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〝アルファード一強〟に一矢報いるか?16年ぶりに刷新された「エルグランド」に乗って感じた日産の本気

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〝アルファード一強〟に一矢報いるか?16年ぶりに刷新された「エルグランド」に乗って感じた日産の本気

日本で「アルファード一強」時代が続いた理由

これまで日本のLLクラスミニバン、フラッグシップミニバンはトヨタのアルファード一強であった。アルファードは2023年に4代目となり、商品力を大幅に高め、その人気を不動のものにしていたのだ。

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しかし、国産ミニバンにはもう1台、LLクラスのミニバンがある。それが日産のフラッグシップミニバンであるエルグランドだ。

その初代はアルファードより5年早い1997年に登場(初代アルファードは2002年~)。国産乗用ハイエンドミニバンのパイオニアでもあった。

しかし2010年に登場した”キング・オブ・ミニバン”を謳ったその3代目はアルファードに比べ全高が低く、2.5L直4エンジンに加え強力な3.5L V6エンジンを揃えていたものの、アルファードにあったハイブリッドモデル(2003年7月追加)がないまま、何度もの一部改良が施されたものの、およそ16年間、フルモデルチェンジの機会がないまま造り続けられていたのである。

つまり、ハイブリッドモデルが主役となったアルファードに対する強力なライバル不在の時間が長きに渡ってあったことになる。

そんな状況を一変させたのが、2025年のJMS(ジャパンモビリティショー)だった。日産のブースには華々しく新型エルグランドが参考出品され、まったく新しい国産LLクラス、日産のフラッグシップミニバンに、日産ファン、エルグランドファンのみならず、大注目が集まったのだ。

e-POWERとe-4ORCEで武装した最新メカニズム

そして2026年7月、いよいよ4代目となる、「プレミアムグランドツーリングミニバン」を謳う新型エルグランドが発売される。

アルファード一強だったこのクラスのフラッグシップミニバンの選択肢が増えるとともに、満を持しての登場ゆえのその新しさ、商品力に大いに期待が持てるというものだ。

何しろ駆動方式は電動駆動4輪制御技術のe-4ORCE=4WDのみで、電子制御ショックアブソーバーを用いたインテリジェントダイナミックサスペンションやアクティブノイズコントロールを採用。

パワーユニットもついに第三世代のe:POWERと呼ばれる発電特化型1・5Lターボエンジンと前後ツインモーターを組み合わせた100%モータードライブのハイブリッドシステムを搭載。それも5-in e:POWERパワートレインユニットで構成されるという最新のメカニズムを採用しているのである。

新型エルグランドの存在感と、圧倒的な“乗りやすさ”をレポート!

ここでは、日産グランドライブ=テストコースで約20分間という短い時間ながら、試乗の機会が与えられたショートインプレッションをお伝えしたい。

JMSの会場で初見して以来、初めて空の下で見る新型エルグランドはやはり堂々とした姿が印象的だ。ボディサイズは3代目エルグランドより30mm長く、45mm幅広く、150mmも高い全長4995×全幅1895×全高1965mm(日産測定値)。先代がアルファードより全高が低く、それが堂々感を削いでいたという見方もあるのだが、現行アルファードの全長4995×全幅1850×全高1935mmにまったく劣らない、どころか30mm背の高いプロポーションを実現しての登場となったのである。

今回、試乗できたのは新型エルグランドの最上級グレードとのこと(詳細なスペックは現時点で未公表)。その運転席に乗り込めば、まずは14.3インチの大画面統合型インターフェースディスプレイを採用した先進感たっぷりのインテリアデザインが印象的だ。

そして前席からの視界の良さ、たっぷりとしたサイズを持つシートのかけ心地の良さにも感動できる。ここで注目したいのは、新型エルグランドのメインターゲットユーザーが50代ということもあり、乗降性にも配慮されている点だ。

つまり、フロアの高さ、シート位置が適切で、60代の身長172cmの筆者でも、実にスムーズに乗り込むことができた。

そのひとつの理由が、高すぎず、しっかりたわむサイドサポートにあり、そのため、乗車はもちろん、降車時のお尻の横移動もスルリと行え、地面に足がつきやすく、着座位置の高さを感じにくいのである。でも待てよ、とするとカーブなどではサポート不足で運転姿勢が乱れるかも知れない・・・そんな心配は後に解消されるのだが。

静かすぎるミニバン”という新体験

走り始める前の確認事項として、まずは新型エルグランドのドライブモードだ。エコ、コンフォート、スタンダード、スポーツ・スノー、パーソナルの6つがあり、コンフォートモードは日産ミニバン初採用。全車、電子制御サスペンション装着車ゆえに可能になったモードであると説明されている。

シフターはすでに日産リーフにも採用されている、インパネセンターに並ぶエアコン用の静電式スイッチ下に並ぶボタン式シフターだ。多分、パーツはリーフと同じもののはずだが、地の樹脂パネルが黒の木目調となり、高級感をちょっぴり増しているのがエルグランドらしさである。

さて、ミニバンのエルグランド用に専用開発されたヨコハマアドバンV61(市販のものはプレミアムSUV用)、235/60R18サイズのタイヤを履く新型エルグランドをまずは日産ミニバン初のコンフォートモードで走らせてみる。

アクティブノイズコントロールはOFFにしているが、それでも出足から100%モーター駆動ならではの静かさ、スムーズさ、そして500Nm(51kg-m相当)ものトルクの厚み、さらにはエンジンのかかりにくさを実感させられる。日産リーフのTV CMじゃないけれど、「これはいい、すごくいい」である。

発電特化型エンジンが始動しても、それは遠くからささやくようなノイズでしかなく、ロードノイズの遮断もじつに見事。ボディ側の遮音、そしてワンランク上の遮音ガラスを、リヤサイドウインドーを除く全面に採用している効果を強く実感できた。エンジン始動時の車内の静かさはライバルを上回ることは間違いなさそうだ。

コンフォートモードのまま”いつもの”ジョイントを通過すれば、そのショック、音、振動の制御ぶりに感心しきり。なんともマイルドにジョイントの通過をこなしてくれるのだ。

記憶が正しければ、先代エルグランドでは、そうしたジョイントの通過でけっこうなピッチング(車体が進行方向に対して前後に揺れる縦揺れ)を発生しがちだったのだが、この新型エルグランドでは、加減速時を含め、緻密なトルク配分、電子制御ショックアブソーバーによって車体はフラットに徹してくれるのだから心地よい。

60タイヤというところも乗り心地の良さに貢献しているに違いないはずだ。

ワインディング路に入れば、ステアリングのスムーズな操舵フィール、大柄なボディにして向きの変えやすさ、路面に張り付くような安定感=ロードホールディング性能とともに、姿勢変化の少なさに驚かされる。

e-4ORCE、そして電子制御ショックアブソーバーを用いたインテリジェントダイナミックサスペンションの巧みな制御が功を奏しているのだろう。

しかも、先に触れた、乗降性に気遣ってサイドサポートを低めにしている前席のサポート性は、とくに背もたれ部分の絶妙なクッション性(快適性)とともに背中がしっかりとホールドされるため、カーブを勢いよく曲がっても運転姿勢の崩れは最小限。安定した運転姿勢のままカーブを走り抜けることができたのだ。

このシートは、新型エルグランドのグランドコンセプトである「プレミアムグランドツーリングミニバン」、つまりロングドライブにおける快適性に大いに貢献してくれると思われる。

続く走行シーンは、安定しきった走りを見せてくれたS字カーブを抜けた後の直線路。ここでフル加速を試みる。60km/h程度から国内の高速道路の上限速度まで瞬く間に加速するジェントルな力強さ、スムーズさ、静かさ、そしてe-4ORCEによる安定感はもう圧巻だ。当然、発電特化型の1.5Lターボエンジンも高回転まで回りフル稼働しているはずだが、それでもエンジンノイズの車内への透過はごく低く抑えられ、約50kg-mもの強大なトルクによって排気量の小ささなどみじんも感じることはない。

スポーツモードでは“走りのミニバン”に変身!

グランドライブ一周の最後のミッションは、e-4ORCEと組み合わせた日産初のスムースストップ機構の体験だ。信号停止をイメージし、ブレーキを踏んで停止するのだが、その際の「カックン」としがちな揺れ戻しは巧みなブレーキ圧自動制御で皆無に近くほぼフラットな姿勢を保つ。これは実際にブレーキを踏むドライバーはもちろん、同乗者の快適性に大いに貢献するに違いない。

次の周回はスタンダードモード、そしてアクティブノイズコントロールをONにして走り出す。するとどうだ。車内からエンジン、ロードノイズといった音がスッと消え、まるでリーフのようなEV(電気自動車)に乗っているような感覚になる。このアクティブノイズコントロールについては、ロードノイズまで消せたのは日産として初の実現だというが、それは誇張ではないようだ。また、コンフォートモードに対してアクセルレスポンスが多少、高まり、ストップ&ゴーが連続する市街地走行、カーブなどでの走りやすさに貢献してくれると思われる。もちろん、フラットに徹した走行感覚はそのままだ。ここでは直線路でのレーンチェンジを試みたが、全高1965mmもの重心の高いミニバンとは思えない、水平感覚に徹した安心感、安定感たっぷりのマナーの良さを実感させてくれたのだった。長距離を一気に走るグランドツアラーとしての資質、快適性、ドライバーを含む乗員の疲れにくさの裏付けと言っていい。

スポーツモードを試すと、アクセルレスポンスは明らかに高まる。だからといって車内の静かさはそのままであり、コンフォート、スタンダードモードと違うのは、ステアリングのしっかり感も高まり(操舵感がやや重くなる)、まるでボディが一回りコンパクトになったかのように感じられるほどで、運転のしやすさ、安心感に直結。しかし、乗員が不快になるような唐突なレスポンスはどこにもないから快適感はそのままだ。カーブ手前でブレーキングした際、カーブを抜けて加速した際、カーブ通過中の車体の姿勢変化の巧みな制御、抑え込みもあって、山道の走りを楽しむファンなドライビングも可能なのが新型エルグランドと言っていいかも知れない。

最後に試したのはエコモード。アクセルレスポンスは明らかに穏やかになり、うねり路面での車体の上下動はやや感じやすくなるものの、ゆったりとしたストローク感によって不快さなど皆無。そして加速力に不満はなく、車内の圧倒的な静かさは当然として、穏やかな走行感覚によって、例えば幼児、具合の悪い人、愛犬を乗せて走るときにぴったりのモードだと思えた。

ただし、メーターに表示されるドライブモードの表記はどのモードでも小さく、メインターゲットカスタマーが老眼が進行しているかも知れない50代ということで、60代のボク自身も確認しづらいのがちょっと気になった。

試乗当日は途中から”運よく”小雨が降り出した。ドライ路面で静かに走るクルマでも、ウェット路面になるといきなり水しぶき音が車内に侵入することもありがち(ボックス型の場合、とくにバックドアに近い後席/3列目席)。

少なくとも運転席にいる限り、ボディ、ウインドーを含む徹底したハイレベルな遮音性能、そしてアクティブノイズコントロールによって、水しぶき音もまた気にならない、4WDのプレミアムグランドツーリングミニバンというグランドコンセプトに相応しい全天候対応の走行も味わえたのである。

試乗を終えたタイミングで新型エルグランドの特等席となる2列目キャプテンシート(現時点で新型にベンチシートはない)にも乗り込んでみた。

乗降性にかかわるステップ地上高は約380mm(実測値)。フロアはそこから約60mm高い地上約440mmの高さ(実測値)で、スライドドア開口部の大きさもあり、じつにスムーズに、快適に乗り込めた。

ちなみに先代エルグランドはステップ高400mm、フロア高495mm(実測値/分厚いマット装着状態)だったから、新開発プラットフォームによってフロアが55mmほど低まったことになる。

なお、現行アルファードはステップ高約400mm、フロア高約490mm(実測値)と、新型エルグランドとほぼ同じである。

キャプテンシートは日産の説明によれば、サイズアップに加え、乗降性の良さと姿勢の崩しやすさにこだわって開発されたとのこと。実際、シート座面長は540mmとたっぷりあり(先代510mm、アルファード520mm/実測値)、なおかつアルファードのような固定式アームレストをあえて持たず、乗降性、姿勢の崩しやすさを優先したキャプテンシートということができる(豪華なアルファードのキャプテンシートに対してここは好みが分かれるかも)。

そして2列目キャプテンシート着座時のスペースは、身長172cmの筆者のドライビングポジション基準で頭上に200mm(シートスライド前方)~160mm(シートスライド後方/シアターフロアによる)、膝回りに最大550mm(先代430mm、アルファード515mm/実測値)ものゆとりがあった。

その上で、新型エルグランドのキャプテンシートはオットマンに加え、最大84度のリクライニングが可能なシートバックに中折れ機構を備えているため、リクライニングさせても乗員の頭(視線)が前方に向く工夫がなされているから快適だ。

アルファードのような豪華極まるスーパーロングオーバーヘッドコンソールなどは持たないものの、そのぶんシンプルで落ち着いた居住感覚が得られる特等席、VIP席と言えるかも知れない。

アルファード一強時代は変わるのか?

今回の試乗はあくまで短時間、日産グランドライブというテストコース内で走らせた印象にとどまるものの、ついにe:POWER=ハイブリッド化され、e-4ORCE=4WDにこだわった「プレミアムグランドツーリングミニバン」としての動的質感の高さ、狙いであるロングドライブでの疲れにくさ(ほぼ間違いない予想)に直結する驚異的な車内の静かさ、終始、姿勢変化を抑えフラットに徹した上質な乗り心地、第三世代e:POWERによるジェントルにして強力な動力性能を含む走りの完成度の高さは期待以上。

そして日本の伝統工芸である「組子」をモチーフとしたシャープでモダンなフロントグリルに代表される威厳と先進性、高級感を高次元で融合させた斬新とも言える堂々感あるエクステリアデザイン、プライベートラウンジを目指した先進感と落ち着き感あるインテリアなどによる商品力の高さは、乗ってみて、走らせてみて強く実感させられることになった。

最終的な評価は公道での試乗までお預けとなるものの、長らく続いた国産ハイエンドミニバンのアルファード一強時代の構図が、新型エルグランド発売後にどう変わるのか、そこもまた、楽しみである。

文/青山尚暉
写真/日産 青山尚暉

文:@DIME DIME編集部
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