伝説のV8アバルト・プロトティーポ、富士ショートサーキットに降臨!
日本はアバルト大国と呼ばれるほど、歴史的なモデルが現存しています。毎月どこかしらで行われているイベントやオフ会などでアバルトを見かけることが多いです。今回はそのなかから「クラブ・アバルト・ジアッポーネ」が主催したイベントにサプライズ演出した伝説的マシン、アバルト「3000SP」について紹介します。
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幻のアバルトV8マシン、3000SPとは…?
2025年3月20日に富士スピードウェイで開催された「グランプレミオ・スコルピオニッシマ」では、1966年にわずか2台が製作された「1300SP」が久方ぶりにサーキット走行を披露した。くわえて、2021年にワンオフの試作車が発表されたのち、2022年から2023年にかけて世界限定5台のみ製作・販売された現代版アバルト「クラシケ1000SP」まで登場。アバルト歴代モデルのなかでも神格視されるレーシングスポーツカー「SP(スポルト・プロトティーポ=スポーツプロトタイプ)」祭りとなった。
しかし、真の「サプライズ」はそのあとに控えていた。あらゆるアバルトのなかでも伝説的、もちろんこれまで日本の地を踏んだことのなかった3000ccクラスのFIAグループ6マシン「アバルト3000スポルト・プロトティーポ(SP)」が、富士スピードウェイ・ショートサーキットに降臨したのだ。
1968年シーズンから、世界スポーツカー選手権および欧州ヒルクライム選手権に向けたFIAレギュレーションが改定された。3000cc以下のグループ6プロトタイプが総合優勝を争う最上位カテゴリーとなることが決定。これまでクラス優勝狙いだったアバルトも、ついに総合優勝を含めた頂点を狙うことになる。
フォッキ技師の手がけたV型8気筒DOHCエンジンを搭載
そこでアバルト技術陣は、1968年シーズンに向けた3Lマシン「3000SP」の開発に着手。社内開発コードネーム「SE013」を端緒に、マリオ・コルッチ技師の設計した鋼管スペースフレームに、ルチアーノ・フォッキ技師の手がけたV型8気筒DOHCエンジンを搭載したマシンを製作していく。
その後は1968年後半から1969年にかけて改良型の「SE016」を開発するも、こちらも成果は挙がらず。そこで、ウェッジシェイプを強めたボディを持つ2000cc級「SE019」のシャシーを強化し、V8エンジンを搭載するかたちで試作。イタリア国内のヒルクライムなどに試験的に共用されたのが、この個体とされている。
ただ、直後にアバルト製3000cc級スポーツプロトタイプとしては最終決定版ともいうべき「SE022」が完成に至ったことにより、早々に役割を終えてしまったとされている。
日本人レーサー初のル・マン勝者、関谷正徳氏がドライブ!
1971年にフィアット・グループ傘下に入ったアバルトは、スポーツカーレース部門を「オゼッラ」に譲渡。とくに巨額の費用を要する3000ccのトップカテゴリーは、事実上のお蔵入りとなってしまう。
そしてこのアバルト 3000SPは、長らくフランスの有名なコレクターのもとに所蔵されていたそうが、数年前から「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」や「ヴェルナスカ・シルヴァーフラッグ」ヒルクライムなど、欧州の一流イベントに姿を見せるようになっていた。
これらのイベントでは、かつてアバルトのエースドライバーだったアルトゥーロ・メルツァリオ氏がステアリングを握ったとのこと。いっぽう日本の「グランプレミオ・スコルピオニッシマ」でデモランのドライバーを委ねられたのは、日本人レーシングドライバーとしては初めてル・マン24時間レース総合優勝を勝ち取った関谷正徳氏だった。
ただ、アバルトと関谷さんといえばあまり関りがなさそうと思われがちだ。じつは関谷さん、この日の会場である富士スピードウェイ・ショートコースの設計者であるとともに、現代アバルトのオーナーのために開催されてきたステランティス・ジャパン公式のドライビングスクール「アバルト・ドライビングアカデミー」の主任講師として、カリキュラムも作成した人物。これまでにも新車/クラシケの双方で日本のアバルト愛好家たちとの親交が深いことから、この名誉あるドライビングを担当することになった。
アバルトのV8マシンが日本のサーキットを走る
ランチタイムの終了後、ショートサーキットのホームストレートに参加車両全台を収めた記念写真を撮影したのち、いよいよ関谷氏による3000SPのデモランがスタート。当初はマシンとの距離感を確かめるようにゆっくりしたペースで流していたが、次第にスピードもサウンドもヒートアップしていく。そして、その雄姿とたたきつけるように強烈なV8サウンドに、会場はすっかり魅了されてしまったのだ。
せっかくなので、デモラン終了後に関谷さんをつかまえて、アバルト 3000SPの印象について伺ってみたところ、まずは意外にしっかりしたつくりであることに感心したとのこと。そのかたわら
「まだシェイクダウン走行に近い状況なせいか、V8エンジンは本領を発揮している感じではなさそう……」
とお答えをいただいた。
また、これまで関谷さんが乗る機会のあった「トヨタ7」と比べると……? ちょっと無茶ぶりをしてみたところ
「同じ時期に作られたV8のレーシングカーだけど、グループ7のトヨタとグループ6のアバルトじゃ、まるで似てないなぁ……(苦笑)」
ともあれ、この日のデモランを思い出すにつけ、アバルトのV8マシンが日本のサーキットを走るという白日夢のような出来事が、実際に起こったことであると今いちど認識させられる。
やはり「グランプレミオ・スコルピオニッシマ」は、オーナーズクラブのプライベートイベントとは思えないほどに、ゴージャスなものだったと認めざるを得ないのである。
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