2024年が終焉を迎える頃、突然、日産、ホンダの経営統合、三菱自動車の参画という「3社協業形態」の可能性が発表されたことが大きな話題となった。これで大きな自動車メーカーグループが誕生するわけだが、なぜ自動車メーカーは共闘するのか? 今回はグループ化のメリットなどを考えていきたい。
文/長谷川 敦、写真/スズキ、トヨタ、日産、フォルクスワーゲン、ホンダ、ランボルギーニ、Groupe PSA Japan、写真AC、CarWp.com
日産とホンダが統合だと!!??? びっくりビッグバン! 共闘して成功したメーカーと泣きをみたメーカー
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■増加する自動車メーカーのグループ化
2024年12月に日産、ホンダ、三菱自動車3社が両社の経営統合に向けた協議・検討を開始することについて合意したと発表し、自動車業界に大きな衝撃を与えた
現在は世界各国の自動車メーカーが経営統合を行う、あるいは開発を共同で進めるケースが増えている。
当然ながらその共闘の仕方もさまざまで、あるケースでは大きな力を持つメーカーが小さなメーカーを吸収し、別のケースでは同じような力関係のメーカー同士がグループを組む。
これはグループ化によるメリットが大きいことが理由であり、そのメリットの内容もやはりメーカーによって異なる。
内容の違いはあれどメリットが大きいからこそ、すでに十分な力を持つメーカーであっても、他メーカーと共闘したり、別のメーカーを吸収合併したりするのである。
そして各メーカーが共闘して巨大なグループができると、それに対抗するために別のメーカーが新たなグループを作る。
では、そのメリットとはいったいどのようなものなのだろうか?
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■グループ化によるメリットはこんなにある
ここからはグループ化によって何がもたらされるのかを具体的に考えていこう。
●資本面の強化
各メーカーにはそれぞれ資本があるが、もちろんそれには限りがある。
そこで他メーカーと共闘することで資本を合計すれば、その額はシンプルに増える。
●開発技術面のメリット
自動車メーカーは基本的に自社で製品の開発を行い、メーカーによって得意なジャンルと不得手にしているジャンルがある。
例えばA社はハイブリッドの動力開発に強く、B社は高い車体設計技術を持っているなど。
だったらA社とB社が共闘してお互いのノウハウを共有すれば、それは双方にとってメリットになる。
現在では同じグループではない複数のメーカーが技術協力を行うこともあるが、同一グループであればより技術交流がスムーズになるのはいうまでもないだろう。
●製造面のメリット
一般的な公道車は基本的な骨格ともいうべきプラットフォームを持っているが、メーカーをまたいでプラットフォームを共用できるようになれば、製造の利便性とコストの両面で恩恵が得られる。
さらに同じグループのメーカーが持つ工場での生産を行える可能性があり、これまで進出していなかった地域でも自社のクルマを作って販売することもできる。
もちろんこれはクルマ全体ではなくパーツ単位で考えても同じ。
複数のクルマで共通パーツの使用量が多くなれば、それをひとつの工場で製造してグループ内メーカーに供給を行える。
ハードウェアだけでなく、自社とは異なる製造方式が別のメーカーの参考になることも考えられる。
●販売上のメリット
今までに進出していなかった地域にグループ内の他メーカーの販売網が形成されていれば、それを利用して自社のクルマを販売することも可能になる。
実際にこうしたケースは過去にもあり、A社のディーラーでB社のクルマも販売するなどという事例も普通に見られた。
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■デメリットだってある! 自動車メーカーのグループ化
メーカーの提携がいつも両社にとってプラスになるとは限らない。ウイン‐ウインの関係になるのが理想的だが、実際には提携がうまくいかない場合もある
物事にはメリットがあればデメリットもある。この項では自動車メーカーがグループになることによって生じるデメリットを考える。
●メーカーの個性が薄れる
自動車メーカーには長い歴史で培ってきたそれぞれの個性がある。
だからこそ顧客には自分の好きなメーカーがあり、それも判断基準のひとつにして購入するクルマを選ぶのである
しかし、グループ化によって技術の交流が生まれ、プラットフォームの共用などが始まると、当然の結果として各メーカーのクルマは似通ったものになってしまう。
また、グループ化は経営の効率アップも狙っているため、あまり人気がなくても、メーカーのポリシーによって製造が続けられていた個性的なクルマの販売が終了してしまうという事態も考えられる。
もちろん、そうならないように努力するメーカーもあるが、これまでは自社だけの判断で行っていた開発&販売計画が、グループ全体の意向に沿うものに変更する必要があるかもしれない。
実際、グループ化によってそれまでの尖った個性を失ってしまった車種もある。
●社風が合わずにケンカ別れも
グループを組むことによって、ある種の巨大な自動車メーカーが誕生するわけだが、そこはかつてライバルとして競っていた会社同士なだけあって、すべての考えが一致することはまずない。
経営方針や開発の方向性など、グループ内であつれきが起これば、それが最終的にグループ崩壊を招く危険性もある。
過去にはこうしてケンカ別れした例もあり、グループ化が良いことばかりではないのがわかる。
●グループ内格差が広がる?
メーカーによって売り上げや従業員数などの規模は異なり、通常は規模が大きく業績もあげているメーカーがグループ内で優位に立つ。
さらにグループ化で効率が上がったことにより、もともと強かったメーカーがさらにその立場を揺るぎないものにすることも考えられる。
もちろん規模の小さいメーカーがグループ化で救われるケースも多いが、本来は子会社化ではなく共闘のはずなのに、結果として子会社のようになってしまうメーカーもある。
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■実際のところどうなの? グループ化の成否を考える
最後は、これまでにグループ化を行ったメーカーがどのような結果になったのか見ていこう。
グループ化が失敗に終わったのが日本のスズキとドイツのフォルクスワーゲン(VW)。
2009年に両社は提携を発表し、当初は対等の関係とされていたが、実際には規模の大きいVWがスズキを子会社化しようとして、これに反発したスズキが提携解消を申し出た。
スズキの申し出に対してVWは賠償金を要求し、2016年に国際商業会議所国際仲裁裁判所の仲裁によって和解が成立した。
もうひとつの有名な失敗例がドイツのダイムラー(現メルセデスベンツ)とアメリカ・クライスラーの合併だ。
1998年に行われたクライスラーとダイムラーの合併だが、あまりに社風の違う両社がうまくいくはずもなく、クライスラーの業績はかえって悪化し、従業員の大量離脱も招いてしまった。
結局この合併は10年を待たずに破綻を迎えている。
現在、巨大な自動車メーカーグループが林立していることは、それらの共闘が基本的にはうまくいっていることを示している。
先に発表された日産、ホンダ、三菱自動車の提携が成功になるのかは現状では判断できない。
ただし、社風の大きく異なる日産とホンダがスムーズに提携できるのかを懸念する声も多い。
日本の自動車業界を大きく変える可能性も高いこの“3社協業”が、今後どのような経緯をたどっていくのかを見守りたい。
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みんなのコメント
ホンダが国から言われてムリヤリ日産救済としてやってる話としか思えない
ホンダにメリットないし