もくじ
どんなクルマ?
ー もはや影の薄いDセグメント
ー ライバルよりも小ぶりなディメンション
ー 一度運転すれば、気にいるはず
どんな感じ?
ー 使いやすくなったiコクピット
ー 温厚な乗り心地、軽快なハンドリング
ー パワーデリバリーに気になるクセ
「買い」か?
ー わたしは想像以上に気に入った
スペック
ー プジョー508 2.0 Blue HDI 180GTのスペック
どんなクルマ?
もはや影の薄いDセグメント
フォード・モンデオやオペル・インシグニア(ベクトラ)、ルーノー・ラグーナなどは、かつては、新型モデルが出るたびに話題となったクルマたち。今回のプジョー508もしかり。いわゆるDセグメントに属するセダンやワゴンは、ヨーロッパでは一般的なカンパニーカーの代表格でもあった。営業担当者の社用車として、安く販売されていたクルマだ。
リアウィンドウ越しに見えた、ハンガー吊るされたジャケット。
トランクに積まれた営業ツール。
年間5万キロ近い走行距離と作業着。
それらは古い思い出話になってしまったのだろうか。
確かにそんな時代もあったが、プジョー508を購入するひとは、気にもとめないだろう。プジョーのCEOジャン・フィリップ・インパラートも、気にしてはいないようだ。
「508の販売が、プジョー社にとっての利益や損失に大きな影響は、恐らく与えないでしょう。現在の利益の約60%はSUVが生み出しており、残りの30%は商用車です。もはや全体の50%もの利益を生む必要はないのです。価格設定で数を稼いだとしても、残存価値を下げてしまうだけですよ」
と、真剣に話すジャン・フィリップ。しかし実際には、少しは気にしていると思うけれど。
この保守的ともいえるDセグメントのセダンは、今でも世界的に見れば最も重要なマーケットを持つクルマのひとつ。中国の広大な国土には、大きなサルーンを求めるひとが大勢いるし、ヨーロッパにも、いまだに150万人のひとがDセグメントのクルマを購入している。
ライバルよりも小ぶりなディメンション
ジャン・フィリップの真意は、カンパニーカーなどとして、大幅な割引をしての販売は行わない、ということなのだろう。508が欲しいなら買えばいいし、欲しくないなら買わなければいい。
わたし以上に、見積もりのリストや下取り価格などに敏感なひとにとっては、このアプローチは効果的かもしれない。プジョーは508を視覚的にも優れ、運転して楽しいクルマに仕上げた。そして販売台数を抑えることで、寿命も長いセダンがヨーロッパでは過剰供給気味という課題にも踏み込もうとしている。合理的に思える話だ。
アピアランスは魅力的に感じられる。まだ鼻先は長いが、従来型の508よりは短くなっている。全長は4.75mで、フォード・モンデオやスコダ・スパーブの4.9mに比べれば短い。車高も低くなった。約1.4mで、プジョーの大きなSUV、3008や5008などと同じアーキテクチャを使用しているにもかかわらず、ライバルモデルと比較すると数十ミリは低く設定されている。
そして、セダン風の折れ目のあるリアデッキを持っているが、ボディはハッチバックとなっている。プジョーはハッチバックとはいわず、ファストバックか、5ドア・クーペ・サルーンという言葉を用いている。ややこしい。ちなみに、すべての窓はフレームレスとなる。
今はファストバックのみだが、追ってステーションワゴン(エステート)も導入されるはず。新しいコンパクトさと軽快さを身につけていると思う。リアシートのレッグルームもヘッドルームも充分で、ラゲッジスペースは、アウディA5スポーツバックやフォード・モンデオなどよりも大きい、487ℓを確保している。
一度運転すれば、気にいるはず
価格はいくらか高めに設定された。プレミアム、と呼べるほどではないにしろ。
英国の場合、フォード・モンデオやオペル・インシグニア、スコダ・スパーブなら2万ポンド(300万円)以下でエントリーモデルが手に入るが、プジョー508の場合は、2万5000ポンド(375万円)ほどは必要になる。さらに最上級モデルのインパラートとなると、3万7000ポンド(555万円)にも達してしまう。
そして恐らく販売台数の2/3は法人オーナーとなるだろうから、残存価値も堅実である必要がある。ただし、フランス製の大型サルーンだから、少々難しそうだけれど。
508にはふんだんに新しい技術やソフトウエアが導入されているが、メカニカルな部分は比較的コンベンショナル。スチール製のモノコックに、フロントがマクファーソン・ストラット、リアがマルチリンクのサスペンション。エンジンは181psと224psを発生する1.6ℓのガソリンエンジンと、130psを発生させる1.5ℓディーゼル、163psと176psを発生させる2.0ℓディーゼルが搭載される。
トランスミッションは、1.5ℓディーゼルのみが6速マニュアルで、残りはすべて8速AT。ハイブリッドモデルも追加されるはずだが、今のところプジョーは、2020年までに要求されるCO2の排出量を達成できる、高効率な内燃機関に関心があるようだ。
今回われわれは、最もパワフルなガソリンとディーゼルを試乗したが、どちらもアダプティブダンパーが標準装備となる上級グレードのGT仕様だった。他のグレードではオプションとなる。
ジャン・フィリップは、「一度運転すれば、508を欲しくなるはずです」と強気。
発言どおりか、早速確かめてみよう。
どんな感じ?
使いやすくなったiコクピット
プジョーの新しいインテリア・デザインの試み、iコクピットは改善されたような気がする。
自分が慣れただけかもしれない。いや、きっと良くなっている。
iコクピットのテーマ通り、508にも非常に小さなステアリング・ホイールが搭載され、ステアリングのリムの上から、インパネのメーター類を見ることができる。ほかのクルマの場合は、ステアリングのリムの内側から見ているはず。握った感覚としては、レースカートのよう。
他のプジョーでは、このリムがインパネのメーター類にかかってしまい、見にくい場合もあるが、508は良くなっている。ステアリングホイールは、通常のクルマよりも下に位置している割に、ドライビングポジションは思ったほど悪くはない。
インテリアパネル類のフィッティングや仕上げの質は高く、フォルクスワーゲンやフォード、オペルなどのライバルよりも、デザインの雰囲気は上質。クラスを感じさせないところがある。
大型のタッチスクリーンがダッシュボードの中央に納まり、ショートカットボタンがその下に、ピアノの鍵盤のように並ぶ。ただし、タッチスクリーンを操作するとき、腕をアームレストに乗せるなり、指をどこかに触れるなり、手を支える必要があるため、見た目ほど優れたデザインでもなさそうだ。
温厚な乗り心地、軽快なハンドリング
最初に運転したのは2ℓのディーゼルモデル。バイワイヤ式のシフトレバーとロックトゥロックが3回転のステアリング、優れた最小回転半径などは、穏やかな排気音と合わせて、温厚なドライビングが適していることを示唆しているようだ。
乗り心地もそんな雰囲気。もちろんドライビングモードが選択でき、コンフォートモードは508にぴったりの味付け。ダンピングも良く効いており、街中では時折足がばたつく場面もあるが、ライバルたちと大差ないレベルだと思う。
ステアリングは軽く好印象。ただ、状況を問わずステアリングの重さやレスポンスに変化はなく、優れた正確性や情報量に関しては、期待できない。といっても充分に活発ではある。
コーナーの続くような道でも、508は軽快に向きを変えていく。ボディコントロールも優れており、ロールも抑制が効いている。フォルクスワーゲン・パサートやオペル・インシグニアよりもスポーティだと思うが、フォード・モンデオや後輪駆動のドイツ車ほどではない。
かつてプジョーといえば、クラス最良のドライビングフィールを持っていた時代もあった。わたしのようなオジサンが今でも忘れられないGTiだけでなく、ノーマルモデルの306エステートのガソリンエンジン仕様でも、そうだった。その頃に戻れないだろうかとも、思ってしまう。
ダンパーのセッティングをスポーツにしても、良くなったのか悪くなったのか、疑問に感じるだろう。プジョーによれば、乗り心地への悪影響は最小限にしつつ、ボディコントロールを引き締め、ステアリングは重くなり、エンジンのレスポンスが向上するという。
他のメーカーのモデルの場合、もっと明確にその差を感じ取れるものだが、508の場合は、その差は小さいほうが良いと考えたようだ。
パワーデリバリーに気になるクセ
1.6ℓのガソリンエンジンは魅力的。ダイナミクス性能という点では、ライバルと比べるとやや劣る部分もあるが、車重は1575kgと、ディーゼルの1683kgより100kg以上軽量。その分機敏になっている。市街地を離れれば、トランスミッションはスムーズに、頻繁に変速を繰り返す。
シフトパドルを用いて手動で変速してみると、変速が頻繁な理由はすぐにわかる。2500rpm以下だとかなり緩慢な一方、それ以上の回転数まで回すと、トルクカーブでフラットに感じられるところが何箇所かあるのだ。おそらく、1.6ℓのエンジンからターボで224psを引き出しているために生まれているクセなのだろう。
公表されているガソリンエンジンのCO2排出量は131g/kmと少ないが、実際のテストでの燃費は11km/ℓを超えることはなく、17km/ℓという数字は期待できそうもない。
ヨーロッパ市場では、一時は法人登録車の92%にも迫ったディーゼルエンジンの需要が減りつつある。これはプジョーだけが面している課題ではいが、驚くべき変化だといえる。
508の場合、ガソリンエンジンでもディーゼルエンジンでも、ノイズレベルは十分抑えられており、ロードノイズや風切り音のチェックも不満はない。まだ動作は不安定ながらも、レーンキープアシストにアダプティブ・クルーズコントロールが付いており、走りは安定していて快適。高速道路向きの優れたクルマだと思う。
「買い」か?
わたしは想像以上に気に入った
プジョーの上層部が気にしないと話していても、実際は高額の値引きと、残価保証のうえでクルマを手にする。多くの人はその競争力の高い金額を、月払いで支払っている。英国の場合、会社が貸与するカンパニーカーによる営業活動で、毎月の給料を得ている社員も多い。
どのクルマを選ぶかは、ひとそれぞれ。プジョー508よりも大きなクルマもあるし、運転がもっと楽しいクルマもある。もっと質感が上質なものや、高級ブランドのクルマもある。SUVも選べる。
このDセグメントの場合、車種選びにはかなり明確な理由が必要だと思う。プレミアムカーには、それなりの凛々しい紋所がフロントノーズに付いている。フォード・モンデオはほかのライバルよりも運転が楽しいクルマだ。スコダ・スパーブは装備が充実していながら、値ごろ感が強い。
そしてプジョー508。
正直にいって、ディーラーへ出向いて購入したいと思わせる、明確な理由には欠けている。その反面、お勧めしないという理由も見当たらない。
わたしはかなり気に入っている。
読者の印象は違うかもしれない。それで良いのだ。
でも、特に強要するつもりはないが、わたしは読者の想像以上に気に入っていたりする。
プジョー508 2.0 Blue HDI 180GTのスペック
■価格 3万6400ポンド(546万円)
■全長×全幅×全高 4830×1855×1455mm
■最高速度 234km/h
■0-100km/h加速 8.3秒
■燃費 21.2km/ℓ
■CO2排出量 124g/km
■乾燥重量 1683kg
■パワートレイン 直列4気筒1997ccターボ
■使用燃料 軽油
■最高出力 176ps/3750rpm
■最大トルク ー
■ギアボックス 8速AT
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