終了続く公衆Wi-Fiの現実
フリーWi-Fiサービスが斜陽化している。かつて2010年代の日本は「フリーWi-Fi後進国」と呼ばれ、その整備が喫緊の課題とされていた。訪日観光客はもちろん、日本国内の利用者にとっても、公共空間で使えるWi-Fiは通信費節約の手段として重要だった。
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しかし現在、その前提が大きく揺らぎ始めている。要因はシンプルで、フリーWi-Fiの需要が急速に減少しているからだ。コンビニ、ファミリーレストラン、交通事業者など、各所でサービス終了の告知が相次いでいる。この流れのなかで注目されるのが
「新幹線車内のフリーWi-Fi」
だ。このサービスも例外ではないのか。果たして、近いうちに姿を消すことになるのだろうか。
5G拡大が促すサービス変革
6月16日、飲食チェーンを展開するすかいらーくホールディングスが発表を行った。バーミヤン、夢庵、ステーキガストなど、12ブランドの店舗でフリーWi-Fiサービスを終了するという内容である。同社は次のように説明している。
「このたび、当社が運営する一部のレストランブランドにおきまして、長らくご提供してまいりましたフリーWi-Fiサービスを 2025年6月30日をもって終了させていただくこととなりました。本サービスは2012年の導入以来、多くのお客様にご利用いただいておりましたが、近年の通信環境の変化や店内設備の見直しを進める観点から、サービスの終了を決定いたしました」
注目すべきは「通信環境の変化や店内設備の見直し」という一文である。なかでも「通信環境の変化」と聞いて想起されるのが、5G(第5世代移動通信システム)の拡大だ。
5Gは4G/LTEに次ぐ次世代通信規格であり、ITU-Rが定めた「IMT-2020」の要件を満たす商用ネットワークの総称である。主な特徴は、最大20Gbpsの通信速度、1ミリ秒の低遅延、1km2あたり100万台の同時接続といった高性能にある。
2010年代、フリーWi-Fiの整備が進んでいた頃は、4Gがようやく普及し始めた段階だった。しかし現在では、より高速かつ安定した5Gが整備され、対応端末も広く浸透している。公共空間におけるフリーWi-Fiと5Gを比較すれば、通信速度や利便性の面で5Gが明確に優位に立つ。
コロナ禍で消えた通信需要
こうした事情もあり、交通事業者の間でフリーWi-Fiサービスの終了が相次いでいる。ここ数年では、東京メトロ、京急、つくばエクスプレス、小田急などがサービス提供を打ち切った。当媒体は2023年12月1日に「駅や電車内の「無料Wi-Fi」が徐々に姿を消しているワケ」(木村義孝氏執筆)という記事を配信したが、その後も公共交通事業を含めた各業種でサービス終了の動きが広がっている。
そんななか、新幹線車内のWi-Fiサービス『Shinkansen Free Wi-Fi』や『JR-EAST FREE Wi-Fi』は現在も提供されている。しかし、このサービスも「風前の灯火」になりつつある可能性が高い。
2025年6月16日、プレジデントオンラインは「まともな人なら「新幹線の激遅フリーWi-Fi」は使わない…車両内でアクセスしてはいけない「三大サイト」」という記事を配信した。執筆者は成蹊大学客員教授でITジャーナリストの高橋暁子氏だ。
「フリーWi-Fiが続々と整備されていたのは、2020年に予定されていた東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせ、訪日外国人観光客向けに進められていた側面がある。ところが東京オリンピックはコロナ禍の影響で約1年延期したうえ、無観客開催となった。各社にとって、想定していた需要が消えたこと、コロナ禍で事業へのダメージが大きかったことで、フリーWi-Fiにコストを掛け続ける余裕がなくなり、終了につながったのだろう。同時に、都市圏で急速に進んだ5Gの普及により、フリーWi-Fiの必要性が下がったことも後押ししたと考えられる」(同)
高橋氏の論調には筆者(澤田真一、ライター)も概ね賛成だ。さらに付け加えると、現在は通信会社が「ギガ使い放題」プランを多数提供し、通信量を気にせずスマホを利用できる環境が整っている。2010年代の4G普及期には無制限プランは珍しく、月20GBや30GBの上限を超えると通信速度が大幅に低下し、実用に耐えなかった。だからこそ、一般市民の間でもフリーWi-Fiの需要は非常に高かったのである。
公共性を持つWi-Fiサービス
しかし、この視点からも考察できる。筆者はauの通信量無制限プランを利用しているため、Wi-Fiなしでも快適にスマホを使えている。しかし、月々の料金を抑えるために「月○○GB」などの有制限プランを選ぶ人は少なくない。そのようなユーザーにとって、新幹線車内の『Shinkansen Free Wi-Fi』や『JR-EAST FREE Wi-Fi』は「なくては困る存在」ではないか。
また、日本の国土の約4分の3は山地で、5G回線がカバーしていない地域も多い。新幹線がそうした地域を通過するとき、無制限プランでもスマホは5G回線を掴めない。そうなると頼れるのは車内Wi-Fiだけである。
そもそもフリーWi-Fiサービスは公共サービスとしての側面が強い。新幹線車内のWi-Fiが5Gに速度で劣るのは確かだが、それだけを理由に
「新幹線車内Wi-Fiの必要性は薄れている」
と断じるのは早計だろう。
軽作業を支える通信環境
さらに別の視点も考えられる。新幹線でノートPCを開き、軽い仕事をするシチュエーションだ。ノートPCはセルラーモデルを除き、スマホのように直接ネット接続できない。有線LANかWi-Fiを利用する形となる。スマホのテザリングを使う手もあるが、スマホのバッテリー消費が増える煩わしさがともなう。
データ量の観点で見れば、新幹線車内での作業は大きくない。
・Googleドキュメントやスプレッドシートの編集
・ファイル添付をともなわないメール送受信
・簡単な調べ物程度
であれば、現在の技術水準で十分可能である。たとえ「激遅フリーWi-Fi」であっても、軽作業なら問題ない。ただしビデオ会議となると話は別だ。
こうした事情から、フリーWi-Fiサービスは数を減らすことはあっても、完全に消えることはないと考えられる。新幹線車内のWi-Fiも、5G回線が利用できない場合の代替手段として依然として重要な価値を持つ。新幹線のWi-Fiサービスは、当面は現役であり続ける可能性が高いだろう。(澤田真一(ライター))
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みんなのコメント
そもそも新幹線のフリーWi-Fiも携帯回線を使用したものだから。
基本的なことを理解して記事を書いてください。