強い個性で熱烈なファンを獲得したのにもかかわらず、後継車を残すことなく終了してしまったモデルは意外に多い。今回は、そんな悲運のクルマたちを振り返り、その魅力と継続できなかった理由を考えてみたい。
文/長谷川 敦、写真/いすゞ、スズキ、トヨタ、日産、ホンダ、Newspress UK、CarWp.com
続きが見たかった!? 次があると思ってたのに…消えた名車の系譜
【画像ギャラリー】次がなかった名車たち…(20枚)
潔い? 1代限りの華だった超個性派軽スポーツカー
●スズキ カプチーノ
スズキ カプチーノ。エンジンをフロントアクスルより後方に置くフロントミドシップレイアウトのFRオープン2シーターで、その構成はスポーツカーそのもの
1991年に販売が開始されたカプチーノは、フロントエンジン・リア駆動のFRレイアウトを採用していたが、これは実用性を重視する軽自動車では珍しいものだった。
カプチーノは実用性よりも運転して楽しいスポーツカーを目標に開発されていて、前後重量配分は運動性の高い51:49、これに高性能なサスペンションと高回転型エンジンが組み合わされ、狙いどおりの小気味良い走りを実現していた。
サスペンションには全輪ダブルウィッシュボーンタイプが採用されたが、これはレースカーと共通するロードホールディング能力の高いものであり、軽自動車では初の試みだった。
エンジンは660ccのターボチャージャー付き直列3気筒で、レッドゾーンが8500rpmからという高回転型。
このように軽自動車でありながらスポーツ性を全面に押し出したカプチーノは人気モデルになったが、1998年の軽自動車規格大幅変更への対応が困難なことから惜しまれつつ生産終了になった。
カプチーノは人気を集めたものの、この時期にはスポーツカーの需要も減っていたため後継モデルの開発は見送られた。
●ホンダ ビート
ホンダ ビート。オープンカーでありながら高いボディ剛性を誇り、ミドシップレイアウトがシャープなハンドリング特性を生み出した。現在でもその人気は高い
1991年5月、ホンダから風変りな軽自動車が発表された。
ビートと名づけられたそのモデルは、運転席の後方にエンジンを搭載するミドシップレイアウトを採用し、ボディはオープンという軽スポーツカーだった。
ホンダが先に発売していたミドシップ本格スポーツのNSX(初代)にも似たフォルムを持つビートは、量産軽自動車では初のオープンフルモノコックボディを持ち、軽量かつ剛性の高いボディに高回転型のエンジンを搭載してキビキビ走るという、完全なスポーツカーだった。
エンジンはパワフルなターボではなくあえてNA(自然吸気)タイプを搭載していたが、これはアクセル操作に対する応答性を重視してのこと。
当時のF1でもNAエンジン規定が採用されていて、ホンダがF1で培った技術を盛り込んでいたのもウリのひとつといえた。
このように魅力の多いビートだったが、1996年9月に軽自動車の規格が変更された影響やスポーツカー自体の人気が低下してきたこともあって生産終了になってしまった。
2016年にはビートの事実上の後継車種ともいえるS660が登場するが、やはりこのモデルも1代限りで終了している。
生まれた時代を間違えた悲運のSUV
●いすゞ ビークロス
何ものにも似ていないルックスで話題をさらったいすゞ ビークロス。デザインのせいか大柄に見えるが、実際には全長4130mmというコンパクトなクルマだった
現在では商用車を販売しているいすゞだが、かつては多数の乗用車をラインナップしていた。
そんないすゞが1997年にリリースしたクロスオーバーSUVがビークロスだ。
この時代にはSUVという呼び方はなく、クロスカントリーモデルに分類されたビークロスは、3ドアの比較的コンパクトなクルマだった。
ビークロスは当時販売されていた同社製SUV・ビッグホーンショートのプラットフォームを流用しているものの、その外観は大きく異なり、曲面を多用する未来的なルックスを持っていた。
個性的なのはそのフォルムだけでなく、前後フェンダーから構成される下部ボディに金属ではなくツヤ消しの樹脂を使用するなど、他にはないデザインが人目を惹いた。
斬新なデザインのボディに反して中身は質実剛健なクロカンモデルであり、走りの面でも一定以上の評価を得ている。
しかし、そうした評価にもかかわらずヒットモデルとなることはなく、1999年には販売が終了している。
ビークロスは現在のコンパクトSUVの先駆け的な存在であり、もう少し遅い時代の登場であればより大きな人気を得られたかもしれない。
●日産 ミストラル
日産 ミストラル。欧州で開発・製造された逆輸入車であり、欧州風の名称もそれを表しているが、欧州市場ではテラノIIの名で販売されている
フランス東南部に吹く局地風を意味するミストラルの名を冠した日産製SUVは1994年に販売が開始された。
このクルマの変わった点は、日本ではなくスペインの日産モトール・イベリカで生産されていたということ。
デザインも欧州のデザイン会社・I.DE.Aによるもので、純日本製モデルとは出で立ちや見た目が異なっていた。
欧州ではテラノIIとして販売されたこのミストラルは、日産も「欧州生まれ、欧州育ちのピュア・ヨーロピアン・オールローダー」と称し、独自のテイストを主張していた。
ミストラルの出だしは順調で、日産では当初の計画より生産台数を増やしたほどだったが、やがてトヨタ RAV4やホンダ CR-Vなどの攻勢が始まり、徐々に販売成績は低下していった。
さらにミニバン&コンパクトカーのブームもあって、ミストラルの国内販売は1999年で打ち切られた。
ミストラルに関しては、もっと早く登場していればより多くの人気を獲得できた可能性もある。
人気シリーズの最後のモデルたち
●トヨタ ソアラ
最終タイプのトヨタ ソアラ。レクサス SCへの統合後も基本的にスタイルは変わらず、2010年まで販売が続けられた。4.3リッターV8エンジンを搭載
1981年にトヨタからデビューしたソアラは、パワフルなエンジンを搭載するスペシャルティカーであり、初代モデルが大ヒット車になると、以降はトヨタを代表する車種の1台として君臨した。
初代&2代目は共通のイメージでデザインされていて、2代目は正統後継モデルと呼べたが、3代目になるとデザインを一新、さらに4代目では再びコンセプトを大胆に変更した。
2001年デビューの4代目ソアラは格納式ハードトップを持つコンバーチブル車となり、アメリカではレクサス SCの名称で販売された。
そしてトヨタは日本国内でもレクサスブランドを展開することになり、ソアラもレクサス SCに一本化された。
ソアラの歴史は2005年に終了することになり、SCの販売は2010年まで継続されたものの、こちらも後継車種を残すことなく生産終了になった。
●日産 シルビア
日産 シルビアシリーズの最後を飾った7代目S15型。スタイルや走行性能への評価は高かったが、製造期間は歴代シルビアのなかで最も短い3年7カ月だった
1980年代末~1990年代初頭のバブル景気時代にはデートカーとして高い人気を得たのが日産 シルビア。
初代モデルは1965年に登場し、5代目のS13型シルビアはスタイルの美しさと時代の流れを追い風に大ヒットモデルに昇りつめた。
しかし、1993年発売の6代目ではボディを3ナンバーサイズに大型化するなど、やや方向性を見誤り、先代ほどの人気を集めることができなかった。
そこで1999年デビューの7代目S15型は5ナンバーサイズに回帰し、デザインもS13寄りに変更されたものの、スポーティクーペの人気そのものが低迷期に入っていて、8代目を生み出すことなく2002年に生産終了が決定した。
これでシルビア37年の歴史に幕が下ろされたが、現在でもシルビア復活を望む声は少なくない。
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みんなのコメント
LS同じエンジン積む車格でオープンって、レクサス内での立場は一致してる。
いつまでも最新型でいられるから。