メルセデスF1チームでトップを務めるトト・ウォルフは、F1の新たなエンジンレギュレーションについて、門外漢がグランプリレースに足を踏み入れて、すぐさま成功できるような内容になってはいけないと考えている。
F1の経営陣は、2021年施行予定の新規則を定義する作業を通じて、主にバジェットキャップ制度の導入、パワーユニット(PU)仕様の単純化、標準パーツ使用といったコスト削減の諸施策を盛り込んで新規参入者をひきつけることを望んでいる。
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昨年に提出された案は、控えめに言っても、F1のマニュファクチャラーの規則改訂に対する熱意に火をつけることに失敗している。
メルセデスは、F1における新規参入障壁は高いままで維持されるべきであり、モータースポーツの頂点であるF1のマニュファクチャラーに値する存在になれるよう、それぞれが努力すべきなのだと主張する。
ウォルフは、ドイツのFrankfurter Allgemeine Zeitung紙のインタビューで以下のように語っている。
「F1に参入するために要求される水準は高い。どんな競技にもある一定の水準が存在するのと同じことだ。だが、新規参入当初から皆との競争をしやすくするために規則を変えようなどという主張は、誰であれすべきではない」
「我々自身も2010年、2011年、2012年には苦しい時期を過ごした。その間に優勝できたのはわずか1度だけだった」
「未経験者がいきなり先頭に立てるような方向で規制を削っていったとしたら、それはF1にとって何かの役に立つだろうか? 彼らにとってはその方が良いだろうがね」
「私はそうした人為的な平準化は良くないと警告する。何といっても、現在競争している各チームは、それぞれのポジションを大変な努力と多額の投資を通じて獲得していったのだから」
だがウォルフは、それが新規参入者のためであれ、現行の各チームのためであれ、コスト削減自体に反対しているわけではないようだ。エンジニアリング費用削減のために標準パーツを導入するという案については、フェラーリが反対を表明した一方で、メルセデスはコスト削減策のひとつになり得ると見ている。
「いくつかのPUコンポーネントについては、公開して流通させ、標準化すべきだと我々は考えている。さらにはエンジンの回転数を上げることや、燃料流量の増加も許可されるべきだ」
「新規参入者が自身での開発を望まないパーツについては、標準化を検討すべきだろう。我々には自社技術を提供するか、標準化する用意がある」
F1の将来像については、各チームや商業権を所有するリバティ・メディア社、FIAの間で一連の活発な論争が行われてきた。そして激論は今後も続いていく見込みだ。
しかしウォルフは、メルセデスがチームの優位性を守るために新規定の問題に利己的なアプローチをすることはないと語る。
「それほどの超日和見主義者にはなれないものだ。それではいつの日か自分自身の首を絞めることになる」
「我々にとってエンジン規定のある程度の変更はむしろ望ましいものだ。なぜならその仕組みはメルセデスにおいても機能すると考えるからだ」
「パフォーマンスの変質を避けるためには一から考え直したいところだが、それでは費用がかかり過ぎる。だから、今の規則を大体は維持すべきだと我々は求めていく」
「あと2年のうちに、現在競争している各エンジンマニュファクチャラーのパフォーマンス差はわずかなものになるだろう。ルノーは今シーズン追い上げてくるだろうし、ホンダも大きな飛躍を遂げた」
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