プリマス・ロードランナー・スーパーバード(1970)
ロードランナー・スーパーバードという名前からして、お買い物車ではないことはわかるだろう。1960年代にダッジ、フォード、マーキュリー、プリマスなどがNASCARでエアロ競争を繰り広げた時代の産物である。
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プリマスはこのモデルをホモロゲーション用として位置付けており、伝説のドライバー、リチャード・ペティを呼び戻すためのモデルでもあった。
BMW 3.0CSLバットモービル(1973)
バットモービルは1970年代にBMWが送り出したクルマの中でも最もエキゾチックな一台だ。しかし、このニックネームの由来ともなった巨大なウイングを付けて出荷された個体は1台もない。
なぜなら、当時のドイツでは大型リアスポイラーは違法であり、BMWはこれをトランクに搭載し、オーナー自身で取りつけるようにしたのだ。
この3.2Lモデルは欧州ツーリングカー選手権のホモロゲーションのために39台が生産された。
リアスポイラーだけでなく、フロントウイングの上のフィンやリアウインドウの上にもう1つスポイラーが取りつけられ、高速域でのスタビリティを確保している。
ポルシェ911(1974)
930型911ターボは、ポルシェのホエール・テールを有名にした一台だ。しかし、実は最初にデビューしたのはその1年前に登場したカレラRS 3.0なのである。
RSはエキゾチックで高価なレース用モデルであり、空力と冷却のためにホエール・テールを採用している。
ターボに採用されると、これが特別なモデルの象徴的存在となった。
1980年代半ばころまでにはより下位のグレードにも採用されるようになったが、1978年の3.3Lターボではインタークーラー搭載のため形状が変更され、それまでの260psから300psへとパワーアップを遂げた。
フォード・エスコートRS2000(1976)
トランクリッドに取りつけられた単なるラバーが、これほどもてはやされた例は珍しい。
同様のスポイラーは以前の1600スポーツやRSメキシコにも採用されていたが、RS2000のそれは特にドライバーの心をくすぐった。
ドループ・スヌートと呼ばれるフロントエンドとの組み合わせにより、このRS2000は他のエスコートとすぐに見分けがつくだろう。
フォードは長年にわたるラリーでの経験から、この小さな部品が空力上大きな意味を持つことを理解していた。ダウンフォースこそ発生しないものの、リフトを抑える役割を果たしていた。
ランボルギーニ・カウンタック(1978)
以前のカウンタックLP400の方がよりピュアで優れたルックスだと考えるひとも多い。しかし1978年型に採用されたV型リアウイングに魅力を感じたオーナーも多いはずだ。
これはLP400Sに採用され、その時の気分に応じて簡単に着脱ができる仕組みになっている。
リアウイングを取りつけた状態では、高速域のスタビリティが向上するものの、最高速は抑制されてしまう。LP400Sの場合、その最高速度はリアウイングなしのLP400が290km/hであったのに対し、16km/h程度低い数値となっている。
しかしその後よりパワフルなLP500SやLP500QVでは293km/hを達成している。
フォード・シエラRSコスワース(1985)
もしこの10年間を代表するスポイラーを選ぶとしたら、それはフォード・シエラRSコスワースのものだろう。
これはシエラの3ドアハッチに起因するリフトに対応するため、高い位置に大型のウイングが取りつけられているのだ。
当初はフォード経営陣に反対されたが、240km/hを超える最高速度に対応するため必要不可欠であったという。
事実、RSコスワースは公道でもサーキットでも無敗を誇った。ホモロゲーション用にRS500が登場した際には、さらにアグレッシブなスポイラーが与えられた。
アウディ・クワトロ・スポーツS1 E2(1985)
アウディ・クワトロでさえも、ラリーの世界でトップを走り続けるため進化を続ける必要があった。その結果として1984年に生み出されたのがS1であり、ケブラー製ボディワークによる軽量化が特徴であった。
しかしそのE2バージョンはさらに特徴的だ。ライバルに打ち勝つべく強力なダウンフォースが求められた結果、冗談のように巨大なフロントおよびリアスポイラーが取りつけられている。
他のグループBラリーチームと同様、アウディの時代は1986年に一度終わりを告げる。しかし、S1は1987年パイクス・ピークに出場している。
750psのエンジンに、PDKの前身とも言えるDCTを組み合わせ、10分47.85秒という記録を打ち立てた。
MGメトロ6R4(1985)
MGメトロ6R4は開発当初にはマイルドなボディワークが与えられ、ベースとなったメトロの面影を残すものだった。
しかし、6R4がラリーで使われるようになると、0-97km/h加速3.2秒というパフォーマンスに対応する最大限のダウンフォースを獲得するため、巨大な前後スポイラーが取りつけられた。
これらのスポイラーは簡単に交換可能なグラスファイバー製だ。
オリジナルのメトロから流用されたパーツはドアのみという徹底ぶりで、グループB時代においてこの巨大なウイングが6R4の特徴となっている。
フェラーリF40(1987)
多くのフェラーリの傑作と同様、F40はピニンファリーナによるデザインだ。レオナルド・フィオラヴァンティがF40の外観を担当し、この巨大な一体型スポイラーがF40のルックスを特徴付けている。
彼はレースでも通用するエアロという観点だけでなく、ガレージに駐めてあってもモータースポーツを感じられるデザインを求めたとのことだ。
F40の外装パネルの多くと同様にケブラー製で、リアのキャノピーと一体の構造になっている。
軽量化のため塗膜は最低限の厚みとされており、オリジナルの塗装が残されている個体ではカーボンファイバーの目が確認できるはずだ。
BMW E30 M3スポーツ・エボリューション(1989)
スポーツ・エボリューションはE30型M3の究極形だ。この600台限定車の最大の特徴は、調整可能なリアスポイラーにある。
フォード・シエラRS500に対抗するためのホモロゲーションモデルとして開発されたのだ。
ウイングの調整方法は単純だが、そのままでも240psの素晴らしいロードカーであり、多くのオーナーは手をつけなかったという。
もし調整したいのであれば、3つのポジションから選択することが可能だ。このパッケージには大型のフロントスプリッターも含まれる。
メルセデス・ベンツ190E 2.5-16 エボII(1990)
メルセデスはBMW M3に対抗するため、190E 2.5-16エボリューションを作った。しかし、その本命は1990年に大型リアスポイラーを装着して登場したエボIIであった。
控えめなエボIのウイングに対し、エボIIのそれはピュアなレースカーのような巨大なものであった。さらにリアウインドウの上にも2つめのスポイラーが装着された。
これはメルセデスの本気のあらわれであり、シュトゥットガルト大学のリチャード・エップラー教授により科学的に設計されたものだ。
風洞実験において、エボIIはCd値0.29を達成しながら、さらなるダウンフォースを獲得していた。1990年のジュネーブ・モーターショーで公式発表される前に、全502台が完売した。
ランチア・デルタHFインテグラーレ・エボ(1991)
デルタ・インテグラーレはスポーツカー市場およびラリーの世界において存在感を示し、ランチアの成功作となった。
エボはラリーのレギュレーションに合わせさらなるパワーとよりアグレッシブなボディを与えられた。結果として、テールゲートの上に特徴的なリアスポイラーが装着されたのだ。
ホモロゲーション取得のため、調整式リアスポイラーを備えるエボが1万5000台製造された。
スポイラー左右に取りつけられたブラケットにより3段階の調整が可能で、その作業は単純かつスピーディであった。
トヨタ・スープラ(1993)
4代目となるA80型の登場まで、スープラは比較的当たり障りのないクーペであった。しかし流麗なボディを纏いオプションで大型リアスポイラーも用意されたA80型は多くのファンを惹きつけた。
他の派手なエアロパーツや凹凸をつけることなく、この大型ウイングが世界を魅了したのである。
先代よりも100kg軽いボディに330ps(欧州仕様)というパワーにより、最高速度は285km/hに達した。
高速域でも安定した走りを実現するために取りつけられたスポイラーにより、この世代のスープラはモダン・クラシックとして知名度を高めている。
スバル・インプレッサ22B(1998)
スバル・インプレッサの中でもさらに速いモデルは存在するが、22Bを特徴づけるものは多い。
その代表的なものは、WRCカーから取ってつけたかのような派手なリアスポイラーだろう。これはウイングのエッジが可動式となっており、その角度を調整することができる。
実際にはWRCのラリーカーのものとは異なるデザインだが、400台の生産枠は24時間で埋まってしまうほどの人気であった。
スバルは英国向けにさらに16台、オーストラリア向けに5台、そしてコリン・マクレー、ニッキー・グリスと、そしてプロドライブのデイビッド・ラップワース用にシリアル「000」の3台を製造した。
TVRサガリス(2003)
サガリスはピーター・ウィーラー時代のTVRの集大成として位置付けられるクルマだ。
電子制御を排除したピュアかつエキサイティングなクルマであり、ドライバーを助けてくれるのは透明なリアスポイラーだけであった。
他のTVR車と同様、このリアスポイラーは確実に効果を発揮するものであり、同社史上最高のクルマと評価された。
最高出力は400ps、最高速度は314km/hに達する。
ダッジ・バイパーACR(2008)
ダッジ・バイパーにアメリカン・クラブ・レーシング(ACR)の名称が与えられたのには明確な意図があった。それはACRマシンの敷居を下げ、誰にでもレース参加ができるようにというものだ。
ダッジは先代のSR II型にも同様のモデルを設定したが、2008年のZB IIで初めて巨大なカーボンファイバー製リアウイングを装着し、これがバイパーを象徴するものとなった。
ACRはストリート・リーガルだが、このウイングは見掛け倒しではなく240km/hで455kgものダウンフォースを発生する。
これは調整式フロントスプリッターとの組み合わせによりもので、スタンダードなロードバージョンの10倍に相当する。
パガーニ・ゾンダR(2009)
ゾンダRは市販モデルのための試験的な役割を果たした。Rの名称が示す通り、富裕層がサーキットで走らせることを想定したモデルだ。
とはいえこの多くのパーツはウアイラに使うためのテストを兼ねており、標準のゾンダと共通のパーツはわずか10%程度であった。
Rの特徴の1つは、耐久レースなどで見られるものと同様の可変リアウイングだ。これによる空力性能のおかげで、2007年にニュルブルクリンクで6分47秒という新記録を樹立した。
150万ポンド(2億円)の値がつけられ、15台が販売された。
ホンダ・シビック・タイプR(2015)
ホットハッチの第一線から離れていたホンダは、3年ぶりにシビック・タイプRを投入した。FK2型はパワーとその速さに加え、その大型リアウイングが特徴であった。
機能性を第一に設計され、強力ではないものの確かなダウンフォースを発生した。
これがライバルとの明確な差別化に貢献し、新たなファンを獲得することができた。このウイングは2017年に登場したFK8型にも引き継がれ、さらなるパワーとダウンフォースが与えられた。
このウイングは世界ツーリングカー選手権で使われたマシンから得られたデータを用いて設計されている。ルーフ後端に取りつけられたボルテックス・ジェネレータはより多くの空気をウイング表面に導く効果を持つ。
マクラーレン・セナ(2017)
マクラーレン・アルティメットシリーズに対するわれわれの期待は絶大だ。セナは確かにこれに応えてくれた。
その巨大なリアウイングは最大800kgのダウンフォースを生み出すだけでなく、加速時や減速時など、そのスピードに応じて角度が変化するのだ。
さらに賢いことに、ボディに取りつけられた小さなガーニーフラップから空気の供給を受けてその効果を発生しているのだ。
これによりエンジンの排熱を助けるとともに、低圧部を作り出してスポイラー表面に空気を送ることでダウンフォースを生み出している。もちろん、軽量化のためこのウイングはカーボンファイバー製だ。
ポルシェ・パナメーラ・ターボ(2017)
パフォーマンスに対するポルシェの本気度は、パナメーラ・ターボのリアウイングからも見て取れる。
2世代目パナメーラにはより大型のリアウイングが必要とされた。そこで生み出された答えが、3ピースのウイングをトランクに内蔵するというものだ。低速時にはボディラインに隠されるようになっている。
300個以上の部品からなるこのウイングは2つの電動モーターによって駆動されている。
200km/h以下では空気抵抗低減と燃費向上を図るが、それ以上の速度域では自動的に角度が変化し、さらなるダウンフォースを生み出している。
フォードGT(2017)
フォードGTのリアウイングは停止時には隠されている。スポーツモードで113km/h以上、ノーマルモードやウェットモードでは145km/h以上に加速すると2本のストラットに支えられてせり出す仕組みだ。
またモードにかかわらず、120km/h以上からのハードなブレーキング時にはエアブレーキとしても機能する。
一方トラックモード時には展開した状態で固定されるが、最高速モードではエアロダイナミクス向上のため格納される。
これらの機能はベントを自動的に開閉することによりボディ周囲の流れを制御するアクティブ・エアロとともに動作する。
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