日頃自動車のテクノロジーの取材を重ねている身だが、いわゆる「スーパーカー」と呼ばれる類いの乗る機会はそう多くない。今回、試乗させてもらったのは、メルセデスAMG GT Cロードスター。M178型4.0ℓV8ツインターボをフロントに搭載し、リヤに7速DCTを置く、いわゆるトランスアクスル形式をとるFRスポーツカーだ。メルセデスにとっては、2013年に生産を終了したSLS AMGの後継となるモデルで、ライバルは、ポルシェ911ということになる。
2300万円を超える高額なハイパフォーマンスモデルだが、感心したのは、100km/hでも充分に楽しめること。気持ちよく加速して100km/hだと思ったら160km/hだった、という感じがないのがいい。これなら、運転免許の点数を気にしないでいい速度域でもドライブが楽しめる。もちろん、サーキットへ持ち込めば、そのポテンシャルを存分に引き出せるはずだ(腕が追いつけば、だが)。また、ノーズが長いスポーツカールックだが、思いの外、車両感覚は掴みやすかった。
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ロードスターとなれば、ボディ剛性を確保するのは一苦労だと思うのだが、その強靱さには驚かされた。11秒で開くトップを下ろしても上げても、剛性感は変わらない。トップを上げれば、完璧なクーペとして機能するし、もちろん、オープンにしたときの爽快感も素晴らしい。真冬のオープンカードライブも、寒さを感じないのは、さすが、である。装備ももちろん豪華のひと言。とはいえ、クルマの善し悪しを左右するのは、エンジンよりもボディ、なのだと感じた。
フロントに積む4.0ℓV8ツインターボは、最新技術のショーケースのようなエンジンだ。7速DCTの変速フィールも申し分ない。しかし、感心したのは90%以上アルミ合金を使ったスペースフレームのボディだ。ロードスターだというのに、ボディはガッチリしていてみしりともいわない。このクルマには、エンジン、トランスミッション、ブレーキ、サスペンションのどれをとっても、第一級のテクノロジーが注ぎ込まれているが、それもこの強靱なボディあってこそ、だ。このボディのおかげで、この手のクルマに乗り慣れていないドライバーが乗っても安心してアクセルを踏め、ステアリングが切れる。販売価格が2000万円を超えていいから、持てる技術をフルに使ってハイパフォーマンスモデルを作っていい、といっても、作れるメーカーはそうはない。ましてやそれを販売できるメーカーはさらにない。短時間の試乗だったが、GT Cロードスターの背後にある歴史と技術の積み重ねに思いを馳せた。
Specifications
全長×全幅×全高:4550×1995×1260mm
ホイールベース:2630mm
車両重量:1740kg
エンジン
形式:V型8気筒DOHCターボ
型式:M178
排気量:3982cc
圧縮比:9.5
ボア×ストローク:83.0×92.0mm
最高出力:410kW/5750-6750rpm
最大トルク:680Nm/1900-5500rpm
トランスミッション:7速DCT
価格:2323万円
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