まずは下の販売台数表を見てほしい。昨年の登場直後の3月は軽く1万台越えで1位に輝いたフィット。
が、今年5月から半導体不足要因を差し引いても……台数が伸びない。
「なぜか?」。その要因を多角的に突き詰めるために急きょ調査団を結成。まずはフィットを高評価する清水草一氏が強力ライバル、ヤリスともども試乗。「なぜ」の真相をつかむ!
※本稿は2021年11月のものです
文/清水草一、遠藤 徹、写真/ベストカー編集部 ほか、撮影/平野 学
初出:『ベストカー』2021年12月10日号
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■誰もが称賛! でも販売台数下降線の不思議
奇数月のデータを紹介。2020年3月、ヤリスを抑えて1位で登場。が、今年5月以降は月販台数が伸びない状況だ
フィットが売れてない! 相変わらず……いや、ますます売れてない! 今年4月以降は販売ベストテン落ち。4~9月のトータルだと16位という、ていたらくだ。
フィットはバランスのいいコンパクトカーだ。出た時は、「販売No.1を維持してもおかしくない!」と思った。それが16位なのだ! いったいナゼ!? 今回はその原因を究明してみよう!
■N-BOXへ流れている!?
右はホンダ フィット(e:HEV HOME〈2WD〉/211万7500円)、左は今回比較対象としたトヨタ ヤリス(ハイブリッド Z〈2WD〉/232万4000円)。中央はご存知清水草一氏(プライスレス?)
よく言われているのが、「N-BOXに客が流れている」という点だ。確かにそれはあるだろう。しかし、ノートより売れないのはナゼ!? 日産でもルークスはかなり売れている。9月はN-BOXに迫った。フィットがここまで売れないのは、フィット自身にも原因があるはずだ。
走り。まったく問題ない。ヤリスには軽快さで負けるが、落ち着いた乗り味は高級感がある。1クラス上の貫禄だ。
続いて実燃費。世界No.1のヤリスには負けるが、リッター20kmはまず割らない(ハイブリッド)。充分だ。近年、ユーザーはそれほどガチで燃費にはこだわらないし。居住性。これはクラスNo.1である。ヤリスと比べれば大差で勝っている。
■ヤリスが16位かも!?
今回試乗のe:HEV HOMEのインパネ。随所に白色を使い「内装はクラスNo.1」と清水氏も太鼓判
インテリアの質感も高い。和のテイストがあってセンスがいい。個人的には大好きだ。インテリアの安っぽさで有名なヤリスなど相手にしない。
最後にエクステリア。イメージは柴犬だ。適度にかわいらしくて適度に活発な、愛されキャラである。ライバルのヤリスは毒虫顔。どちらが愛されそうかは一目瞭然だ。ついでにボディカラーのセンスもいい。この点でも、毒々しい色が多いヤリスを大きくリードしている……はず。
つまり、販売1位がフィットで16位がヤリス、でもおかしくない。なのに現実は逆! いったいナゼ!? 走りや燃費が原因ではないだろう。なにしろ同じパワートレーンを積むヴェゼルは、好調に売れてるんだから。居住性はブッチギリでリード。ヤリスやノートよりずっとコスパは高い。
■多少はワルじゃないとダメ
となると、原因は、「主にエクステリア」としか考えられない。つまり印象だ。確かに印象は強くはない。高級そうにも見えない。どちらかというとナメられ、割り込まれやすいタイプかもしれない。
やっぱり男は多少ワルじゃないとダメということか!? ヤリスのルックスには「毒」がある。でもノートにはない。アクアにもない。フィットだけがダメな理由がわからない! それでもやっぱり、原因はそれしか考えられない。フィット挽回のカギは、見た目にワルっぽさを加えること以外にないだろう!
実際、最初のマイチェンでは、「ワル顔のフィットが出るのでは?」と噂されている。根拠のない噂ですが、とりあえず、ワルっぽいグリルを付けて出てくる可能性はあるんじゃないか? うまくいかないと思いますが……。フィットはこのままでいいんだヨ! 信じた道を進めぇ~!
■清水草一氏が語る「フィットとヤリスのいいところ、悪いところ」
「顔もいい!」と清水氏自身もフィットに負けないイイ顔でポーズ
●フィットのいいところ……弱点らしい弱点がない
走りよし、実燃費よし、居住性よし、内装よし、外見よし。なかでも居住性と内装はクラスNo.1! そのほかの要素が飛び抜けていいわけじゃないけれど、水準は充分以上に満たしている。
しっかり美点はあって弱点なし。この先も売れなかったら開発者は頭を抱えるだろう。私も頭を抱えてます。なぜ売れないの~~~!?
●フィットの悪いところ……まさかの、ナシ!!
●ヤリスのいいところ……走りと実燃費
今回のHVのZグレードはまずまずだが「それ以外のグレードは内装が安っぽい」と清水氏
ヤリスの実燃費はすさまじい。加速も軽快で心地いい。ボディの軽さが生きている。ただ、その分乗り心地は若干荒く、「えっ!?」と驚くほど後席は狭い。ほとんど「2+2」に近いくらいだ。ラゲッジも断然狭い。
ヤリスは欧州戦略車で、日本でこれほど売ろうとは思っていなかったのだ。インテリアも安っぽい。なにより個人的にダメなのがエクステリアだ。特に顔は「毒虫」。それが、なぜこんなに売れるのか……。
●ヤリスの悪いところ……安っぽいインテリア、そして後席とラゲッジの狭さ
【調査1】フィットをかなり高評価の渡辺陽一郎氏
「優れたいいクルマですよ」と変わらず言い続ける渡辺氏
私は昨年のカー・オブ・ザ・イヤーでフィットに10点を投じた(調査3のかたがたもそうですが……)。
全高が1550mm以下のコンパクトカーでは、車内が最も広い。特に後席は快適で、燃料タンクを前席の下に設置したから荷室のアレンジも多彩。価格は割安で、売れ筋になるホームの場合、NAとハイブリッドの価格差を約35万円に抑えている。
ところが! 売れゆきは伸び悩む。今年1~9月の1カ月平均登録台数は約4800台だ。ノートの約7400台、ヤリス単独の約1万台に比べて大幅に少ない。
●視覚的には貧弱……か
販売低迷の理由として、まず外観の存在感が弱い。ヤリスやノートは怒り顔で、個人的には好きではないが、表情に強い主張がある。ヤリスは後方視界を犠牲にして、サイドウインドゥの下端を後ろに向けて持ち上げた。その点でフィットの形状は良心的だが、販売面では損をしている。
シンプルなインパネのデザインや2本スポークのステアリングホイールも、機能は優れているが視覚的には貧弱だ。グレード構成も難解で、スポーティなRSはネスに変わり、魅力が伝わりにくい。
●鈴鹿製作所が混雑!
販売面では同門のN-BOXに需要を奪われている。N-BOXは今年1~9月に1カ月平均で約1万7000台が届け出され、ヤリスよりも圧倒的に多い。また生産を行う鈴鹿製作所では、フィット以外にも軽のNシリーズとシャトルを手がけ、狭山工場の閉鎖によりヴェゼルまで加わった。
販売店では「人気車の生産が鈴鹿に偏り、コロナ禍の影響も加わり、納期が遅れているのではないか」という指摘もある。まさに『不遇のフィット』。優れた商品なのにもったいない。
【調査2】ある関東圏のホンダ販売店・営業マンを直撃!
モデューロXを加えると全6タイプあるフィット。写真はクロスオーバー風のクロスター。多彩なバリエーションが魅力なのか? そうでないのか!?
フィットが売りにくい、というよりN-BOXが売りやすいということがあり、私どももついN-BOXを推すというのはありますね。これ、「フィットの台数が伸び悩む」大きな要因だと思います。
先代までのフィットオーナー様だけでなく、ステップワゴンのお客様もN-BOXに買い替えるケースもあるほど、N-BOXは相変わらず大人気。リセールバリューがいいから、お客様は買いやすいし、私どもは売りやすいですね。
また、デザインが柔らかすぎることも要因ですよ。好調なヤリスは『万人受け』の顔だしスタイリッシュ。あのような顔でないと今は売れないと思います。フィットの次のMCの際は顔がシャープに変わりますよ、きっと。
その顔を含めてデザインにインパクトがないのも、売る側の私どもとしては、正直……苦労する部分ですね。
ホームやネスなど全6タイプあるのがわかりづらく、これが伸び悩む要因とは思えないけど……、ま、クロスターを含めた3タイプでいいと思いますよ(笑)。
でも、フィットは先代より剛性がかなり上がり、出来がよくなったので、試乗したら即契約というお客様も多いですよ。実にいいクルマですよ、フィット!
【調査3】昨年のカー・オブ・ザ・イヤー「フィットに10点」入れた評論家のみなさんを直撃!
登場直後の昨年3月はヤリスの前を走る勢いがあったが……
●出色の完成度がアダになった……/岡本幸一郎
まぁ、クルマが売れるかどうかはデザインと価格につきると思っています。その点、フィットはデザインも悪くないと思うし、価格も内容を考えると納得できる。でも、そう思わなかった人が大勢いるということでしょう。
僕自身は本当に心地よく使えて乗るたびに感心していて、このクラスで出色の完成度だと今でも思っていますよ。
でも、それがアダになったというか、よすぎてコンパクトカーらしいとっつきやすさを、むしろ損ねた感もあります。
そこにタイミング悪く、同門で新型ヴェゼルが登場。ユーザーの興味がそれに向いている状況も、フィットが伸び悩む要因でしょうね……。
●同門のスライドドア車に屈した!?/まるも亜希子
フィットは間違いなくいいクルマです。でも、ホンダには7年連続で年間販売台数トップのN-BOXがいて、トップ10常連のフリードもいる。共通するのは「スライドドア」という武器で、販売店でも売りやすいわけです。
さらに購入層のボリュームゾーンである40代以上には、「元気な走り」をコンパクトカーに求める人が多い。モデューロXを、もっと大々的にPRすべきですよね。
ただ、後席やラゲッジが広くてファミリーでも使えるコンパクトとして考えるなら、真のライバルは日産ノート。とすると、まだそんなに販売台数では差はついていないような(?)。がんばれ、フィット!
【番外コラム】炎の男・遠藤 徹氏に聞く「販売最前線で今何が起きてますか!?」
フィットが苦戦を強いられているのは、数字を見ても明らか。今年1~9月の登録累計は4万2838台で前年同期に比べて44.1%もの大幅なマイナスとなっている。直近データの9月単月では3730台。前年同月比で52.2%と半減。ライバルのアクア、ヤリス、ノートに大きく引き離されているのが現状だ。
要因としてあげられるのは「デザインの没個性化」と「半導体や部品の供給遅れによる納期の先送りで不人気に」。が、後者はなにもフィットに限った話ではないはず。
エクステリアデザインはシンプルすぎて特徴がない。これが消費者に刺さらないのだろう。またヘッドライト下部にラウンドさせたU字型のデイライト、これが格好悪いと敬遠する声も多い。
納期の遅れは、受注した分が多数のバックオーダーとして登録できない状況で、全グレードの納車待ちが3カ月先送りになっている。さらに需要一巡期に入り、モデルに新鮮味がないのも、低空飛行の要因だ。
加えてフィット発売のあと、2020年11月24日にノートが登場し、今年6月15日にはオーラも誕生。今年7月19日にはアクアがフルモデルチェンジし、9月の月販では1位に。さらにトヨタ全系列店扱いになったヤリスの販売力は大幅に増強……。ライバルたちの勢いが販売最前線でもヒシヒシと伝わる。
* * *
……と、多方面からの意見をまとめると、フィット販売の苦戦は、
1)柔らかすぎるデザイン。
2)特に顔がインパクトなし。
3)N-BOXに客が流れる。
……どうやらN-BOX要因が有力か(!?)
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ヅラの隙間みたいでみっともない感じ