コンパクトミニバン販売で熾烈な争いを続ける、トヨタシエンタとホンダフリード。室内の広さや装備差、コストパフォーマンスなどを比較すると、結局どっちがいいのか?
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部
結局トヨタ シエンタとホンダ フリードはどっちがお買い得なのか? 販売はシエンタに軍配!! 2台のあばたとエクボをはっきりさせる!!
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シエンタとフリード、どっちが売れてるのか?
2022年8月にデビューした3代目シエンタ。扱いやすい5ナンバーサイズはそのままに、広い室内空間と取り回しのよさに磨きをかけた一台
2024年度(2024年4月~2025年3月)の小型/普通車販売ランキングは、1位がトヨタヤリスシリーズ、2位はトヨタカローラシリーズ、3位はトヨタシエンタ、4位は日産ノート+ノートオーラ、5位はホンダフリードであった。
1位から5位までの内、1位、2位、4位は、複数のボディタイプを合計した登録台数だ。例えば1位のヤリスシリーズは、コンパクトハッチバックのヤリス、SUVのヤリスクロス、スポーツモデルのGRヤリスを合計した台数になる。最近の販売内訳は、ヤリスクロスが54%、ヤリスは43%、GRヤリスは3%だ。
2024年6月にデビューした3代目フリード。上質で洗練されたシンプルなデザインのAIRと、力強く遊び心に溢れるデザインのクロスターの2タイプ。価格はAIRが262万3500~344万3000円
カローラシリーズはボディの種類がさらに多く、販売ランキングは2位でも、ボディタイプ別の台数に分割すると順位が下がる。ノート+ノートオーラは、ノートが60%でノートオーラは40%だ。これも台数が二分される。
このような具合だから、ボディタイプ別に算出した時の小型/普通車販売ランキングでは、シエンタが実質的な1位になる。2024年から2025年3月に掛けて、1種類のボディで、1か月平均1万台前後を登録した。ボディタイプ別の2位はフリードで、1か月平均登録台数は約7600台だ。
ちなみに小型/普通車に限定しない2024年度国内総合販売ランキングでは、1位は軽自動車のホンダN-BOXであった。1タイプのボディで、1か月平均約1万7600台を届け出した。2位もボディタイプ別なら軽自動車のスズキスペーシア、3位も同様にダイハツタントで、4位が前述のシエンタ、5位にフリードが入る。
フリードクロスターe:HEV5人乗り。フリードクロスターの価格は292万8200~360万2500円
このように見ると、今のボディタイプ別国内販売上位3車は、全高が1700mmを超えてスライドドアを装着した軽自動車のスーパーハイトワゴンで占められる。4位と5位は、コンパクトな3列シートミニバンだ。
今は小型/普通車を中心にSUVが人気を得ているが、販売上位に入るのは、「天井の高いボディにスライドドアを装着したコンパクトなクルマ」になる。小さくて車内の広い実用的な車種が人気だから、N-BOXやスペーシアと、シエンタやフリードの高人気には互いに関連がある。
シエンタが売れてる理由
トヨタ シエンタ(199万5200~323万4600円)。1.5Lガソリン&HEV、2列5人乗り&3列7人乗り、FF&4WDと豊富な設定
特に注目されるのがシエンタだ。現行シエンタの発売は2022年8月だから、2023年のN-BOXやスペーシア、2024年のフリードなどに比べて基本設計が古い。それでも国内総合販売ランキングの実質4位、小型/普通車の実質1位になった。その理由は何か?
シエンタが人気を得た背景には、複数の事情がある。まずは3列シートミニバンでは、ボディが最もコンパクトで視界も優れ、運転しやすいことだ。開発者は「全長を4200mm台に抑えることにこだわった」という。シエンタは4260mmでフリードは4310mmだから、わずか50mm短いだけだが、開発者は「お客様に与える印象の違いは小さくない」という。
身長170cmの大人6名が乗車した場合、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ1.5個分に調節すると、シエンタの3列目に座った人の膝先は2列目の背面に触れるが、薄型燃料タンクの採用で3列目の床と座面の間隔がフリードを40mm上まわり、腰が落ち込んで膝の持ち上がる姿勢になりにくい
シエンタのパワーユニットは、直列3気筒1.5Lのノーマルガソリンエンジンとハイブリッドで、後者のGとZは、2WDのWLTCモード燃費が28.2km/L(7人乗り)に達する。この数値もフリードにハイブリッドのe:HEVを搭載したエアーEX・2WD(6人乗り)の25.4km/Lよりも優れている。
安全装備については、シエンタは、床下透過表示機能が備わる人気の高いパノラミックビューモニターをハイブリッドとノーマルガソリンエンジンのGとZに標準装着した。Xもオプション装着できる。
身長170cmの大人6名が乗車した場合、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ1.5個分に調節すると、フリードでは3列目の膝先にも同程度の余裕が生じる。3列目の格納方法は左右に跳ね上げる方式で操作しやすい。シートアレンジを頻繁に行うならフリードがよさそうだ
最大のライバルであるフリードとシエンタ、どっちがお買い得なのか?
フリードe:HEV AIRのコクピット
一方のフリードは、現行型の発売時点では、マルチビューカメラシステムのオプション設定がe:HEVのみであった。そこで2025年3月に改良を実施して、ノーマルガソリンエンジン車でもオプション装着できるようになった。
シエンタは価格も安い。最も安価なノーマルガソリンエンジンのX・2WD(7人乗り)は203万5200円だ。Xはスライドドアの電動機能が左側のみで、ディスプレイオーディオも省かれるが、安価だから法人やレンタカーの需要を拡大できる。
フリードは全車に両側スライドドアの電動機能を標準装着しており、値上げの影響もあるため、最も安価なノーマルガソリンエンジンのエアーでも価格は262万3500円だ。シエンタは内容がシンプルでも、最も安いグレードが60万円近く下まわるから、安価な印象を与える。
シエンタのコクピット
売れ筋の上級グレードは、シエンタはハイブリッドZ・2WD(7人乗り)だ。ドライバー異常時対応システムやパノラミックビューモニターなどを標準装着して、ディスプレイオーディオのサイズも10.5インチに拡大される。価格は303万6600円だ。
フリードe:HEVエアーEXは、マルチビューカメラシステムはオプションだが、アルミホイールは標準装着する。装備はシエンタハイブリッドZと同様に充実するが、価格は6人乗りが321万2000円だから少し割高感が伴う。
フリードがシエンタを上回る機能は?
フリードの6人乗り車のセカンドキャプテンシートは、7人乗り車のセカンドベンチタイプシートと比べると、はるかに座り心地がよい。シエンタにはこのキャプテンシート仕様はない
その代わりにフリードがシエンタを上まわる機能も多い。車内の広々感はフリードが勝り、3列目シートの居住性もシエンタに比べて快適だ。2列目には、シエンタでは選べないセパレートタイプのキャプテンシートを割安な価格で設定した。乗り心地も快適で内装は上質だから、フリードであれば、コンパクトサイズなのにミドルサイズミニバンに迫る満足度を味わえる。
対するシエンタは、全長が4200mm台の運転しやすいボディ、割安感の強い価格設定など、コンパクトミニバンとしての価値を追求している。ここがトヨタの巧みな商品開発だ。
シエンタは、ミドルサイズミニバンのノア&ヴォクシーの領域には、絶対に踏み込まない。シエンタ独自のユーザーを獲得する。
シエンタの室内高は1300mm
ノア&ヴォクシーも、アルファード&ヴェルファイアの領域には入らない。トヨタ車は、同じカテゴリーでも縄張りを明確にして共存共栄することで、国内で売られる小型/普通車の半数を占める(レクサスを含む)。
その点でフリードは、ステップワゴンと重複する機能も見られる。開発者からも「ステップワゴンに勝てる機能は少なくない」という話が聞かれ、商品力が高い半面、互いに競争して需要を喰い合うことも考えられる。この点が共存共栄を重視するトヨタとの一番の違いだ。
このほか販売店舗数も異なる。トヨタの店舗数は全国に約4400箇所だが、ホンダは約2100箇所だから半分程度に留まる。トヨタの販売店からは、次のような声も聞かれた。
「最近のトヨタでは、受注を停止している車種が増えた。ランドクルーザーなどは生産が需要に追い付かないためだが、細かな一部改良などでも相応の期間にわたって受注が止まる。そのために(定額制カーリースのKINTOを除くと)積極的に販売できる車種が減り、順調に納車されるシエンタやルーミーに力が入る。そのために売れ行きが伸びた面もある」。
以上のようにシエンタが好調に売られている背景には、車両開発、生産、販売まで、トヨタのいろいろな事情が影響を与えている。シエンタはボディタイプ別にみた時のトヨタ車の実質販売NO.1だから、いろいろな意味で、トヨタを象徴する存在になっている。
シエンタのフロントシートウォークスルー機能
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