現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 松田次生との接近戦、真後ろでクラッシュを目撃した山本尚貴「目に焼き付いていて、レース後は震えていました」

ここから本文です

松田次生との接近戦、真後ろでクラッシュを目撃した山本尚貴「目に焼き付いていて、レース後は震えていました」

掲載 5
松田次生との接近戦、真後ろでクラッシュを目撃した山本尚貴「目に焼き付いていて、レース後は震えていました」

 スーパーGT第3戦鈴鹿、予選3番手からスタートした100号車STANLEY NSX-GTはレース序盤はピックアップなどの影響でペースが上がらず順位を下げたが、中盤以降にペースが戻り、4位~6位を争う展開に。レース終盤にステアリングを握った山本尚貴は、前を行く23号車MOTUL AUTECH Zの松田次生と1秒を切る接戦に。そして60周目のシケインでアクシデントは起きた。23号車のクラッシュを、真後ろで目撃し続けた山本。レース後に話を聞いた。

「ピットに入って出るたびに順位を下げていた状況でした。タイミングが悪くて、前のクルマの後ろに入ってしまった理していましたね」と、レース中盤戦を振り返る100号車山本尚貴。それでも、第3スティントで装着したソフトタイヤが奏功してペースがよくなると、4番手の1号車MARELLI IMPUL Z、そして5番手の23号車松田次生をプッシュし始めた。

鈴鹿でクラッシュに巻き込まれた松浦孝亮、織戸学に状況を聞く「どうしようもなかった」

「前の2台はペース的にキツそうだったので、タラレバになりますが、ペースだけで言ったら前に出られるチャンスは十分にあったと思いますし、後半は一番速かったんじゃないかなと思います」

 57周目から23号車松田と100号車山本は1秒を切る接近戦となった。

「前の松田選手はかなり焦っている感じがありました。毎周ヘアピンでブレーキロックしていましたし、それを続けているのだったら、そのうち刺せるだろうとは思っていました」

 そして接近戦が続いた60周目、アクシデントが発生してしまった。

「松田選手はキツそうだったので、僕が後ろからプレッシャーをかけ続けていれば何か起こるだろうなとは思っていましたけど……それがああいう結果に繋がったと思うと、自分の予感が変に的中してしまった。もちろんあんな結果を臨んでいたわけではないので……。ただ、後ろから見ていて、かなり焦っているようには見えていました」

 クラッシュした時の状況をさらに詳しく聞いた。

「アクシデントの状況は真後ろから見えていました。87号車Bamboo Airways Lamborghini GT3と30号車apr GR86 GTが2台で争っているなかで、130Rを立ち上がったところで真ん中に30号車、右側に87号車で並走していました。松田選手は130Rのイン側、シケインの外側から追い抜こうとしていて、左にまだ余裕があるように見えた中で、右側に寄った感じがあるのと、GT300の2台はどこにも逃げ場がない状態でした」

「そこでGT500の方が加速がいいので、その2台のGT300の前に出たところで23号車のリヤと30号車のフロントが引っかかった形になりました。いろいろ不運が重なって、タイミングが悪くてクラッシュしてしまって……本当、目の前でその一部始終が目に焼き付いていて、ショックが大きいです。改めて危険な中でレースという仕事をしているのだなと思いました」

 ベテランの山本にとっても、衝撃的なクラッシュだった。

「すべてがコマ送りで全部記憶に残っていて、レースが終わった直後は体が震えていました。自分が今まで見てきたアクシデントの中でも大きなインパクトでした」

 それでも、クラッシュの瞬間は冷静に状況が見え、その中でいくつもの選択を考えながら山本は自分のマシンをなんとかコントロールした。

「クラッシュがあった瞬間、自分が急減速するのも逆に危ないなと。後ろからもクルマは来ていたので、自分がわかって減速したところで後ろから突っ込まれる可能性がある」

「そう考えながら、ずっと23号車だけを見ている状態で、ゆっくりと飛んでいくのを見ていて、このままキャッチフェンスにぶつかって跳ね返ってきたら、そのあとどこに戻って来るのかなと考えると、逆に減速しちゃうと自分の方に落ちてくる可能性があるから、申し訳ないけど先に行くしかないと思って行ったら、クルマには当たらなかったんですけど、クルマから外れたタイヤが前の方の自分の方に飛んできました」

「そのタイヤが自分のどこに当たるのかずっと見続けて、そして87号車も目の前でスピンして来たので、その両方を見ながら、自分のエンジンだけは守りたいと思って、自分のルーフに当たりました。その判断が少し遅かったら、ボンネットのエンジンに当たっていたかもしれないし、早すぎたらリヤウイングに当たっていたかもしれない。結果として一番最小限のダメージとのところに当たりました。あれが自分の精一杯でしたし、あの程度で済んで良かったなと思います」

 一難をくぐり抜けた山本だったが、辛かったのは翌周だった。

「バラバラになっていたのは途中まで見ていたので、次の周は同じところを通りたくなかったです。でも、修復とか懸命に救護している姿が見えてしまって、無傷でいるのは難しいと思える状況だったので、命だけは助かってほしいと思いました。松田選手の傷がどの程度なのかわかりませんが、意識があるとのことですので、それが救いですね」

 今回のクラッシュを受けて、山本は新ためて自分に言い聞かせるように話した。

「クルマが速くなっている割には、サーキットが広くなっているわけではないですし、クルマの速度を落としたから安全になるかというと、そういうわけでもない。ドライバーの意識だけで変えられるわけではないですけど、いくらクルマの安全性が高くなったからと言って、事故が起こらないわけではないので、そこは改めてドライバーがひとりひとり意識し合って、安全を心がけてやっていくしかないのかなと思います」

 100号車STANLEY NSX-GTは5位でチェッカーを受けたが、山本に笑顔はなかった。ドクターヘリで病院に運ばれた松田次生は精密検査でも外傷が見られず、意識もしっかりしていることがニスモのSNSで伝えられた。

こんな記事も読まれています

新型スズキ・スペーシアが軽3強の中で注目なワケ NAとターボで試乗・検証
新型スズキ・スペーシアが軽3強の中で注目なワケ NAとターボで試乗・検証
AUTOCAR JAPAN
今なら1500万円ってマジか? 嗚呼……後悔先に立たず! なぜ第2世代エボ最高? の「ランエボVIマキネンエディション」を売ってしまったのか?
今なら1500万円ってマジか? 嗚呼……後悔先に立たず! なぜ第2世代エボ最高? の「ランエボVIマキネンエディション」を売ってしまったのか?
ベストカーWeb
メキシコ国境の近くに出現する「雪原」の正体は?「ホワイトサンズ国立公園」の壮大な風景は寄り道する価値ありです【ルート66旅_29】
メキシコ国境の近くに出現する「雪原」の正体は?「ホワイトサンズ国立公園」の壮大な風景は寄り道する価値ありです【ルート66旅_29】
Auto Messe Web
ハイラックスの北米版 トヨタの新型ピックアップ「タコマ」 12月から北米で発売
ハイラックスの北米版 トヨタの新型ピックアップ「タコマ」 12月から北米で発売
AUTOCAR JAPAN
走行28万キロ! フィアット「500R」のアミアミシートはDIY仕上げ「神奈川から四国まで旅した」ファーストカーを紹介します
走行28万キロ! フィアット「500R」のアミアミシートはDIY仕上げ「神奈川から四国まで旅した」ファーストカーを紹介します
Auto Messe Web
見た目変化なしも“フルアップデート”済み。ポルシェ、『963』に前倒しでジョーカー投入
見た目変化なしも“フルアップデート”済み。ポルシェ、『963』に前倒しでジョーカー投入
AUTOSPORT web
多すぎるリタイアの“代償”は大きいとアルピーヌF1のオコン。2024年シーズンは「全開でレースをするだけ」
多すぎるリタイアの“代償”は大きいとアルピーヌF1のオコン。2024年シーズンは「全開でレースをするだけ」
AUTOSPORT web
唯一無二の日産「商用バン」世界初公開! 「トランスミッション付きEV」はなぜ生まれた? ジヤトコが考えるEV時代の役割とは
唯一無二の日産「商用バン」世界初公開! 「トランスミッション付きEV」はなぜ生まれた? ジヤトコが考えるEV時代の役割とは
くるまのニュース
元FIA会長トッドが2008年F1シンガポールGPに言及「不正に操作されたので間違いなく中止されるべきだった」
元FIA会長トッドが2008年F1シンガポールGPに言及「不正に操作されたので間違いなく中止されるべきだった」
AUTOSPORT web
トップ・ギアが選ぶ「カー・オブ・ザ・イヤー2023」 7月に初披露のヒョンデ・アイオニック5 Nが受賞
トップ・ギアが選ぶ「カー・オブ・ザ・イヤー2023」 7月に初披露のヒョンデ・アイオニック5 Nが受賞
AUTOCAR JAPAN
ダイアモンド☆ユカイさんが初カスタム! クルマで表現する“ロック”な世界
ダイアモンド☆ユカイさんが初カスタム! クルマで表現する“ロック”な世界
レスポンス
エクストリームHがFIA、F1とともに共同で水素技術開発に向けたワーキンググループを設立
エクストリームHがFIA、F1とともに共同で水素技術開発に向けたワーキンググループを設立
AUTOSPORT web
黒グリルが「めちゃ精悍」! 斬新シフト搭載の「小さな高級車」日本発売! 新型「A3」セダンとハッチで426万円から登場
黒グリルが「めちゃ精悍」! 斬新シフト搭載の「小さな高級車」日本発売! 新型「A3」セダンとハッチで426万円から登場
くるまのニュース
グーマガ 今週のダイジェスト【12/2~12/8】プレリュードが24年ぶり復活!?
グーマガ 今週のダイジェスト【12/2~12/8】プレリュードが24年ぶり復活!?
グーネット
暗黙の期待にデザインで応えたプリウス…千葉匠【日本カーオブザイヤー2023-2024】
暗黙の期待にデザインで応えたプリウス…千葉匠【日本カーオブザイヤー2023-2024】
レスポンス
7年ぶりのフルモデルチェンジ!スズキがコンパクトカー「スイフト」の最新モデルを発売
7年ぶりのフルモデルチェンジ!スズキがコンパクトカー「スイフト」の最新モデルを発売
@DIME
SF鈴鹿テスト最終日に登場した高星明誠&名取鉄平。ニッサンドライバーふたりが得た“収穫”は
SF鈴鹿テスト最終日に登場した高星明誠&名取鉄平。ニッサンドライバーふたりが得た“収穫”は
AUTOSPORT web
スバル「新型フォレスター」“米”で初公開! 日本仕様はどうなる!? いつ導入!? 6年ぶり全面刷新の「ミドルサイズSUV」はどんなクルマ?
スバル「新型フォレスター」“米”で初公開! 日本仕様はどうなる!? いつ導入!? 6年ぶり全面刷新の「ミドルサイズSUV」はどんなクルマ?
くるまのニュース

みんなのコメント

5件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで! 登録してお得なクーポンを獲得しよう
マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

ログイン

中古車探しをもっと便利に

  • 中古車お気に入り管理
  • おすすめ中古車の表示

あなたにおすすめのサービス

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村