5つの工場と専用港を併設
自動車運搬船モーニング・クリスティーナ号のブリッジから眺めると、工場出荷直後の何千台ものヒョンデ車が視界を埋め尽くす。
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そのうちの最大6000台が、全長380mの運搬船の11層のデッキに積み込まれ、太平洋を渡って米国カリフォルニア州を目指す。「所要時間は約13日です」と船長は言う。「その後、またここに戻って同じ作業を繰り返します」。
これは、韓国南東海岸にあるヒョンデの蔚山工場で行われている、ユニークな自動車生産プロセスの最終段階だ。工場にドックが併設されており、自動車の生産、試験、出荷がすべて1つの施設内でシームレスに行われている。
ここで生産されるクルマの台数は、なんと年間150万台。これは、英国にある25の工場をすべて合わせた2024年の生産台数の約2倍であり、イタリアの新車販売台数の98%に相当する。世界最大の自動車工場である。
1200エーカー(町1つ分の広さ)の敷地に広がる蔚山工場。高い生産効率のカギを握るのは、その立地環境だ。5つの工場棟に加え、エンジンとトランスミッション工場を擁するだけでなく、世界唯一の専用港が併設された自動車生産施設でもある。年間生産量の75%は世界200か国以上に輸出されている。
ここでは、サンタフェやツーソンといったヒョンデの人気シリーズからジェネシスの全車種まで、17種類のモデルが生産されている。生産ラインは1日18時間稼働している。来年には、6つ目の工場棟となるEV専用工場がオープンし、新型ジェネシスGV90が生産される予定だ。
蔚山工場は、ヒョンデが設立されてからわずか1年後の1968年に開設された。当初はフォードの小さな組立工場として、韓国向けのコルティナが手作業で作られてていた。
今日、蔚山は巨大な都市であり、一歩敷地に入るとその大きさがわかる。工場が軒を連ね、約60万本の木々が立ち並ぶ中、取材班はクルマで第5工場へと向かう。1979年に建設されたこの棟は、当初はゴルフカートを手作業で生産していた。
現在では、ジェネシスG70、G80、G90のセダンが、ヒョンデ・パリセードや水素燃料電池のネッソとともに生産されている。G80用のEVバッテリーもここで作られる。
国内産業の中心地
生産ラインからロールアウトされた完成車は、品質検査を経て、埠頭にある巨大な駐車場へと急行する。取材班はそれを追って、巨大なユーコー(Eukor)の運搬船のそばまでクルマを走らせる。船はあまりにも大きく、スズキ・キャリイが船内の輸送に使われているほどだ。
車両は船の後部にあるスロープから船内に積み込まれる。複数のエラントラがスロープを駆け上がった数分後、ドライバーたちはスロープを駆け下り、ヒョンデ・スターリアに乗り込んで、次の車両へと移動する。
この作業は毎日行われ、24時間に1隻の船が出港する。こうした生産および輸出方法は、コストと時間の節約につながると工場長は語る。ヒョンデが年間これほど多くの自動車を生産できる大きな理由の1つだという。
工場の周辺に発展した蔚山市は現在、人口110万人(バーミンガムとほぼ同じ人口)の大都市となっている。1968年に工場が開設された時、この地域の人口は3万人で、現在の工場の従業員数(3万4000人)よりも少なかった。
さらにその5年ほど前までは、蔚山は主に漁港だった。現在では、ヒョンデ、2002年に分社化した世界最大の造船会社である現代重工業、SKエナジーが所有する世界第3位の石油精製所などが集まる、韓国の産業の中心地となっている。
ヒョンデの重要性は、街中の至る所で感じられる。ヒョンデの創業者にちなんで名付けられた高速道路があり、病院、学校、レストランなど、多くの施設にヒョンデの名前が付けられている。そしてもちろん、広大な港湾施設も。
港、工場、そしてその周辺に発展した都市は、ヒョンデが抱く大志の証である。案内してくれたガイドは、こう要約している。「蔚山は、今日のヒョンデを形作った街です」。
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