積算3万7739km 高速道路での緩やかな揺れ
text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
同僚が数日、長期テストのランドクルーザー・プラドを利用した。彼へ意見を聞いてみると、「牛が草を噛む時、ゆっくりと顎を丸く動かしますよね。ランドクルーザーで高速道路を走ると、そんな印象を受けました」と話していた。
筆者もそう思う。乗り心地は少し荒い。しかし、木の実を噛むリスの下顎よりは穏やかだ。多くのクルマの乗り心地は、その間あたりではないだろうか。
積算4万2969km パティキュレート・フィルター
通常、長期テストで乗るクルマの機能は、すべて試すようにしている。しかし、長期テストのランドクルーザー・プラドには、試せないと思われる機能が1つある。
このランドクルーザー・プラドが積むのは、2.8Lの4気筒ディーゼルエンジンで、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)が装備されている。排気ガスに含まれるススはDPFに付着し、充分に高温になった時に燃焼される。
燃焼しているかどうかは、普通に乗っている限りわからない。一般的な運転条件であれば、自動的に行われる。
一方で、低速で長時間走行したり、アイドリングや短距離走行を繰り返すような乗り方だと、DPFの温度が上がらずに燃焼を完了できない。ススはDPFに溜まり続け、最終的には詰まってしまう。
フィルターが詰まると、警告灯が点灯するはず。無視しない方が良い。
強制的な燃焼は今後も試せない
多くの場合は、フィルターが詰まったらディラーで処理してもらうように促している。しかし、ランドクルーザー・プラドは違う。トヨタはドライバーを信頼しているらしく、英国仕様車には対処方法を記したステッカーが貼ってある。
クルマを駐車し、エンジンがアイドリング状態の時に、燃焼ボタンを押す。すると点火後に軽油がシリンダー内へ追加注入され、エグゾースト内で燃焼させる機能が働く。エグゾーストの温度を強制的に上げて、ススの燃焼を可能とする仕組みだ。
その時は、クルマの後ろに立たない方が良いだろう。筆者は今まで試したことがないけれど。
トヨタは、64km/hより速い速度で10分間以上の運転をすれば、燃焼サイクルが行われるとしている。筆者は、条件以下の運転をしない日はない。強制的な燃焼機能は、今後も試せないだろう。
ランドクルーザー・プラドは2回目の定期点検を終え、4万2969kmに達した。次の定期点検まで、5300kmくらいしかない。
前回のレポートでご報告した定期点検だが、わたしの対応が優しすぎたのでは、という反応をいただいた。自分で事前にアドブルー液の補充を済ませていたのに、10Lぶんの請求が含まれていた件だ。
そのことを指摘すると、ディーラーの担当者はアドブルー液の10Lボトルを渡してくれた。金額が引かれることはなく、請求書には10Lのアドブルー液の内容も含まれたままだった。
理由は、トヨタが固定価格によるサービスを、英国全土で提供しているため。補充のあるなしに関わらず、定期点検の金額は一定になっている。
アドブルー液の補充で損はない
以前まではトヨタでも、アドブルー液の補充は別料金だったそうだ。しかし、サービス料金が一定ではなくなる。しかも多くの場合、補充は10Lでは済まない。
10Lの補充で12ポンド(1600円)という固定費用なら、多くのユーザーにとってはお得なことになる。中には損をする人もいるかもしれないが、事務手続きは簡素化される。
自らアドブルー液を補充する人は、多くはないかもしれない。筆者は、長期テストという理由もあって行った。
もし自分で補充したことをトヨタへ伝えれば、その分のアドブルー液のボトルがもらえる。悪い話ではないと思う。
テストデータ
気に入っているトコロ
USBソケットの蓋:オーディオ用のUSBと3.5mmのコネクター部分には小さな蓋が付いている。埃っぽい環境で運転しても、詰まることがなく安心。
気に入らないトコロ
シートの折り畳み:シートは簡単に折り畳める。しかし折りたたみ用のリリースレバーは、クルマによじ登らないと届かない場所にある。
テスト車について
モデル名:トヨタ・ランドクルーザー・プラド・ユーティリティ 3ドア(英国仕様)
新車価格:3万3955ポンド(458万円)
テスト車の価格:3万4655ポンド(467万円)
テストの記録
燃費:11.1km/L
故障:なし
出費:定期点検2度目 424ポンド(5万6800円)/定期点検初回 270ポンド(3万5000円)/アドブルー液 38ポンド(5100円)/エンジンオイル1L 8ポンド(1000円)/タイヤ修理 18ポンド(2300円)
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みんなのコメント
国内のモータージャーナリスト連中にはここまで期待できない
まぁ、クライアントさんもそのまま売る訳じゃないだろう(と思う)から、取り敢えず納車しますケド。
ちょっと心配の処も在ったりする。