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1928年開始の徹底試乗テスト ジャガーFタイプ  

はじめに

ジャガーは新たなデザインディレクターにジュリアン・トムソンを据え、デザインの刷新に乗り出した。今回のテスト対象であるFタイプの改良版がよりシャープになっているのを目にすれば、彼らの判断が正しかったと思える。

【画像】ジャガーFタイプRとライバル 全9枚

長年にわたりデザイン部門を率いてきた前任者のイアン・カラムが、その座を離れたのは2019年6月。デザインに要する時間を考えると、それよりずっと前にこの改良モデルは承認されていたと思われる。

いずれにせよ、見ればわかるように、このオールアルミのシャシーを持つフロントエンジンの英国製スポーツカーは、これまでで一番のルックスを得た。このマイナーチェンジでは、それと同時にハンドリングや使い勝手の改善も同じくらい明らかに効果を上げているのだろうか。

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

Fタイプの改良にあたり、主にコストをかけたであろう箇所はすぐわかる。鋭い目つきの新たなルックスは、ヴィジュアル的なアピールを実に効果的に塗り替えた。

バンパーやグリル、ヘッドライトはもちろん、ボンネットの形状も刷新された。さらにテールライトやホイールも新デザインで、ボディカラーのリストも更新された。

エンジンラインナップはこれまでにも多くの見直しが図られてきており、直接的なライバル勢と比べてかなり幅広い選択肢が用意されている。ただし、やや関連性の薄いバリエーションではあるのだが。

ジャガーは、2017年に300psの2.0L直4ガソリンターボを追加。その前年には、トップグレードのSVRに4WDを導入し、その後は四輪駆動の設定範囲を拡大している。

しかし、今回のアップデートでは、少なくとも欧州市場に関する限り、V6スーパーチャージャーを順次廃止。代わって、モデルレンジ中盤の穴を埋めるべく、5.0Lで450psを発生するV8の低出力版を用意した。

四輪駆動は、このP450と銘打たれた中間グレードではオプション。最上位機種にして、今回のテスト対象である575psのP575 FタイプRには標準採用となる。なお、4気筒を積むエントリーモデルのP300は後輪駆動のみだ。全車に共通するのは、ZF製の8速ATを搭載する点である。

サスペンションなどメカニズムの改修が、もっとも多岐に渡るのはFタイプRだ。前任グレードよりワイドな20インチのアルミホイールを装着し、リアアクスルのハブナックルやボールジョイントを一新。アダプティブダンパーやスプリング、スタビライザーも新開発品となった。

トランスミッションの電子制御系は、ジャガーのスーパーセダンであるXE SVプロジェクト8と同じもので、よりクイックなパドル変速を可能にするという。エンジンのパワーとトルクは、改良以前のRが積むV8よりわずかながらアップしている。

内装 ★★★★★★★★☆☆

インテリアの改修には、ボディパネルの変更ほどの力を注がれてはいないだろう。そうはいっても、重要な点がいくつかリニューアルされている。

競合する多くの名スポーツカーたちと比べて、Fタイプのキャビンが贅沢で、包み込んでくれるように心地よい場所であるのは変わらない。それは、毎日の足として使うならFタイプを選びたくなる理由のひとつに挙げられる。

絶対的なスペースなら、これより広い競合車をみつけられる。また前方視界は、ちょっとばかり郵便ポストの中から眺めているように思えるところがある。

背の高いドライバーなら、ヘッドルームを最大限確保するために、パノラミックルーフは装着しないほうがいいと感じたのもいままで通りだ。それでも、テスター陣の中でもっとも長身である190cmのドライバーでも、問題になるほど快適性が損なわれたわけではないのだが。

クーペとコンバーティブルの荷室容量に大きな差があるのも、改良前から引き継ぐ課題だ。長期のドライブ旅行を考えているなら、それは覚えておいてもらいたい。

クーペは、パーセルシェルフを外した際のキャパシティが509L。ジャガーによれば、ゴルフクラブのバッグは2セット積めるという。とはいっても、うまい積み方を心得ていれば、の話だが。

ドライビングポジションは相変わらずグッド。座面は低く、長距離乗っても快適。Rならば、サポート部が大きく張り出したパフォーマンスシートが標準装備で、身体をしっかり支えてくれる。

ドライバーズシートに身を預け、視線を前へ向けると、そこには12.3インチのディスプレイを用いたデジタルメーターパネルが新設されている。グラフィックは鮮明で、表示レイアウトの変更も可能だ。

走り ★★★★★★★★★☆

今から3年前、ジャガーが彼らのスポーツカーに4気筒搭載バージョンを追加した際には、賛否両論が巻き起こった。それでも、少なくともV8スーパーチャージャーを積んだ仕様も残されたことを踏まえれば、じつにスマートな判断だったといえる。

しかし、このV8の製造拠点について、先行きは不透明だ。これまではフォードのブリジェンド工場から供給されていたが、このプラントは年内にも閉鎖される見通し。生産ラインがウォルバーハンプトンにあるジャガー・ランドローバーのエンジン生産工場へ移されるという憶測もあるが、不確かな噂の域を出ない。

とりあえず、その件について今回は深く突っ込まないことにしよう。ただただ、正しい決定がなされることを信じるのみだ。なにしろ現場の市販エンジンで、これほど魅力的な爆音と野蛮なまでの力強さをあわせ持ち、ここまで目覚ましい効果を上げているものはまずないのだから。

このエンジンによって、Fタイプは多様性を手に入れている。スポーツカーであるのはもちろんだが、ホットロッドのようなにぎやかさや、時としてスーパーカーすら打ち負かすほどの移動ペースも発揮するのだ。

このFタイプRのパフォーマンスはとてつもないレベルにあるが、最新のV8ターボとは異なる。性能を最大限引き出すにはエンジン回転をかなり高めなければならないので、ポルシェやメルセデスAMGのように高いギアで発進できる類のクルマではないのだ。

それらと比較すれば、2000rpm付近ではもたつきがあり、レスポンスが鈍い。それを補うには、ややせわしなくギアボックスにキックダウンを求めることが必要になる。

とはいえ、4000rpmを超えたときのパワーデリバリーは、低回転域での犠牲を払うに値するものだ。公道上で全開にできる機会は滅多にないが、そのチャンスを得られれば、思い切り楽しめるはずだ。

このAJ-V8は獰猛さと劇的なサウンドを備える。それは大袈裟で、子どもじみていると感じるひとさえいそうなほどだが、身体にガソリンが流れていると自負するようなクルマ好きなら、その限りではないだろう。ただ、オーバーランしたときに弾けたり唸ったりしがちな点だけは、やりすぎだと考えるテスターもいた。

ギアボックスは、SレンジやDレンジに入れっぱなしにしたときより、マニュアルモードのほうが滑らかで直観的なフィールをみせるのは疑う余地のないところ。その点では、よくできたデュアルクラッチのパフォーマンスカー向けトランスミッションにやや後れを取る。

パドルシフトは十分にクイック。また、自分のタイミングで変速できるので、本気で操作すればより高いパフォーマンスを引き出すことができる。

鋳鉄ディスクを装着したテスト車の場合、ブレーキペダルはプログレッシブさもフィールも非常にいい。ただし、極限状態での耐フェード性を試す機会は設けられなかった。

使い勝手 ★★★★★★★☆☆☆

インフォテインメント

これまでのFタイプに装備されていた旧式のインフォテインメントシステムは、10.0インチのディスプレイを用いたジャガーの最新バージョンであるインコントロール・タッチ・プロに差し替えられた。

オンラインで音楽を楽しむこともできる。ダウンロードはジャガーが用意したアプリのほか、Apple CarPlayやAndroid Autoを経由して行うこともできる。

ただ、正直な話、そこそこのシステムといったところで、すばらしいというほどではない。レイアウトはなかなか優れた使い勝手をもたらすが、操作に対するわずかなタイムラグは相変わらず残っている。また、ホーム画面のレイアウトは、思いのほか柔軟に設定を変更できるものではない。

オーディオの選択肢は2通り準備されている。いずれもメリディアン製だ。標準仕様は400Wをわずかに切る出力の10スピーカーで、990ポンド(約13.9万円)のプレミアムシステムは770Wアンプと12スピーカーを備える。

テスト車に装着されていたのは標準オーディオ。しかし、それでも十分すぎるほどパワフルで、音の明瞭さもなかなかよかった。

操舵/快適性 ★★★★★★★★☆☆

このクルマは、ポルシェの新型911ターボSを全長でも乗車定員数でも下回っているのだが、公称重量は100kg以上重い。とはいえ、あえていうなら、FタイプRにとって、重量は大きな足かせにはならない。

決定的な障害とならない理由のひとつに、このクルマで難易度の高い道をいかに攻略するか、それを堪能するさまざまな方法が見出せることが挙げられる。しかし、ほかの要素がいくつも重なることで、このFタイプRが絶対的なバランスやアジリティを得るうえでの妨げとなっているのもまた事実だ。

日々の足として、もしくは長距離ドライブの共として使うなら、ケチのつけようはまずない。20インチホイールを履いているにもかかわらず、乗り心地はじつに穏やかで、アダプティブダンパーをノーマルモードにセットすれば、しなやかで外部からの不快な入力を遮断してくれる。

そのため、長距離走行はきわめて快適にこなしてくれる。シャシーのセッティングをソフトな方へ振れば、パワートレインがもたらす内燃エンジンの豊潤さをゆったりと味わうのもたやすいことだ。

ダイナミックモードを選べば、即座にサスペンションが硬くなり、ステアリングの手応えが増すのを感じ取れるはず。それまでの滑らかさや安楽に過ごせる精緻な乗り心地はやや損なわれはじめる。

最新のスポーツセダンやGTカーを特徴付けるような優れたボディコントロールや方向変換の切れ味はみごとに備えているが、新型911やロータス・エヴォーラに比べれば、このジャガーのハンドリングはわずかにソフトで、フィードバックもやや抑え気味。また、路面が悪くなってくると、サスペンションが自重を緊密にコントロールし続けるのに苦労しているようにも感じられる。

ジャガーの4WDシステムは、デフォルトでは後輪寄りのトルク配分のはず。だが、電子制御トルクベクタリングともども、駆動力の扱いがベストの状態より半歩遅れる印象がある。

いずれも、時としてV8エンジンの凶暴さを御しかねているように感じさせるチューニングを敢えて施したのかもしれない。だがそれは、じつにラフで未熟なかたちで表れることがある。

今回、このクルマをサーキットに持ち込むことは叶わなかった。しかし、これまでの全輪を駆動するジャガーのパフォーマンスモデルたちは、ドイツ生まれのライバル勢のうちのいくつかが見せるような運動性の調整度やスロットルのアジャスト能力を再現できずにいた。

このFタイプRは、法定速度内では優れたスタビリティとバランスのいいグリップレベルを披露してみせた。そうだとしても、限界域でのジャガー製4WDの評価を大きく引き上げそうな要素は見出せなかった。

購入と維持 ★★★★★★★★☆☆

現時点のラインナップではトップグレードに当たるが、それでもV8のR仕様はバリュー・フォー・マネーで判断するとかなり強力な選択肢だといえる。

同程度の価格で手に入るポルシェ911は、このジャガーほどのパワーがない。パワーが同等となるメルセデスAMG GTや、ミドシップ4WDのアウディR8なら、少なくとも3万ポンド(約420万円)は高価だ。

対して低価格な4気筒モデルなら、値引きも勘案すると、ポルシェ718系やアルピーヌA110あたりと比較されることになるはず。車載テクノロジーの洗練度を考えれば、安価でシンプルなライバルたちより満足できる選択肢になるだろうという声もあるだろう。

それでもお得感があるのは、やはりFタイプRだ。四輪駆動を備える上に、マテリアルはリッチでフィールもラグジュアリー。それを踏まえれば、もっと値の張るスーパースポーツカーのライバルとしてはバーゲンプライスだといっていい。

スペック

レイアウト

Fタイプのアルミモノコックには、フロントにエンジンが縦置きされる。ギアボックスもフロントマウント。後輪駆動と、クラッチ式四輪駆動が設定される。

サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンクだ。

エンジン

駆動方式:フロント縦置き四輪駆動
形式:V型8気筒5000cc、スーパーチャージャー、ガソリン
ブロック/ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ92.5×93.0mm
圧縮比:9.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:575ps/6500rpm
最大トルク:71.3kg-m/3500-5000rpm
許容回転数:6750rpm
馬力荷重比:330ps/t
トルク荷重比:40.9kg-m/t
エンジン比出力:115ps/L

ボディ/シャシー

全長:4470mm
ホイールベース:2622mm
オーバーハング(前):933mm
オーバーハング(後):915mm

全幅(ミラー含む):2042mm
全幅(ミラー除く):1923mm

全高:1311mm

積載容量:299~509L

構造:アルミニウム、モノコック
車両重量:1743kg(公称値)/-kg(実測値)
抗力係数:0.32
ホイール前/後:9.0Jx20/11.0Jx20
タイヤ前/後:265/35 ZR20/305/30 ZR20
スペアタイヤ:なし(修理キット)

変速機

形式:8速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:4.71/10.8
2速:3.14/16.1
3速:2.11/23.8
4速:1.67/30.3
5速:1.29/39.1
6速:1.00/50.4
7速:0.84/60.0
8速:0.67/75.3
最終減速比:2.56:1

燃料消費率

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):5.7km/L
中速(郊外):9.2km/L
高速(高速道路):11.1km/L
超高速:10.5km/L
混合:9.3km/L

燃料タンク容量:70L
CO2排出量:243g/km

サスペンション

前:ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング、スタビライザー
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザー

ステアリング

形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.2回転
最小回転直径:11.3m

ブレーキ

前:380mm通気冷却式ディスク
後:376mm通気冷却式ディスク

各ギアの最高速

1速:72.4km/h(6750rpm)
2速:107.8km/h(6750rpm)
3速:160.9km/h(6750rpm)
4速:204.4km/h(6750rpm)
5速:263.9km/h(6750rpm)
6速:299.3km/h(5937rpm)
7速:299.3km/h(4987rpm)
8速(公称値):300.0km/h(3978rpm)

7速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1497rpm/1711rpm

結論 ★★★★★★★★☆☆

ジャガーFタイプは改良されても、根源的な部分は変化していない。つまり、ルックスもサウンドもすばらしく、速く、手軽にスリルを味わえるスポーツカーを求めるひとびとのためにデザインされたクルマだ。その点で新型は、これまで以上に優れている。

7年前なら、こんな比較も鮮度が高かっただろうが、現在でも意味は十分にある。今もしTVRのニューモデルが存在したなら、比較対象として鼻息荒いV8を積んだジャガー以上に適したものはないということだ。ただし、Fタイプのトップグレードは、ブラックプール製のいかなるブリティッシュスポーツカーより日常遣いに向いているが。

はっきりと違いのわかる運動性のバランスや夢中になれる限界域でのハンドリングを備えた2シーターを探しているユーザーなら、さらなる深みを求めてほかのスポーツカーにも目を向けるだろう。ジャガーのスコアは悪くないが、デリカシーはロータスやポルシェのような域に達していない。

われわれとしては、もう少しパワーを落として、駆動輪をリアのみとした方が楽しめるのではないかと考えている。だが、そうはいうものの、FタイプRにファンなファクターが欠けているというわけではない。

ジャガーとすれば、フルモデルチェンジではなく現行モデルの延命を選んだのは、いささか不本意なところもあったかもしれない。だが、われわれとしてはじつに喜ばしく思っている。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダーストラクションコントロールの効きはトラックDSCモードにすると弱まり、駆動系がよりうまくトルクを分配しようとしているのが感じられる。それでも、後輪がホイールスピンしはじめたときには、前輪へ多すぎるトルクを早々と送りこんでしまう。レスポンスに優れるというより、機会的に反応しているだけという感覚だ。

リチャード・レーンステアリングのチューニングは悪くない。ダイナミックモードでは適度な速さとしっかりした手応えがあり、ノーマルモードでは軽く扱いやすい。しかし、ややゴムっぽいフィールで、荷重を期待通りには手元へ伝えてくれない。

オプション追加のアドバイス

まだ試す機会には恵まれていないが、おそらく新型Fタイプのスイートスポットは後輪駆動のP450だ。Rダイナミック仕様のクーペを選び、4500ポンド(約63万円)のSVOペイントであるアタカマオレンジに塗りたい。ゴージャスな一台になるはずだ。

改善してほしいポイント

・電子制御トルクベクタリングは改良の余地あり。そして、Rにも正真正銘の後輪駆動モデルを用意してもらいたい。
・高級感を損なうことなく、重量を削減する道を探ってもらいたい。
・もう少し接地感を手元に感じたい。もう少しフィールを伝えるパワーステアリングにしてほしい。

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