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トランスポンダーや計時システムにトラブル発生! 混乱に混乱が生じたバーレーンGP……一体何が起きていたのか?

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トランスポンダーや計時システムにトラブル発生! 混乱に混乱が生じたバーレーンGP……一体何が起きていたのか?

 2025年のF1第4戦バーレーンGPはチーム戦略が多様化し、さらに国際中継やライブタイミングアプリに表示される計時システムにも問題が発生したことで、混沌としたレースになった。このトラブルはメルセデスのジョージ・ラッセルにも波及し、彼のDRSは狂い、タイミングボード上でもラッセルのポジションが乱高下した。

 レースを配信やテレビで視聴していたファンは、何度か驚いたことだろう。昨年のラスベガスGP以来となる勝利を目指して首位オスカー・ピアストリ(マクラーレン)を追っていたラッセルの順位が、突如最下位まで転落。多くの視聴者は、ラッセルがコースオフしたのではないかと考えたシーンがあったのではなかろうか?

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 ただ実際にはラッセルはコースオフしたわけではなく、トランスポンダーに不具合があり、タイミングシステムが全体的に不安定になったのだった。

 今年はタイミングシステムにトラブルが多く発生している。今季はここまで、中国GPのF1スプリントも含めて5レースが行なわれたが、タイミングシステムに問題が発生したのはこれで4レース目ということになった。

トランスポンダーとは?

 ではこのトランスポンダーとは一体なにか? 簡単に言えばトランスポンダーとは、各車両に取り付けられ、無線信号を送受信する装置のことである。フロントの車軸線上にひとつ、コクピットの右側に予備のひとつが取り付けられている。そしてこのトランスポンダーがコース上の特定の溝の上を通過すると、車両のタイミングとコース上の位置を把握することができ、周囲の車両と比較することができる。

 コース上には複数の溝が設けられており、これがチェックポイント、つまりタイミングループとして機能する。この溝は高度に保護されたワイヤーで構成されており、各車のトランスポンダーからの周波数を記録できる。このデータは複数の場所に送信されるが、そのひとつが放送センターを経由して、国際中継用のタイミングボードに反映される。

 公式のタイミングシステムは、国際中継の制作システムと並行して稼働しており、複数のバックアップシステムも用意されている。例えば赤外線を使用して車両の位置を追跡したり、他のシステムに問題が発生した場合には、ビデオカメラの映像を使うこともできる。

■ラッセルの悪夢

 ラッセルが乗っていたメルセデスW16は、レースを通じて様々なトラブルに見舞われた。トランスポンダーは、電気系統のトラブルの連鎖のひとつに過ぎなかった。

「本当に厳しいレースだった」

 ラッセルはバーレーンGPの決勝レース終了後、『Sky Sports F1』のインタビューにそう語った。

「最後の12周は、あらゆるトラブルに見舞われたんだ」

「ブレーキ・バイ・ワイヤにトラブルがあって、ブレーキを踏んだ瞬間に(ペダルが)底まで落ちてしまったんだ。何度かリセットを繰り返すうちに元に戻ったんだけど、また故障してしまった」

「10周連続でどのコーナーに進入する時も、ブレーキが効いているのか、それとも底まで落ちているのか分からなかった」

「このことでレースは完全に台無しになってしまった。2位でフィニッシュできたのは最高だったね」

 DRSの問題も抱えながら、マクラーレンのランド・ノリスを翻弄したラッセルのドライビングは、見事と言う他ない。

 FIAはこのトラブルの原因は、タイミングループのトラブルにあったと認めている。FIAの公式文書には、次のように記されている。

「外部機関が提供したタイミングループのトラブルにより、DRS自動起動システムと車両間の接続が切断された。そのためFIAは、(スポーティングレギュレーションの)第22条1項hに基づき、DRSの手動での起動を承認した。当時ドライバー(ラッセル)は、ブレーキ・バイ・ワイヤのトラブルやその他の電気系のトラブルに見舞われていた。彼は当時、コクピット内の補助ボタンを使用するよう指示されていたが、このボタンは予備の無線ボタンとしてだけでなく、DRSの手動起動ボタンとしても機能していた」

「ターン10とターン11の間のストレートで、彼はこのボタンを使ってチームと無線交信しようとしたが、誤ってDRSが作動してしまった。DRSは約700mのストレートのうち37mで作動した。これで0.02秒のアドバンテージがあったが、次のコーナーではそれを補うために0.28秒を失った。これはテレメトリーによっても確認されている」

「したがって技術的には違反があったものの、スチュワードは競技上のアドバンテージを得られなかったため、ペナルティは科さないと判断した」

 なおノリスもこの問題の影響を受けた。DRSを開ける距離までラッセルのマシンに近づいているか、自動で認識することができなかったのだ。

「DRSは(作動可能な)範囲内にあることが100%確信できる場合にのみ使用できる」

 ノリスのレースエンジニアであるウィル・ジョセフは、レース中のノリスに対してそう語っていた。

 F1は複雑なスポーツであり、複雑さゆえに常に故障のリスクが伴う。幸いにも無事にレースを終えたが、チェッカーに至るまでタイミングシステムの各所に問題が残っていた。

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