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フィアット・ウーノ・ターボ40周年に、その愛を語ろう!【新米編集長コラム#33】

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フィアット・ウーノ・ターボ40周年に、その愛を語ろう!【新米編集長コラム#33】

4月29日にフィアットから出たプレスリリース

今年はフィアット・ウーノ・ターボの40周年となる。

【画像】40周年を迎えたフィアット・ウーノ・ターボとベースモデルたちを確認! 全17枚

と書いて、どれだけの方が反応されるのだろうか。私も4月29日にフィアットからそれを告げるプレスリリースが出なければ、意識することはなかっただろう。しかし、気が付いてしまった途端、かつて所有したウーノ・ターボへの想いが溢れてきた……。

念のためウーノ・ターボについて、少しだけおさらいをしておく。フィアット・ウーノは1983年から1995年まで、800万台以上が生産された3ドア&5ドアハッチバックモデルで、イタリアで最もポピュラーなモデルに挙げられる1台だ。

エンジンは903ccから1300ccまでラインナップされ、ディーゼルも用意された。1989年にはセレクタと呼ばれるCVTモデルも登場している。ジョルジェット・ジウジアーロによるデザインも、大きな特徴であろう。

ウーノ・ターボは1985年にシリーズ1が登場。1301ccの直列4気筒ターボは105HPを発揮。車重は845kgで、0-100km/h加速8.3秒、最高速度200km/hを記録した。

1989年にはシリーズ2へとフェイスリフト。既に発売されていたフィアット・ティーポなどと歩調を合わせる形で、洗練されたデザインへと進化した。エンジンも1372ccへ排気量アップし、116HPを発揮。0-100km/h加速は7.7秒となった。

ウーノ・ターボは1994年までに約5万台が生産され、ウーノの後継車であるプントが登場したことで、歴史に幕を閉じる。なお今回のプレスリリースで、ステランティス・ヘリテージの責任者であるロベルト・ジョリートさんが「ターボのリズムに心を躍らせた世代全体にとって、手の届く存在であり、自由の象徴でした」とコメントしており、当時、若者の憧れであった空気感が伝わってきた。

AXの隣に並んでいたガンメタの個体にひと目惚れ

私が大学生だった約30年前、初めて自分で購入したクルマは、1990年式となるウーノ・ターボのシリーズ2だった。シトロエンAXを購入するつもりで(!)訪れた都内のとあるショップ店頭で、隣に並んでいたガンメタの個体にひと目惚れ。

予算は明らかにオーバーで、確かAXが88万円、ウーノ・ターボが108万円だった気がする。しかし、勢い余って手付金を置いて帰ったことだけは確かだ。

その後、無事に納車されたが、初めての左ハンドル&マニュアルに慣れず、納車からの帰路で怖くてなかなか右折できなかったのをよく覚えている。

そして、嬉しさ余ってそのまま当時アルバイトしていたコンビニの夜勤へ行ったのだが、夜勤明けで疲れている時に、初めてのノンパワーステアリング&車庫入れで、右側のドアをコンクリートの壁に引っかけてしまい、納車24時間も立たないうちに、傷物にしてしまった……。早朝の住宅街に響いた『ボコッ!』というドアが凹む音もまた、よく覚えている話である。

これが全ての始まりで、うちのウーノ・ターボはとにかくよく壊れた。

例えば、当時実家のあった千葉県松戸市から房総の海へ出かけて、その帰りにタイミングベルトがズレて動かなくなり、キャリアの業者に紹介された市原市のショップまで移動し入庫。復活後、よせばいいのに受け取ったアシで茨城県土浦市まで向かったところ、ホースの劣化でガソリン漏れをおこし、土浦市内のショップに入庫……。

そんな話をイタリア車乗りの先輩にしたところ、埼玉県大宮市(当時)のアウト・テクニカ・トリノさんを紹介され、後日何かが壊れた時に駆け込んで、しばらくはそちらでお世話になっていた。

トリノの店主(通称オヤジ)はイタリアで修行経験のある凄腕で、バルブクリアランスを整えるなどして彼が整備を行ったエンジンは『オヤジチューン』と先輩が呼ぶほど、感動的な仕上がりだった。うちのウーノ・ターボも整備してもらったところエンジンのアイドリングがきめ細かに変化し、踏み込んでさらにターボが効いた瞬間の淀みなく広がっていくようなフィーリングは今も忘れることができない。

だから、トリノに入庫し東大宮駅まで歩くたびに「もう無理……」と意気消沈していたが、受け取って走りはじめて50mくらいで「おお……最高だ!」とそれまでの苦労をすっかり忘れてしまう、を繰り返していた。

最後はカー・マガジンの読者プレゼントに

その頃はちょうど就職活動の時期で、応募の作文でウーノ・ターボの話を書いたのがよかったのか、ネコ・パブリッシング(当時)の内定が出た。入社後は広告部に所属し、1年半後、いよいよカー・マガジン編集部に異動。そこから自動車雑誌編集者人生が始まるのだが、ウーノ・ターボは相変わらず入出庫が続いていた。

実は既にフィアット・バルケッタを新車で購入していたこともあり、「誰かいい人がいれば……」と売却を決意。まずはカー・マガジンの個人売買ページであるバザールに出品し、売買も成立したのだが、引き渡しに向かう水戸街道で立ち往生し(原因は覚えていない)、話自体が流れてしまった。

そこでカー・マガジンの誌面で『UNOあげます!!』と読者プレゼントに出すことにし、ウーノ・セレクタを所有する読者さんに引き取ってもらったのが最後であった。

カー・マガジンNo.251(1999年5月号)の募集ページを読み返すと、1:タコ足の付け根のエンジンブロックと思われるところからの排ガス漏れ、2:ブロアモーター要交換、3:バッテリーも要交換、と書いてあり、精神的にも金銭的にも限界を超えていたことを思い出した。

とにかく調子のいい日は感動的な走りで、赤いステッチが入ったインテリアはいかにもホットハッチの雰囲気で、少しモダンになったシリーズ2のデザインも大好きだった。

あまりに当時の日々が激しすぎて、もう一度手に入れたいとは正直思わないが、その修理の過程で様々なことを学べたこと、現在ヤングタイマーと呼ばれるホットハッチを新車から5年落ちくらいで体験できたこと。そして何より、ネコ・パブリッシングに入社するきっかけをくれたウーノ・ターボこそが、私の自動車趣味における原点だ。

というわけで、プロフィールにもある『左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味』はここに始まり、今も続いているのである。

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