光ると現れる“ファントムライティング”が印象的
ホンダは米国時間の2026年8月13日、北米で展開する高級車ブランド・アキュラの次世代デザインの方向性を示すコンセプトモデル「ネクセラ・ビジョン(NEXERA Vision)」を世界初公開しました。舞台となったのは、米カリフォルニア州で開催されたクルマの祭典「モントレー・カー・ウィーク」。低いノーズを持つ2シータークーペという、いかにもスポーツカーらしい姿で登場しています。
【画像】超カッコいい! バタフライドアが印象的なアキュラの新コンセプトカーを写真で見る(25枚)
日本ではブランドとして本格展開されていないため、なじみのない人も多いかもしれないアキュラですが、このクルマはどんな未来を示唆しているのでしょうか?
「ネクセラ・ビジョン」を理解する上で欠かせないのが、アキュラというブランドの成り立ちです。アキュラは1986年、ホンダが北米市場に向けて立ち上げた高級車ブランド。日本の自動車メーカーがプレミアム市場をねらって専用ブランドを設けた初の例であり、それはレクサスやインフィニティが登場する3年も前のことでした。ブランドのデビューを飾ったのは「レジェンド」と「インテグラ」の2台。その後、1990年には初代「NSX」を送り出し、走りのブランドとしての評価も確立しました。
現在、アキュラがラインナップするのは、スポーツコンパクトの「インテグラ」と、「ADX」、「RDX」、「MDX」という3つのSUVを合わせた4モデル。そのアキュラが2026年にブランド誕生40周年を迎えたことを受け、その節目に合わせて披露したのが今回の「ネクセラ・ビジョン」というわけです。
「ネクセラ・ビジョン」最大の見どころといえるのが、“ファントムライティング”と名づけられた新しいライティングシグネチャーです。非点灯時にはボディラインへと完全に溶け込み、点灯したときにだけランプが現れるという仕組み。これにより、継ぎ目のない彫刻のような面構成を実現しています。
しかも、その極薄のヘッドライトとテールライトは、アキュラの頭文字である「A」をモチーフにした形状。ブランドのアイデンティティを、光で表現しようというねらいです。消えているときは塊としての美しさを示し、点灯したときにはブランドの記号が浮かび上がることで、デザインとブランディングを同時に成立させるという知的なデザインといえます。
エクステリアは、ワイド&ローの力強いスタンスを採用。フロントタイヤの中心からダッシュボードまでの距離を示す“ダッシュ・トゥ・アクスル”を長く取り、そこへ“ワンモーション・キャビン”を組み合わせることで、パフォーマンスカーならではの伸びやかなプロポーションをつくり出しています。
ボディカラーは、金属的な奥行き感が際立つ“マットチタン”。彫刻的に張り出した面と、空気を導くエアチャンネル・フェイシアが、高い走行性能を予感させます。
そして目を奪われるのが、特徴的なデュアルヒンジ式のバタフライドア。跳ね上がるように開くこのドアが、アキュラのパフォーマンスDNAを大胆に印象づけています。
また、リアには可動式のアクティブリアスポイラーを備え、気流をコントロール。これにより、空力効率と高速安定性、そしてブレーキ性能を高めるとしています。
足元を固めるのは、アキュラでは初採用となる22インチのセンターロック式ホイール。立体的な方向性を持たせたデザインに、マットのアルマイト仕上げと鍛造カーボンファイバーのインサートを組み合わせており、そのすき間からブレンボ製のハイパフォーマンス・カーボンセラミックブレーキがのぞきます。
さらに、エアチャンネル・フェイシアやリアディフューザー、ロッカーパネル、さらにはドアのインナー構造にまで鍛造カーボンを採用。ショーモデルとは思えないほど走りへの本気度がうかがえる仕立てとなっています。
ピンクの差し色が目を惹くキャビンとサステナブルな素材使い
インテリアは、ドライバーとの一体感や広がり感を高次元で融合。ブラック&ホワイトを基調としながら鮮やかなピンクをアクセントとして配することで、印象的なコントラストを生み出しています。
なかでも注目したいのが素材使い。再生ポリエステルを用いたアルカンターラ、サーキュラーエコノミーに寄与する本革素材であるサーキュレザー、そしてリサイクルアルミニウムといったサステナブル素材を採用しています。
ドライビングポジションの考え方も独特です。フロントシートはフロアに組み込まれた固定式で、着座位置を大幅に引き下げることで“地面に近い”感覚をねらったといいます。その分、ペダルとステアリングがドライバーに合わせて動くという、レーシングカーさながらの発想です。
また、ステアリングはヨーク型で、奥には湾曲したデジタルメーターを装備。ディスプレイを最小限にして運転に集中できる環境をつくるというねらいは、かつての「S2000」を思わせるものといえます。
気になるのは、この美しいクーペで示されたデザインが、今後、市販車へどのようにフィードバックされるのかという点でしょう。
ホンダはあくまで「次世代デザインの方向性を示すコンセプトモデル」と位置づけており、市販化の予定については言及していません。パワートレインについても一切、明らかにされていない状況です。
しかし、アキュラでオートデザインを統括するクリエイティブディレクターの土田康剛氏は「40周年を新たな挑戦への節目とし、『ネクセラ・ビジョン』を今後のアキュラのデザイン言語として位置づけています」とコメント。「ネクセラ・ビジョン」で示した普遍的な美しさと先進技術の融合を、今後のラインナップでも一貫して具現し、進化させていくとしています。
その一例として、ホンダは「A」をモチーフとしたライティングシグネチャーについて、ブランド初の2モーターハイブリッドを搭載し、数年以内に登場予定の4代目「RDX ハイブリッド」を皮切りに、アキュラの次世代ラインナップへ採用していくと明言しています。
つまり「ネクセラ・ビジョン」が示したデザイン言語は、SUVを含む今後のアキュラがどのように変わっていくのかを示す“予告編”といえるわけです。
* * *
「ネクセラ・ビジョン」は、現地時間で8月14日に開催されるイベント「ザ・クエイル」と、8月16日の「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」で展示予定。今回示されたデザインの方向性は、今後のアキュラのクルマづくりを占う上でも見逃せないものといえるでしょう。(VAGUE編集部)
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ガルウイングのガラス張りはまぁ大変なことになるとセラで証明されているからこのままではないでしょう。