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【試乗】欧州生まれのスズキ スプラッシュが日本上陸、国内モデルとの違いは?【10年ひと昔の新車】

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【試乗】欧州生まれのスズキ スプラッシュが日本上陸、国内モデルとの違いは?【10年ひと昔の新車】

2008年10月、スズキは欧州で開発された世界戦略車「スプラッシュ」を発表した。ハンガリーのマジャールスズキで生産されて日本へ輸入される「逆輸入車」で、スズキ初の「自社ブランド輸入車」だった。欧州で開発されたモデルは、国内開発車とどう違うのか。ここでは上陸間もなく行われた国内試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2009年1月号より)

名前は可愛いけど、走りは骨太で実用的
通称ハンガリー、正式にはハンガリー共和国の首都はブダペスト。そこから北へ50kmほどのエステルゴム市にスズキの製造子会社であるマジャールスズキ社がある。そこで生産されるAセグメントのコンパクトカーがスプラッシュ。日本名「ソリオ」、現地名「ワゴンRプラス」の後継車である。欧州圏ではすでに2008年の3月から販売が開始されていて評判は上々だ。

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このスプラッシュはオペルにOEM供給され、車名は「アギーラ(Agila)」となる。欧州仕様では1Lと1.2Lのガソリン、1.2Lのフィアット製直噴ディーゼルエンジンの3種類のパワーユニットが用意されるが、日本に導入されるのは88psの1.2LエンジンにCVTを組み合わせたタイプのみ。

スプラッシュはスイフトのプラットフォームをベースとした背高系(全高1590mm)のコンパクトカーだが、デザインがなかなか秀逸。スズキの日向(ひなた)隆チーフデザイナーによると、オペル社とデザインコンペの末、最終的にスズキ案が採用されたと胸を張る。オペル案はもっと尖っていて、好き嫌いが大きく分かれるデザインだったらしい。それはともかく、四隅に大きく張り出したホイールアーチが逞しく踏ん張り感があるし、くっきりしたフロントまわりやスパッと垂直に切り取ったようなリアまわりの造形も好感が持てる。

試乗会は河口湖周辺で行われたが、乗り出してすぐに「欧州育ち」を感じた。ハンガリー産なのだからあたりまえなのだが、まずシートが欧州、というよりドイツ車風である。座面が硬めでホールド性はまずまず。リアシートにはこれも欧州車にはあたりまえの装備だが、ちゃんと3名分の立派なヘッドレストと3点式シートベルトを装備する。

室内を見回せばインテリアはごくシンプルなデザインだ。運転席正面のメーターパネルには大径の白色文字盤単眼スピードメーターがデンと収まり、その中にインフォメーションディスプレイを装備する。

運転席のヒップポイントは620mm(後席が660mm)と高めの設定なので、視界が開けてリラックスできる。この数値はワゴンRとほぼ同じという。スズキは一般ユーザーにとって「ちょうどいいヒップポイント位置=600mm前後」を探り当てたようだ。これはトヨタもこだわっているところで、セダンであるクラウンも限りなく600mmに近づけているのだ。

室内の居心地自体はいいのだが、惜しいのはインテリア内装の質感だ。樹脂の材質がいまひとつで、とくにステアリングホイールの感触がかんばしくない。オプションの手触りのいい本革巻に交換したいところだ。

少し荒れた舗装路面や低速域での乗り心地は硬めだが不快ではなく、総体的には骨太感のあるシャキッとした印象で、まさしく欧州車のハンドリングそのものだ。なお、スプラッシュには専用に開発されたコンチネンタル製の15インチ省エネタイヤ(転がり抵抗低減と耐摩耗性向上)が標準装備されている。

1.2Lエンジンはパワフルとはいえないが、そつなく仕事をこなす印象だ。CVTとのマッチングも不満はない。なにしろプラットフォームが評価の高いスイフト用だから、上屋の高さを感じさせないスポーティな走りも可能だ。また、このクラスとしては静粛性も水準以上のレベルに収まっているところも美点だ。

さて、スプラッシュはどれくらい売れるのだろうか。スズキの月販目標台数はわずか500台である。これはワゴンRのおよそ30分の1以下。スズキは現地の生産体制と輸送体制を考慮した上の数字というが、本音としてはスズキ初の「自社ブランド輸入車」ゆえ、「まず様子を見よう」ということなのだろう。

スプラッシュはワングレードのみで 価格は123.9万円。ヴィッツ1.3Fと同じで、デミオ13CVの128.0万円、フィット1.3Lの134.4万円などと競合する価格帯だ。このご時世でも、目標台数の2倍以上は行くのではないかと思っている。(文:Motor Magazine編集部/写真:村西一海)

スズキ スプラッシュ 主要諸元
●全長×全幅×全高:3715×1680×1590mm
●ホイールベース:2360mm
●車両重量:1050kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1242cc
●最高出力:65kW(88ps)/5600rpm
●最大トルク:117Nm/4400rpm
●トランスミッション:CVT
●駆動方式:FF
●10・15モード燃費:18.6km/L
●車両価格(税込):123万9000円(2008年当時)

[ アルバム : スズキ スプラッシュ はオリジナルサイトでご覧ください ]

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みんなのコメント

6件
  • 最初は女性向けをイメージしたCMでアピールしていたように思うが、実際は小さいクルマにも関わらず骨太で、走らせると特に高速域でどっしりとしていたことを思い出す。
    願わくばMTモデルがあればと思ったこともある、スズキの佳作車でしたね。
  • 全長が短く、全高が高いため、細い道が入り組んだ街中では見易く駐車も楽で、実に運転がしやすい車でした。 欲しかったので次の候補にしていた所、いつしか販売が終了していた車でもありました。 ヨーロッパで設計されたらしく、リアのトランクに日本のスーパーの買い物かごが入らず、家族から不評を買ったのも良い思い出です。 再生産してくれないかな?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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