指したが、次の日には(もっと開発を)やりたくなる。エンドレスな気持ち」と表現するほど、NDはまだまだ改良の余地があると指摘する。
その上で、今回の改良ポイントは、大きく3つある。
1つめは、時代が求める先進安全技術やコネクテッド技術の進化。具体的には、ロードスター初となるMRCC(マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール)の搭載だ。
従来、MRCC用のミリ波センサーは車体中央への配置が必須だったが、デザイン要件や衝突安全要件から採用することが難しかった。それが今回、電気電子プラットフォームを刷新したことで、ミリ波レーダーをフロントグリル左側に装着することが可能となった。
また、後退時左右接近物検知機能(SBS-RC)を採用。そのほか、マツダコネクトを進化させ、横長8.8インチ・センターディスプレイを採用した。
FRらしさに磨き 具体的には?
デザインは前後ランプ類のLED化、16インチ/17インチホイールの新デザイン、ボディカラーに「エアログレーメタリック」を追加。インテリアでもセンターコンソール部分をシート等と同じ様な表皮を採用して車内の上質感を際立たせた。
走りについては、新開発のアシンメトリックLSDを採用し、電動パワーステアリングの緻密化により自然でスッキリとしたフィードバックを実現した。
自身も990Sオーナーである齋藤主査は「減速時にリアの接地感が増し、ステアリングでさらに切り込んでいく、いかにもFRらしい走りに仕上がった」と大幅改良モデルの走り味を解説した。
価格は昨今の素材や輸送費の高騰などを受けて若干の値上げとなった。ライバル車の価格動向を踏まえてグレード毎に値上げの幅は違う。
最後に、これから先のロードスターについてだが、齋藤主査は「正直なところ、現時点では何も決まっていない」という。
環境対応としての世の中の電動化の流れを受けて「その方向に」とした上で、どのようなプラットフォームにするかなど、社内での検討がはじまったばかりだと説明した。
マツダでは電動化戦略ついて、現在を「フェーズ1」とし、「フェーズ2」(2025~2027年:電動化へのトランジット)、そして「フェーズ3」(2028~2030年:バッテリーEV本格導入)と設定している。
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