最新の自動車盗難の手口が「CANインベーダー」!! 効果的な撃退方法とは?
2021/10/16 01:02 ベストカーWeb 99
2021/10/16 01:02 ベストカーWeb 99
高級車を中心に起きている車両盗難。昨今ではさらに犯罪レベルも向上した「CANインベーダー」が話題になっている。
電子プラットフォーム化された昨今のクルマはプロから見れば「盗んでください」と言わんばかりの脆弱なセキュリティという声も聞く。それでは我々はどうやって愛車を守れば良いのか。最新動向も含め解説する。
動かさないと寿命が短くなる矛盾!? クルマは長く乗らないとココが悪くなる!
文/高山正寛、写真/オートバックスセブン、加藤電機、AdobeStock(トビラ写真=AdobeStock@xiaosan)
【画像ギャラリー】昔ながらのあのグッズが意外と効果的!? 手間とお金を惜しまなければ盗まれる確率は低くなる!!
■少なくなったとはいえ、まだまだ起きる「リレーアタック」
スマートキーの電波を遮断する、リレーアタック防止のキーケースもよく売れている(AdobeStock@KATSU)
駐車場にあるはずのクルマが無い! 一瞬、自分の目がおかしくなってしまったのではないか、と錯覚する位、車両盗難は悲しく、何よりも犯罪者に対して怒りがこみ上げてくる。
筆者は過去、関西&中京エリアで頻発した高級車盗難の取材を行ったことがあるが、意外だったのは取材先の某県警本部では盗難の実態、つまり手法について理解が足りなかったこと、逆にこちらに質問されるほどだった。
当時は「リレーアタック」と呼ばれるスマートキーから常時発信されている微弱電波を拾い、犯人グループが数名でまさに「リレーするように」車両まで持っていき、ロックを解除し、エンジンを始動させて車両を盗むものが多かった。
実例として、某ファミレスで家族所有のミニバンがこのリレーアタックに遭い、本人達が食事をしているのに目の前で車両が盗まれた、という大胆な窃盗事件もあった。
リレーアタックに関しては最近ではワイヤレスキーの電波を遮断するキーケースもよく売れているが、前述したリレー方式ではなく、増幅機(ブースター)を内蔵することで1人でも微弱電波を取得し、その情報をメモリーしつつ車両のロックを解除するものもある。
困ったことに、こういう電波法に違反するヤバイ商品は海外通販であっさり購入できたりするから始末が悪い。
■さらに始末の悪い「コードグラバー」
スマートキー内の『IDコード』を盗み出す『コードグラバー』という機器も出回っている(AdobeStock@dusanpetkovic1)
少し前から話題になっているのが「コードグラバー」と呼ばれる機器による車両盗難だ。読んで字のごとく「Code(コード)=信号」を「Grab(グラブ)=掴む」で元々はスマートキーを紛失した際に緊急用にスペアキーを作るためのものだ。
これを悪用するのがこの犯罪手法だが、スマートキーから発信する電波を傍受するまでは前述のリレーアタックと同じでもコードグラバーが盗むのはスマートキー内の「IDコード」である。
前述したように元々がスペアキー作成用のツールでもあるので、IDコードさえ読み取ってしまえば、ドアの解錠だけでなくエンジン始動などすべての操作が行えることになる。
IDコードが読み取られるので普通にエンジンを始動させる、と車両側は判断するのでイモビライザーなども役に立たない。
またリレーアタックに比べコードグラバー自体の受信感度が高いことで広範囲(半径100m程度)で情報を盗めるというのも犯罪を助長する。また海外の通販サイトでも安いモノならば10ドル程度で手に入る。
もちろん、実際使えるかどうかは犯罪側のみ知るとことだが、上海にいるIT系のエンジニアの知人によれば「こういう連中は片っ端から通販サイトで異なる機器を購入し、その中で国内で使えたことが確認できたら一気にそれを発注する」とマジで勘弁して欲しい物量作戦を繰り広げるという情報もある。
■遂に来た!恐怖の「CANインベーダー」
セキュリティが電子化され、強固なものとなっても必ずそれを上回る手口が開発される(AdobeStock@rh2010)
そしてやはり話題は最新の「CANインベーダー」と呼ばれる盗難手法。クルマに少しでも詳しい人ならば聞いたことがあるだろう。
CANは「Controller Area Network」の略で簡単に言えばECUに代表される電子制御ユニット同士を繋ぐシリアル通信プロトコル(規格)のこと。現在のクルマは電子プラットフォーム化されており、車両の隅々までCANによる通信で車両を制御/管理している。
過去、CANインベーダーに関しては車両内にあるOBD-IIに専用機器を接続したり、車両周辺に張り巡らされたCAN-BUS信号用の配線に接続することで車両システムに介入していた。
しかし、最近では車両に接近し、専用のデバイス(携帯電話を使うケースもある)からアクセスすることで車両を盗難するケースも増えている。
■相手はプロであるということを認識せよ
窃盗犯は時間をかけることを嫌う。ひとつのセキュリティ手段に頼るよりも、複数のセキュリティ手段を使えばそれだけ時間がかかるだろう(AdobeStock@Thomas Sztanek)
ここで思うのが「まあ自分のクルマは大丈夫」という慢心だ。何せ相手はプロである。前に鍵屋に聞いた話では、住宅への侵入(泥棒)は10分経っても鍵が開けられなければ(とりあえず)諦めて去って行くとのことだったが、車両盗難は10分どころか5分あれば解錠して車両を盗むことなど朝飯前とのことだ。
おまけによく盗まれる車両の中にハイブリッド車があるが、EVモードにしておけばエンジン音も無くスルスルとクルマは動いてしまう。つまり気がつかないうちに盗まれてしまうわけだ。
さらに高級車の一部ではもし車両が盗まれた場合、車両に内蔵されたGPSを使ってある程度追跡(自車位置の把握)をすることもできるのだが、プロはまずそういうシステムをぶっ壊す!
具体的には複数犯の場合、車両を運転する係と、見張り兼、盗んだ後GPS配線等をカットしたりする、要は「足が着かない」ように作業をする係がいるわけだ。
■ではどうすれば良いのか(電子機器編)
A PITオートバックス東雲のセキュリティグッズコーナー。最近ではカーセキュリティを専門にしているプロショップも多い
まず有効なのはセキュリティアラームに代表される電子機器の導入だろう。
実はこれに関してはここでは語り尽くせないほど種類がある。ネットでも情報を得ることはできるが、カー用品店やカーセキュリティを専門にしているプロショップも多いので相談してみることをオススメする。
前述した犯罪に対してはとにかく車両に標準搭載のセキュリティでは確実に物足りない。また最近話題の通信を活用しシステムのアップデートが行えるOTA(Over The Air)を搭載している車両に関しても今後はセキュリティ面での脆弱性も指摘されている。
もちろん自動車メーカーはその対策を日々進化させているとはいえ、OTAという新しい“侵入経路”を生み出したことは窃盗犯にとっては皮肉にも好都合とも言える。
振動などを検知して大音量を鳴らすセキュリティアラームのほか、スタートスイッチとは別にサブの始動用隠しスイッチのような簡易型(3~4万円前後)、また効果的と言われているのがCAN-BUS信号を電子的に切断することでCANインベーダーが介入できないデジタルイモビライザー(5万円~)で、他にも多くの商品がある。
また駐車場が自宅にある場合、駐車場を監視するカメラも(ある程度)抑止効果がある。よく言われることだが「こういうのダミーで十分だ」というのは大間違い!
プロは数秒でこういうのを見抜くし、そもそも事前に周辺の環境や交通量なども調査済みで犯罪に及ぶのだから夜間にも強い商品を設置しなければ意味が無いのである。
■実は凄く効果的(物理的ブロック)
今時アナログ的手法は軽視されがちだが『自動車を物理的にロックする』のは実はかなり効果的なのだ
全国でオートバックスを運営するオートバックスセブンからの情報によると、今回のCANインベーダーの件を受けてセキュリティ商品がよく売れているとのことだ。その中でも前述した電子機器系だけでなく、物理的にクルマをロックする商品が好調で、実際9月1日~13日時点では対前年比140%とのことだ。
たしかに原始的(失礼)ではあるが、エンジンが始動できてもクルマ自体が動かせないのであれば盗難自体はかなり未然に防げる。
具体的にはステアリング自体をロックするもの、タイヤをロックするものなど意外と種類は多い。それぞれが効果的かつ価格も2000円位から用意されているので金銭的も負担は少ない。
ここでポイントとして挙げておきたいのは、面倒でもこれらの商品を“複数”購入して使うことだ。例えばステアリングロックなどはその気になれば金属切断用のボルトクリッパーや大型ペンチなどでカットすることもできる(時間はかかるが)。
ただ、もし切断されても同時にタイヤロックがかかっていれば、短時間での盗難は難しいのでそれ自体を防ぐことができるのだ。
盗難と防犯は“イタチごっこ”のようなもので、永遠に無くならない。何よりもクルマは高額商品、お金をケチって大切なクルマが無くなることを考えたら安い出費である。人気のドラレコに組み込まれている駐車監視機能も有効だが、それにプラスした盗難防止策が求められるのだ。
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