「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、2013年に一部改良が施された、レクサス IS Fだ。
レクサス IS F(2013年:一部改良)
年々、進化を続けるレクサス IS F。その変遷を改めて確認してみると、ここ数年の進化が著しく大きい。2010年モデルではニュースリリースには出ていないものの、ボディの強化が行われて基本骨格をレベルアップ。それに合わせて翌2011年モデルでは足まわりのジオメトリーをはじめ、ブッシュ類のフリクションを低減させ、ダンパーやスプリングを大きく見直すなど、大きな手直しが施されている。
ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
エンジニアの言葉を借りれば、この当時、フリクションが大きいことが走りに悪影響を与えることをつかみ、2012年モデルでは一層のフリクション低減を行うとともにダンパー自体も同様の視点からドイツの伝統的サスペンションメーカーであるザックス製の採用に踏み切った。
これでIS Fは完成型の仕様を得たのかと思いきや、最新の2013年モデルはさらに好印象だった。乗り心地とスタビリティがより高次元で両立していたのだ。ちなみに2013年モデルについては、ザックス製ダンパーは減衰力のさらなる最適化が行われており、その進化がステアリングホイールやシートなど肌に触れる部分を通して感じられた。
さまざまなシチュエーションで2013年モデルを試乗してみると、まず突き上げ感が大幅に減少していることがわかる。2012年モデルより一層軽減されているようだ。路面の凹凸を敏感に拾うのではなく、瞬時にタイヤを上下させ、即座に抑える。このあたりがフリクションの少ない動きと、ザックスダンパーの実力の見せどころと言えるかもしれない。
それでいながら速度を上げていくと、やや初期ロールが早いかなと感じるものの、小さなロール角をピタリとキープして安定した姿勢を保ってくれる。重いエンジンを積んでいるのに回頭性も驚くほど素直だ。
ハイレベルのシャシ性能を見せつけられた
ボディの剛性感が高く感じられるとともに、サスペンションの一層の見直しが行われのではと思うのはこのあたりで、高い横Gを維持した状態でも路面からの突き上げは少なく、一定のロール角を保ったまま旋回姿勢をキープ。ロールを追い込んでいってもダンパーがしっかりと減衰してくれる収まりの良さと、路面からの反力を受け止める強靱さ。つまりしなやかさと強さが両立された、ハイレベルのシャシ性能を見せてくれる。
このあたりは、まさに基本スペックをたたき台にして、前後のスプリングレートの見直しや、ブッシュなどの動きを徹底的に管理、進化させたチューニング技術の効果に違いない。
さらに追い込んでいくと、さすがにフロントにV8の5Lエンジンを搭載しているだけにジワジワとGが外に逃げていく印象を受けるが、ステアリングホイールをわずかに切り増し、スロットルを開けてトラクション方向の力を与えると、クルマ全体でGを分散しながら、次なる旋回フォームを作ってFRらしいダイナミックな走りを見せる。
エンジンは3800rpmあたりを境に、お腹に響く重低音のV8サウンドを奏でると同時に吹け上がる速さを増し、見違えるほど元気にリアタイヤを蹴り上げる。その時のリアの安定感には、何ら不安は感じられない。毎年積み上げられてきたシャシ性能の進化が、大パワーと高次元でバランスされていることを肌で感じさせてくれた。
レクサス IS F(2013年モデル) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4660×1815×1415mm
●ホイールベース:2730mm
●車両重量:1690kg
●エンジン:V8 DOHC
●総排気量:4968cc
●最高出力:311kW(423ps)/6600rpm
●最大トルク:505Nm(51.5kgm)/5200rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・64L
●JC08モード燃費:8.1km/L
●タイヤサイズ:前225/40R19、後255/35R19
●当時の車両価格(税込):795万円
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みんなのコメント
ハイスペックで魅力的な車ばかりだったね。
今はSUV主流でレクサススポーツカーに魅力的な要素はない。