昨年(2019年)はトヨタでは「マークX」と「エスティマ」、日産は「キューブ」、スバルも「WRX STI」といった一世を風靡するなどの大きな功績を残した有名どころの生産終了が相次いだ年だった。
しかし、現在日本で買えるクルマ全体を見ると、目立たないながらも小さくない役割をしていたクルマたちにもすでに生産が終了し在庫のみの販売となっているモデルや、生産終了が発表されている輸入車もあり、当記事ではそんなクルマたちを紹介し、魅力を再確認していく。
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今回紹介するモデル以外に、2019年に消滅したモデル。2019年は生産終了というニュースが多かった
文/永田恵一
写真/MITSUBISHI、NISSAN、DAIHATSU、MINI、ABARTH
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■三菱 デリカD:5 ガソリンモデル(2019年10月23日生産終了)
ガソリンモデルは、先代型をそのまま販売していた。デリカD:5では、クリーンディーゼルが人気のため、ガソリンモデルを併売するメリットが少ない、と判断したかもしれない
2007年登場のデリカD:5は「ミニバンを軸足に置いたSUV」という孤高のコンセプトが支持され、ディーゼルエンジンを追加するなどしながら堅調な販売をキープした。そのデリカD:5もアダプティブクルーズコントロールなどの運転支援システムや自動ブレーキが設定されないといった古さが目立つようになった。といった背景もあり、2019年2月にフルモデルチェンジというほうがシックリくるくらいの超ビッグマイナーチェンジが行われた。
超ビッグマイナーチェンジされたデリカD:5は、エクステリアでは強い個性を持ちながらも受け入れられない人は少ないという絶妙にバランスされたフロントマスクの採用や、都会的な雰囲気となるアーバンギアの設定、インテリアのグレードアップ、待望の運転支援システムと自動ブレーキを全グレードに標準装備するなど、劇的な正常進化を果たした。
ただ超ビッグマイナーチェンジ後のモデルはパワートレーンが2.2Lディーゼルターボ+8速ATの4WDのみとなったこともあり、価格が約390万円からと新車が買えないユーザーもいる価格帯になったのも事実だった(それでもデリカD:5全体で現在月に1500台程度売れているというのは、高い魅力やブランド力の象徴なのだろう)。
ビッグマイナーチェンジした新型デリカD:5。パワートレーンは、2.2Lディーゼル+8AT(4WD)に一本化された。悪路走破性が大幅に向上、販売も好調だ
というユーザー層も考慮し、超ビッグマイナーチェンジ前のモデルのまま残されたのがデリカD:5のガソリン車である。デリカD:5のガソリン車は、2LNA+FFと2.4L+4WDというラインナップで、悪路走破性に関しては超ビッグマイナーチェンジ後のディーゼル車に及ばないにしても、十分以上だ。
また、運転支援システムと自動ブレーキがないのは現代のクルマとして致命的な弱点ではあるが、ミニバンとして見るとデリカD:5は超ビッグマイナーチェンジ前のモデルでもミニバンのなかではシート座面が厚いほうで、長距離ドライブでも快適という強みもある。
それでいて価格は一番安い2LNA+FFなら約250万円からと、見た目と快適性、価格の割に大きいボディサイズなどを総合すればお買い得感は高い。
■日産 ティアナ(2019年末生産終了)
2013年に登場した3代目で、初代のコンセプト「モダンリビング」と、2代目の「おもてなし」のいいとこどりをしたモデルとなっていた
ティアナは2003年にかつてのローレルとセフィーロを統合したモデルとして登場した、FFのラージセダンである。初代モデルは居心地のいいインテリア、2008年登場の2代目モデルは最近流行のクーペルックのセダンに通じる流麗なスタイルが魅力だった。
しかし2014年登場の現行モデルは、パワートレーンは2.5リッター直4+FFのみ、安全装備が目立つところもない、特に価格が安いわけでもなく、あるのは大きなボディによる広さだけと、率直なところ魅力が浮かばないというクルマだった。
これはティアナの責任というよりクルマの世話をしない日産の問題で、巡り会わせの悪かったティアナは本当に気の毒に思う。ただリアシートは広く快適なので、価格次第で個人タクシーなどに使うには悪くない。
■ダイハツ キャスト アクティバ/スポーツ(2019年末 生産終了)
2015年9月にアクティバ(右)とスタイル(中央)を発売、2019年10月末にスポーツ(左)がラインナップ。このうち、スタイルのみが生産継続されている
2015年にダイハツの軽自動車に加わったキャストはハイトワゴンのムーヴに近い成り立ちで、一番オーソドックスな「スタイル」とスポーツモデルの「スポーツ」がホンダ「N-ONE」、最低地上高を30mm挙げるなどした「アクティバ」がスズキ「ハスラー」に対抗するという、欲張りなクルマだった。
だが全体的にレベルが年々上がっている軽自動車の中でも悪いクルマではないけど、強い魅力もないというのも事実で、ならばN-ONEやハスラーといったその種の本家を買うのが常套と感じてしまうのも否めなかった。
今年年央にダイハツからハスラーをターゲットにしたタフトが出るのもあり、アクティバがラインナップ落ちするというのはわかるが、ダイハツにそういったキャラクターのモデルがないスタイルとスポーツまでなくなってしまうというのはちょっと驚きだ。スタイルとスポーツに関してはちょっと時間が空いてもいいから、独自のキャラクターを持たせた上で再チャレンジの機会を与えてあげたいところだ。
■MINI ミニシリーズ MT車(2020年2月生産終了)
以前はクラブマンやクロスオーバーにも設定されていたMTだが、現在は3ドアモデルのみとなっている。その最後のMT車も消滅することになる
日本においてミニはボディのバリエーションが豊富なこともあり、ミニ全体を単一車種として見れば4年連続で一番売れている輸入車の座をキープしている。ミニは使い方に応じて自分に合ったものを選べるのも魅力だが、その中でも特にクルマ好き度が高いのが3ドアのガソリン車に設定されているMT車である。ミニはATでファッション的に乗るのもオシャレだが、あの可愛らしいスタイルも含めMTで乗るのも楽しい。
しかしミニのMT車はメーカーから正式に生産終了が発表されている。残念なことだが、もう数が増えることのないクルマだけに見方を変えれば持っていれば今後意外な高値で手放せる可能性もありそうだ。
■アバルト 124スパイダー(2020年 生産終了)
アバルトのオリビエ・フランソワCEOが生産中止を明言。「124の市場は非常にニッチで有益なビジネスだが、フィアットの将来において特に重要ではない」とも語った
アバルト 124スパイダーはマツダとフィアットの業務提携により産まれた、マツダロードスターをベースに生産もマツダで行われるFRのコンパクトスポーツオープンである。なおフィアット版はフィアット 124スパイダーがスタンダードで、さらにハードな方向に振ったのがアバルト 124スパイダーである。
日本で販売されるのはアバルト 124スパイダーのみとなるが、アバルト 124スパイダーは内外装の変更に加え、エンジンはフィアット製の1.4Lターボを搭載し、足回りなどもアバルトチューンとなっており、ロードスターとは違ったキャラクターを持つ。それでいて価格はMTなら406万円と、ロードスターRFで最上級グレードとなるRFの約390万円とさほど変わらずと、先々のカスタマイズの可能性も含めてなかなか面白い存在だ。
しかし、アバルト 124スパイダーはフィアット 124スパイダーも含め生産終了が決定している。そのこと自体も残念だが、結果的にロードスターファミリーの生産が減少方向となるのも心配だ。
今回挙げたクルマの生産終了は残念だが、どのクルマもボディカラーなどの仕様はともかくとして今からでも新車を買える可能性は高いようなので、このなかに欲しいクルマがある方は即動くのが吉となるだろう。
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