まだまだ売れる? ブラジルの軍用輸送機
2025年6月下旬にパリのル・ブルジェ空港で開催された「パリ国際航空宇宙ショー」(パリエアショー)で、大手航空機メーカーのエンブラエル社が独自開発したKC-390「ミレニアム」の受注決定に関するニュースを立て続けに発表。同機の好調なセールスをアピールしていました。
【見間違えそう】これが富士山バックに飛ぶC-2そっくりのブラジル製輸送機です(写真)
今回、パリエアショーで発表されたKC-390の契約は3件で、最初にリリースが出たのはポルトガルです。同国は1機の追加発注と10機のオプション購入枠を設定しました。次いでオランダは、すでに5機の導入を決定していますが、新たに患者輸送用の航空医療モジュール1基の導入と7基のオプション購入枠を設定。そして、最後にリトアニアが3機を新規導入するため、購入交渉に入ったことが明らかにされています。
KC-390はジェットエンジン双発の戦術輸送機です。母国ブラジルでは2019年から配備が始まっており、同国以外にハンガリー、ポルトガルですでに運用されています。さらに2025年6月現在、オーストリア、チェコ、リトアニア、オランダ、スロバキア、韓国、スウェーデンが採用を決めるなど、近年生まれた輸送機としては好調なセールスといえるでしょう。
パリエアショーでの記者会見で、エンブラエル社の防衛部門責任者ボスコ・ダ・コスタ・ジュニア氏は、KC-390クラスの軍用輸送機の需要が約500機あると説明し、その需要のかなりの部分を獲得できると説明しています。
この幹部の予測が正しければ、KC-390は将来的には100機以上の生産が見込まれているということになります。
エンブラエル社の強気な販売予測にはしっかりとした根拠があります。それは、前述した約500機の需要の裏付けに、米国製の戦術輸送機C-130H「ハーキュリーズ」の更新需要を見込んでいるからです。
強気の販売予測 その理由は?
軍用輸送機のベストセラーであるC-130「ハーキュリーズ」は、A型からH型の各タイプ合わせて約2200機生産され、60か国以上の国々に輸出されています。しかし、その多くが老朽化による更新時期を迎えつつあるのです。
事実、KC-390の母国ブラジルも、空軍で運用されるC-130が更新の時期に差し掛かっていました。そこで、エンブラエルは自国がそうであるなら、他国にも潜在需要があると見込んで、当初よりC-130の後継となるようKC-390を開発した経緯があります。
ブラジル空軍だけの限られた需要で新型輸送機の開発コストを補うことはできません。しかし、当初から他国への輸出を目指して開発するなら話は別です。こうしてエンブラエル社は、競争力を高めるために低コストと性能の差別化を設計に盛り込んで開発を進めました。
C-130の開発元であるロッキード・マーチン社は、後継として事実上の新型機C-130J「スーパーハーキュリーズ」を生み出しますが、KC-390はこれよりも価格が安く、ジェットエンジンや最新技術の採用によって輸送機としての能力も、同等か一部では勝るスペックを達成しています。
これら要因が合わさった結果、先に述べたような多数の国への採用に繋がったといえるでしょう。事実、NATO(北大西洋条約機構)加盟国に多く売れていることが、C-130の後継を狙って開発したという、そのコンセプトの正しさを証明しているとも言えます。
エンブラエル社では現在、KC-390の年間生産数を5機程度に設定していますが、今後の需要拡大を予想して、2030年頃にはこれを12機に増やそうとしています。
今回のパリエアショーでの一連の発表は、軍用輸送機の更新を考えている国々にとっては注目すべき事例であり、KC-390の新規導入への呼び水になることは間違いないでしょう。(布留川 司(ルポライター・カメラマン))
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「ガソリン代が安くなるってサイコー!」ゴールド免許取得者だけの「知られざるヒミツ」がスゴい! “無事故・無違反”の模範ドライバーが受けられる優遇とは!
「もうヘリで取り締まります!」交通警察が“本気モード”突入!「どんどん逮捕していきましょう!」「右車線から退かないのも取り締まって…」と反響殺到! 三重県警による「スカイアイ取締り」実施へ!
スズキ斬新「小型トラック」に注目! 「ジムニー」譲りの“悪路走破性”&車中泊もヨユーの「画期的な荷台」採用! “ちょうどいいサイズ”×タフデザインが魅力の「X-HEAD」コンセプトとは?
トヨタ爆速「ステーションワゴン」は“大排気量エンジン”搭載! めちゃ「パワフル仕様」な特別モデルに大注目! 即完売した“500台限定”の「カローラツーリング」2000リミテッドとは!
原子力潜水艦「アスチュート」“史上最長”の初期配備を終え改修へ 15年は異例の長さ? 素直に喜べないワケとは
レッドブルに激震! クリスチャン・ホーナー代表を電撃解任。後任はレーシングブルズのローレン・メキーズ代表……角田裕毅の命運はどうなる?
「もうヘリで取り締まります!」交通警察が“本気モード”突入!「どんどん逮捕していきましょう!」「右車線から退かないのも取り締まって…」と反響殺到! 三重県警による「スカイアイ取締り」実施へ!
「IS500」特別仕様車で国産V8エンジンは終焉が濃厚。メルセデス・ベンツが存続できてトヨタがV8を諦めざるを得ない理由とは
怒りの声&同情の声多数! 1キロのトラック列に住民が激怒!? 一斉摘発でドライバー悲鳴…「路上荷待ち問題」 誰も得しない現状、課題は山積みか
マルティン-アプリリアの契約問題、代理人はF1スタイルの仲裁機関を希望。ライダーは怪我から復帰間近に
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
こういう所だよなぁ…。今後、輸出拡大を目指すのであれば、政治屋・お役人さんも含む日本の防衛産業関係者には参考にしてほしい視点と考え方です。
この差はなんなのか。