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【カギは航続距離より価格?】開発進む軽EV 「地方向き」といえるワケ 

掲載 更新 32
【カギは航続距離より価格?】開発進む軽EV 「地方向き」といえるワケ 

軽自動車にも電動化の波が……

text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)

【画像】軽にも電動化の波【IMkコンセプトを先駆者アイ・ミーブと比較】 全33枚

editor:Taro Ueno(上野太朗)

世界的にみても加速度的に進んでいる自動車の電動化。

ここでいう電動化というのは、エンジンとモーターを併用するハイブリッド車も含まれるのだが、やはり各メーカーとも純然たる電気自動車、つまりピュアEVの開発に力を入れているようにみえる。

日本では三菱が先陣を切ったアイ・ミーブから始まり、2世代目へとフルモデルチェンジを果たした日産リーフ、そしてホンダeにマツダMX-30 EVと続々とピュアEVがリリースされている。

電気自動車でリードする三菱と日産は、軽自動車に関わる合弁会社であるNMKV(Nissan Mitsubishi Kei Vehicle)を設立しており、2019年の東京モーターショーでは「IMkコンセプト」と名付けられた軽自動車クラス(コンセプトモデルは軽自動車枠をこえたボディサイズだった)のピュアEVが日産ブースで披露されていた。

このIMkコンセプトの市販車版ともいえる軽自動車のEVが日産、三菱両メーカーから2022年にも市場に投入されるという報道もあり、ホンダも今年の4月に新社長に就任した三部敏弘氏が2024年にも軽自動車のピュアEVを投入すると宣言し、にわかに軽自動車のピュアEVが注目を集めているのである。

過去には軽自動車のEVとして三菱アイ・ミーブが存在していたが(最終的に衝突安全の兼ね合いで普通車サイズになってしまったが)、大ヒット車種とはならなかった事実がある。

果たして今後登場が予定されている新型軽EVはどうなるのだろうか。

ネックは航続距離よりも価格?

電気自動車の話題になるとついてまわるのが航続距離の問題だ。

ガソリンスタンドで手早く給油ができる内燃機関を搭載したモデルに比べ、まだまだ充電設備が少なく、充電するために時間がかかってしまう電気自動車は、航続距離が長い方がいいと思われる節がある。

しかし、現段階では航続距離を伸ばす=大容量の駆動用バッテリーを搭載する、ということになってしまい、電気自動車が市販されたころに比べればバッテリーの価格が下がったとはいえ、大容量バッテリーの搭載は車両価格にそのまま反映されてしまう。

最近では乗り出し総額で200万円を超えるような軽自動車も珍しくなくなってきたとはいえ、そういった車種は電動スライドドアやアダプティブクルーズコントロールなどの普通車にも匹敵するような装備や、質感の高い内外装を持ち合わせたモデルであり、ボンネットバンに毛が生えたような装備では到底納得してもらえないだろう。

実際、軽のEVとしての先駆者であるアイ・ミーブも、補助金を加味した実質的な乗り出し価格は200万円台半ば~後半となっており、その価格に二の足を踏んでしまった人も少なくない。

逆にその金額の問題さえクリアしてしまったユーザーにとっては、アイ・ミーブは非常に満足のいく車両であるという声も多く、やはり最大のネックは車両本体価格ということになりそうだ。

大都市よりも地方に向いている?

もともと軽自動車は地方での日常の移動の足として使用されることが多く、その使われた方はピュアEVになったとしても変わらないのではないかと筆者は推測する。

その際の走行距離は往復で多く見積もっても20-30kmほど。

たまに市町村を跨いだ移動をしたとしても100km未満の移動が中心となるだろう。

そうなると大容量の駆動用バッテリーは必要とされず、求められるのは買いやすい価格という点に絞られる。

一部報道では日産と三菱の軽EVは実質的な価格が200万円を切るといわれているが、ミニマルなバッテリーを搭載した廉価グレードの設定も期待したいところだ。

そして、地方で軽EVが向いていると考える最大の理由が、ガソリンスタンドの問題である。

すでに報道でご存知の方も多いかもしれないが、資源エネルギー庁によると 2019年度末の全国のガソリンスタンド(給油所)数は2万9637か所。ピークの1994年度末(6万421か所)から25年連続で減少、ほぼ半減した計算となっている。

とくに地方でのガソリンスタンドの廃業は深刻な問題となっており、クルマがあっても給油ができない、かなり離れたスタンドまで出向かなければならないというケースも増えているのだ。

しかし、自宅で充電することができるEVであれば、コンセントさえ繋いでおけば寝ている間に満充電になってくれる。

そもそも持ち家率も高いため、自宅に充電コンセントを設置するハードルも低いといえる。

そういった点を考えると、軽EVのターゲットユーザーは都市部に住む人ではなく、地方に住んでいる人といえるのではないだろうか。

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みんなのコメント

32件
  • 中国で50万のEV作れるんだから日本でも作ってくださいよw
    自動車産業は日本の屋台骨でしょ?w
  • EVの記事になると、目くじら立てて反論するコメントがあふれるけど、この記事はよくわかるよ。
    地方の一戸建てに住む中流以上の家庭だったら、車の複数持ちは当たり前。免許証の数以上の車がある。
    車を使うのは、通勤のほか、近所のスーパーや病院、子供や孫の送り迎えで往復10kmにも満たないのがほとんど。
    たまに遠出するときはメインのガソリン車を使うんだから、航続距離は問題にならない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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